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『作曲少女』感想 これから創作の世界に入る全ての人のための物語

作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~

こんばんは、晨(@ashita_movie)です。

 

2017年後半に『作詞少女』というライトノベルが発売されて話題になりましたね。単なる初心者向け作詞指南本に収まらず、「創作活動をする」ということがどういうことなのか、自分の作品にどう向き合うべきなのかを心臓を抉るような言葉で綴ったショッキングな本でした。

www.taida-wanted.com

 

そんな作詞少女の前作にあたる『作曲少女』というライトノベルがあります。タイトル通り、こっちは「作曲」に焦点をあてた話です。久しぶりに読み返してみましたが、曲作りを始めた初心に戻れたような気がしました。

 

この『作曲少女』、基本的には「初心者がいかに人生最初の自作曲を仕上げるか」に的をあてた教則本なんですが、作曲に限らずこれから何か創作活動を始めようとしてる全ての人に強く勧めたい小説でもあります。

 

そんなこの本の注目ポイントをまとめて紹介します。

 

創作活動は「物語」を作ること

まずはこれ。内容の中で一番印象に残ってます。文量的にもこの話題に一番ペースを割いてるように感じました。『作詞少女』の方でもこの「曲のもつ物語をしっかり作る」ということについて重点的に解説されてたので、作者の仰木日向さんが一番伝えたいポイントなのかな、と思いました。

 

よく言われることですが、創作って結局「自分を表現すること」に尽きるんですよね。アウトプットは自分の中からしか出てこない。何を表現するかしっかり固めてから創作にとりかからないと、あやふやでつかみどころのないものができてしまう。そういう曖昧さは受け取り手にばれる。

 

そういう創作活動の鉄則があるからこそ、作中で珠美(珠ちゃん)は初心者のいろはに徹底的に「これからアウトプットするのはどんな物語なのか」を構築させようとします。

 

テーマは何なのか、どんなストーリーがくり広げられるのか、どんな登場人物がいるのか、それは「誰のための物語」なのか。1つの曲は1つの物語だから、作り手自身がそれをはっきり認識してないといけない、という創作活動の基礎中の基礎が力を入れて語られてました。

 

細かい技術以前の一番大切な話だし、作曲に慣れてなんとなく小手先で曲が作れるようになってしまった経験者・中級者こそ考えさせられる内容かもしれません。実際僕もはっとさせられました。

 

まずはとにかくやってみる/やってみた先にしか答えは見えない

音楽だけでなく漫画でも小説でも何でも、創作活動における一番のハードルは技術力の向上でもセンスを磨くことでもなく、「最初の作品を完成させる」ことなんですよね。ここを乗り越えられずに辞めていく人がどれだけいることやら。

 

「自分の作品をこの世に生み出す」という行為は未経験者にとっては得体の知れない難しくて怖そうなことに感じられるもんですよね。僕もまさか自分が曲を作るようになれるなんて2年前は思いもしなかった。そして得体が知れないからこそ、「正しい」作曲の仕方を探してそれだけで疲れて辞めてしまう人も多いと思います。

 

読者にとにかくこのハードルを乗り越えさせよう、という気概をこの本からは感じました。まず1曲完成させてみることがどれだけ大切か、こればっかりは「やってみたら分かる」としか言えませんが、だからこそどうにか読み手の作曲への興味があるうちに初の自作曲の完成まで導こうとしてくれます。

 

模倣から始めていい

『作曲少女』の中で語られる具体的な知識や技術の話は、ほとんどが耳コピやテクスチャーなど「既存曲からヒントをかじっていく」方法についての解説になってます。ここが、この本が他の作曲本と比べて一番異色なところです。

 

「創作は既存の作品の模倣から始まる」という格言はたぶん音楽以外にもあらゆるジャンルの創作で言われてますが、結局これが真理ですよね。まずは「既存の曲からパーツを持ってきて組み立てた」みたいな曲でもいいから1つ完成させる。この「完成させる」という段階にとにかく辿り着かないといけない。

 

完成したものがどれだけ既存曲のつぎはぎみたいな作品だろうと、自分だけの物語を持った、この世のどんな曲とも全く同じじゃないその作品は紛れもなく自分のオリジナル曲になります。

 

そして、この「1曲それっぽい形で完成させる」ということのバランス感覚を知ってしまえばあとはどうにでもなるんですよね。次に同じようにして曲を作るときは「ここをもっとこうしたい」という欲が自然と出てくる。プロの曲を聴くときに自作曲と無意識に比べて、自分の曲はどこが駄目なのか感覚で把握していける。あとはどんどんレベルアップしていけます。

 

この『作曲少女』で語られる作曲法は、この世で一番分かりやすい「とりあえずちゃんと曲っぽい形のものを完成させる方法」だと思いました。だからこの本は革命的だと評価されてるんでしょうね。

 

まとめ

この本が一番狙っている読者層は「これから作曲を始めたい人」だと思いますが、作曲に限らずこれから創作活動に臨みたい全ての人はこの本を読む意味があると思います。

 

「今まで創作物を受け取って楽しむだけだったけど、自分も作る側に回ってみたい」と思った人は、創作活動への第一歩にどんな気持ちで臨めばいいのかをこの本に教えてもらえます。

作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~

作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~