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『ワールド・ウォーZ』の原作は映画と全然違うって知ってた?

こんばんは、晨(@ashita_bassist)です。

 

2013年にハリウッドスターのブラッド・ピット主演で公開された『ワールド・ウォーZ』という映画。皆さんはご存知でしょうか。

ワールド・ウォーZ(吹替版)

ワールド・ウォーZ(吹替版)

 

 

主演をブラピが務めて製作費200億円をかけた史上最も豪華なゾンビ映画として話題になりましたが、日本の配給会社はこの「ゾンビ映画」という部分を徹底的に隠して「大災害の中での家族の絆ムービー」として宣伝。映画ファンからは「せこい」と大不評を浴び、何も知らずに観に行った人たちからは「これゾンビ映画じゃん!」と突っ込まれました。

 

色んな意味で話題になったこの映画ですが、ものすごいCG描写でド迫力のゾンビパニックが描かれるエンタメ大作であることは事実です。そんな『ワールド・ウォーZ』は、実は原作となる小説があります。

 

原作となったマックス・ブルックスの小説『WORLD WAR Z』は、笑っちゃうくらい映画とは違うテイストの作品です。今回は、そんな2つのワールド・ウォーZを比べて紹介します。

 

映画『ワールド・ウォーZ』

まずは映画の方から。ブラピ主演で話題になったこの映画では、突然のゾンビウイルス大感染で世界が崩壊していく中でなんとか家族と生き延びた主人公が、元国連調査員という技能を活かして世界中を回り感染を食い止める方法を探っていきます。

 

全力疾走してくるゾンビや追い詰められていく人類、中盤で怒涛の勢いで襲ってくる「ゾンビ津波」の描写が印象的な、B級ジャンルのゾンビ映画としては史上初のハリウッド大作です。

 

度重なる脚本家の交代や公開延期、さらには大金をつぎ込んだ終盤の大戦闘のシーンが「R指定の基準に引っかかって観客動員が減ってしまう」という理由で丸々カットになるなど、苦労が絶えない中でなんとか公開にたどり着いた不運な作品でもあります。

 

個人的には、確かに大迫力で面白いアクションホラー映画ではあるものの、裏側に製作陣の色んな事情が垣間見える唐突なつぎはぎ展開など惜しい部分も多々ある作品、という感想です。

 

小説『WORLD WAR Z』

対して原作小説の『WORLD WAR Z』。前述したように映画とは全く違うテイストの作品です。

 

小説のストーリーは「ゾンビパニックがなんとか収束したあとの世界で、国連調査員の主人公が世界各地の生存者にウイルス流行当時の体験を聞いて回ってまとめた記録」というもの。ひとつの物語を描く小説というよりは、フェイクドキュメンタリーのようなテイストです。

 

登場するゾンビは全力疾走するタイプではなく、ウーウー唸りながらヨロヨロ歩いてくる古典的なゾンビです。大半の人類が感染してしまった世界で、倒しても倒しても無尽蔵に現れるゾンビの描写は小説ならではの怖さがありました。

 

ゾンビ描写だけでなく、ゆっくり崩壊していく文明社会や各国の特性が表れた対応、生き残った人たちのそれぞれのドラマがものすごいリアリティを持って描かれます。どのエピソードもリアルすぎて、本当に世界が崩壊したらこんな感じだろうな、と疑似体験させられます。

 

まとめ

ほとんど別物扱いされている映画『ワールド・ウォーZ』と小説『WORLD WAR Z』。

 

個人的には、映画は小説と全く関係ない話が展開されているように思えて、東アジアのエピソードやイスラエルのくだりなんかで原作要素もうまいことオマージュ的に織り込んでいたと思います。

 

映画の方はいかにも「俺たちの戦いはこれからだ」的なエンディングで、現在は続編が進行中なんだとか。ですが担当監督が二転三転するなど、また製作上のトラブルが続いて難航しているみたいです。つくづく不運な作品ですね。

 

ド派手な映画とはまた違った面白さがある「WORLD WAR Z」。ちょっとマニアックなつくりの小説ですが、世界観の作りこみなんかに惹かれるタイプの人はめちゃくちゃ楽しめると思います。ぜひ手に取ってみてください。

WORLD WAR Z〈上〉 (文春文庫)

WORLD WAR Z〈上〉 (文春文庫)