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梶尾真治「怨讐星域」は、SF小説が苦手な人にこそ読んでほしい作品

怨讐星域Ⅰ ノアズ・アーク (ハヤカワ文庫JA)

 

こんばんは、晨(@ashita_movie)です。

 

普段はあまり熱心に読書する方ではないんですが、たまに思い立ったように小説を買ったりします。昔はラブコメだったり青春ものだったりを手に取ることが多かったんですが、最近はSF小説を選ぶことが多いです。

 

というわけで、おすすめのSF小説をひとつ。梶尾真治さんの「怨讐星域」です。

 

この小説、「SF小説が苦手な人、興味がない人」にこそ読んでほしいSF小説です。

 

SF小説を自分から手に取る癖に言うのもなんですが、このジャンルって取っつきづらいですよね。初っぱなから難解な表現のフルスロットルだったり世界観でぶん殴られるような作品も多くて「分かる奴だけついてくればいい」という雰囲気を感じる人も多いと思うんです。正直読んでいて疲れます。

 

そんな中で梶尾真治さんの作品は、「ストーリーはしっかりSFしてるのに文章が軽快で読みやすい」のが魅力のひとつだと思います。日本の普通のエンタメ作品と同じような平易な言葉でストーリーが展開されて、すっと話に入っていけます。

 

「怨讐星域」も、全3部作の長編ながらすらすらと読める軽快なエンタメSF小説です。今までSF小説に苦手意識を持っていた人にこそ手に取ってみてほしい。

 

というわけで、どんなお話か紹介していきます。

 

怨讐星域? ノアズ・アーク (ハヤカワ文庫JA)

怨讐星域? ノアズ・アーク (ハヤカワ文庫JA)

 

 

ストーリー

「怨讐星域」というちょっと物騒な響きのタイトルですが、ジャンル的にはSFの中でも終末もの・宇宙もの、文明崩壊ものになるんでしょうか。

 

舞台はちょっと未来の地球。太陽が暴走して、数年後には地球が滅びることが判明します。事態をいち早く察知したアメリカ大統領は秘密裏に長期間宇宙航行が可能な巨大な宇宙船を造り、厳選した人類3万人を乗せて地球に似た遠くの惑星へと脱出します。数百年かけて、数世代かけて新天地を目指すという壮大な旅です。

 

その一方で、置いていかれた人類たちも生き残るために奮闘します。地球滅亡が判明したのと同時期に開発された「物質を遠くの空間にジャンプさせる装置(SF映画でよくあるやつ)」を量産し、不安定ながらも新天地となる惑星に人体をジャンプさせる設備を整えます。

 

物資は持って行けないのでほぼ着の身着のままで未開の惑星にジャンプし、「1000人でジャンプして無事に辿り着けるのは数人」というレベルの絶望的な賭けの末に地球から脱出した生存者たちは、自分たちを置いていったアメリカ大統領たちの船が辿り着く日を待ちながら、復讐を誓いつつ原始時代同然の生活からの文明復興を図ります。

 

というのが第1巻前半です。壮大でしょう?

 

第1巻後半からは宇宙船・新天地それぞれの物語がオムニバス形式で描かれます。数百年に渡るストーリーの中で様々な登場人物たちが様々なストーリーを繰り広げつつ、宇宙船は様々なトラブルを乗り越えながら新天地を目指し、ジャンプ生存者の子孫たちは地球のような文明を徐々に復活させながら復讐のときを待ちます。

 

そして最終巻で遂に対峙した2つの人類は…というクライマックスが待っています。

 

怨讐星域? ニューエデン (ハヤカワ文庫JA)

怨讐星域? ニューエデン (ハヤカワ文庫JA)

 

 

おすすめポイント

「怨讐星域」の見どころ(読みどころ?)は、記事冒頭でも書いたように「読みやすい文章で展開される物語」です。

 

ストーリーは上にあるようにがっつりとしたSFで、しかも数百年に渡って物語が展開される重厚なものです。

 

ですが、オムニバス形式で展開されるそれぞれの話は良い意味で普通のエンタメ小説やライトノベルのような平易な語り口で、SF小説でありながらラブコメっぽいもの、冒険小説っぽいもの、ジュブナイル小説のような雰囲気のものもあってスラスラ読めます。

 

世代間宇宙船という超SFな舞台の中でも「恋人のパパに認めてもらうために彼氏が努力する」という話があったり、文明復興中の世界で学生同士の恋のロマンスが描かれたりと、現実の僕たちと変わらないことを考えて悩む登場人物たちにスッと感情移入できます。

 

作中で起きるSFチックな展開でも小難しいオリジナル科学用語を散りばめるようなこともなく、「こういうトラブルが起きた」「だからこうしないといけない」という分かりやすい説明がされたもとでキャラクターたちが奮闘します。分かりやすいです。

 

丁度いい塩梅でSFっぽさとポップさ・キャッチーさが混ざっているので、「SF小説を読んでみたいけど敷居が高そう」という方や「SFもの・冒険もので軽く読める小説がほしい」という方にはとにかくおすすめです。

 

怨讐星域? 約束の地 (ハヤカワ文庫 JA カ 2-16)

怨讐星域? 約束の地 (ハヤカワ文庫 JA カ 2-16)

 

 

まとめ

というわけで、SF小説が苦手な人におすすめしたいSF小説「怨讐星域」の紹介でした。

 

この作品に限らず梶尾真治さんの作品は軽快な文章で読みやすい作品が多い印象です。それでいてがっつりSFしてるストーリーなのも魅力。

 

代表作としてはこの「怨讐星域」よりも、草なぎ剛さん主演で映画化した「黄泉がえり」なんかの方が有名でしょうか。

 

黄泉がえり (新潮文庫)

黄泉がえり (新潮文庫)

 

 

大学生時代に梶尾さんが授業のゲスト講師として来られて、そこでお話を聞いてから作品を読み始めたんですが、有川浩さんの軽快な作風が好きだった僕でもスラスラ読めるSF小説が多くて今ではすっかりファンです。

 

普段読まないSF小説にチャレンジしてみたいときは、是非梶尾真治さんの小説を手に取ってみてください。