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『人を振り向かせるプロデュースの力』感想 「プロデュース」とは何か

人を振り向かせるプロデュースの力 クリエイター集団アゲハスプリングスの社外秘マニュアル

こんばんは、晨(@ashita_movie)です。

 

メジャーレーベルなどに所属せず独立的な音楽活動を目指す人も最近は多いと思いますが、そういうアーティストにとって避けて通れないのが「セルフプロデュース」や「セルフブランディング」という難しくて頭を使う仕事ですよね。

 

そういう要素を勉強したくて『人を振り向かせるプロデュースの力』という本を読みました。YUKIやflumpool、木村カエラ、Base Ball Bearのプロデュースに関わってきた「アゲハスプリングス」という組織の代表:玉井健二さんの著作です。

 

ざっくりまとめるとこんな感じ。

  • ヒットする曲の共通点は何か/どんな曲が「名曲」になるのか
  • 明確なブランディングと目標設定の大切さ
  • 「クリエイター集団」という組織のかたち

 

「名曲」の条件

本の前半のかなりの割合を、この「名曲を生み出すにはどんな要素が必要か」という話が占めてます。どちらかというとアーティスト自体の見せ方とか立ち振る舞い方とかそういう話が中心の本かと思ってたので、想像以上に「音楽の作り方」についての話が多くてびっくりでした。

 

どの時代の名曲にも共通して含まれる「ブイヨン」の話、ただきれいなだけでは終わらせずひっそりと仕込むべき「毒」の話、歌詞で聴いた人を泣かせる重要性など、僕みたいなレベルの音楽マンには正直めちゃくちゃハードルが高くて難しい話だらけです。

 

ですが、もっと自分の曲で人を振り向かせるために意識しないといけない・忘れてはいけない根源的な部分をしっかり理論立てて教えてもらえたような気がしました。

 

自分たちを「ブランド化」する

「プロデュース」と聞いて音楽活動をしている人が一番思い浮かべるであろう「自分たちをどう見せるか」という話ももちろん多く語られてます。

 

メジャーの第一線で活躍しているプロデューサーの視点から、「作品を生み出す側(アーティスト)」と「音楽をビジネスとして成功させる責任を負う側(プロデューサー)」それぞれがアーティストやプロジェクトをどう持っていくかの意識を共有するべき、という話が説得力を持って語られてました。

 

特に「自分のブランド化」は、一アーティストとして商業的に成功するためだけでなく、長く成果のある活動をするために最重要なことだと思いました。

 

分かりやすく言うと、シャネルは徹底的に「シャネル」というブランドであり続けるから時代の移り変わりにぶれずに人気を保ってるわけで、アーティストも自分たちの音楽をぶれない強固なブランドにすることで揺るぎない支持を得ることができる、みたいな話です。

 

そういう目指すべき「ブランド」の話をしっかり定めることで、一時的な流行り廃りに流さずに10年20年と活動できる基盤を作れるってことではないでしょうか。100万人に聴かれるメジャーではなく、数千人に愛され続ける独立系アーティストを目指すなら自分でこういう視点を持つ意識はより重要だと思います。

 

組織としての役割分担

本の中の話にはけっこうアゲハスプリングス自体の例も参考として登場するんですが、このアゲハスプリングスという組織の在り方そのものも面白かったです。

 

作詞家や作曲家、エンジニア、裏方実務のサポート、各部門をまとめるディレクター…と、数十人編成の大きな「バンド」みたいだな、と思いました。ということはこの組織の活動方法自体もバンドやユニットなんかの音楽活動の参考にできるわけで、自主レーベル規模での「セルフマネジメント」のモデルケースにできそうでした。

 

セルフマネジメントの話はこちらもおすすめ。

www.taida-wanted.com

 

まとめ

音楽的な話はかなり難しい部分もあって、それとやっぱり文章を書く本業の人じゃないからか癖があって読みづらい部分もありました。

 

でも音楽業界のこの位置にいる人がこれだけの話を赤裸々に語ってくれてるって他ではなかなか読めないと思うし、メジャーの世界の人たちがどんなことを考えてどんな基準で動いてるのか知れる貴重な本です。

 

難しいだろうけど、自主活動レベルのアーティストでここに書いてることを忠実に実践できたら最強を通り越して無敵なんじゃないかな、と思いました。