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『MEDIA MAKERS』感想 メディア運営の方法論を創作活動に持ち込むには

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 宣伝会議

こんばんは、晨(@ashita_bassist)です。

 

「メディア」というとなんだかすごく大げさで仰々しい感じがしますが、広い意味ではTwitterもFacebookも個人が運営する小さなメディアなわけで、現代は「人類総メディア運営者社会」とでも言えます。

 

音楽だったりイラストだったりの創作活動に打ち込む人も広報や宣伝の場としてそういうSNSを活用してる人がほとんどなわけで、メディアの何たるか、どんなふうに活用していけばいいのかを知ることは個人クリエイターにとって必須技能になってます。

 

というわけで、メディアの基礎を勉強するために、livedoorニュースやLINE、NAVERまとめなどに関わってこられた田端信太郎さんの『MEDIA MAKERS』を読みました。

 

ざっくりまとめるとこんな感じ。

  • 現代ならではの「1対1で受け取り手とつながるメディア」の強みについて
  • コンテンツの「フロー」と「ストック」の分類
  • コンテンツの「リニア」と「ノンリニア」の分類
  • 自分というブランドを確立させることの重要性、その方法

 

コンテンツの作り手と受け取り手が直接つながる時代

本の中では有料のメールマガジン、いわゆる「メルマガ」が主体になって取り上げられてましたが、他にもTwitterの告知アカウントだったりLINE@だったりの「個人対個人のメディア」が溢れてるって凄まじいことだと改めて思いました。

 

有名無名を問わずクリエイターが自分のSNSアカウントで作品を公開して、時にはフォロワー数万人の有名クリエイターがファンの感想に対してリアクションを示すってよく考えたら凄い時代ですよね。僕が子どもの頃くらいにはまだ考えられませんでした。

 

「メディアの力=影響力」とすると、個人クリエイターが自分の広報メディア=SNSアカウントを手軽に持てる現代は「影響力がクリエイター側の手に渡った時代」とも考えられます。

 

バンドの感覚でいうと、「メジャーレーベルに所属してロッキンオンに載ることが唯一大きな影響力を持てる時代」から、「個人アカウントからの宣伝で(フォロワー数にもよるけど)万単位の人に作品を宣伝できる時代」になったってことですね。よく考えたら革命的だと思います。

 

コンテンツの「フロー」と「ストック」

本の第5章ではメディア内のコンテンツの扱いについて語られてるんですが、この章が創作活動をしてる人にとっては最重要です。

 

「フロー」コンテンツは新鮮さが命の流動的なコンテンツ。メディアでいうと速報記事みたいな、時間が経つごとに価値を失っていくものを指します。

 

「ストック」コンテンツはその逆で、WikipediaやNAVERまとめみたいに、「作って蓄積しておけばほしい人がほしい時に使ってくれる」コンテンツのことを言うそうです。

 

創作活動でいうと「新作を出します!」「コンピレーション企画に参加します!」「イベントに出ます!」みたいなインパクトのあるお知らせがフローコンテンツでしょうか。逆に「HPで作品販売中です」「YouTubeにMVあります」みたいなのはストックコンテンツになりますね。

 

定期的に新鮮なフローコンテンツを公開しつつ、ポートフォリオや在庫商品としてのストックコンテンツも増やしていく、というのは創作活動の定石ですね。

 

コンテンツの「リニア」と「ノンリニア」

この話が一番面白かった。コンテンツには「リニアコンテンツ=時間軸に沿って消費される前提のもの」と「ノンリニアコンテンツ=受け取り手が自由に早送りしたりスキップしたりできるもの」の2種類がある、という話です。

 

リニアコンテンツの典型が映画や小説です。冒頭から結末まで順を追っていくのが当たり前だし、映画館での鑑賞なら観客にそもそも時間軸をいじる権限がありません。

 

その一方で、音源作品としての音楽なんかは本来リニアコンテンツなのに完全なるノンリニア扱いですね。イントロで切られて聴いてもらえなかったり、サビまで飛ばされるのは当たり前。時には作者自ら「SNS用」としてサビらへんだけ切り取って流したりします。僕もします。

 

だからこそ、ノンリニア色の強いネット上で「頭から聴いてみよう」と思わせてリニアコンテンツの世界に受け取り手を連れてくるために工夫が必要なんだと思いました。

 

どうやれば「自分」ブランドを確立して維持できるか

メディアのセルフブランディングについての重要性の話もよかった。メディア向けの方法論ですが、創作活動にも思いっきり流用できる知識でした。

 

クリエイター風にいうと、「自分の世界観を確固たるものにする」という感じでしょうか。自分たちはどんな存在で、誰に向けたコンテンツを作っているのか。それが一目で分かるくらいまで形作るのが「ブランド化」ってことなんだと思います。

 

そのためには「自分たちのコンテンツはどの層(年代、性別、好み、属性)に向けたものなのか」を自分で意識することが最重要みたいです。

 

例えば、僕がやってるバンドは自分の内面に切り込むような暗い世界観の曲を作ってるので、音楽もアーティスト写真とかのビジュアルイメージもライブの雰囲気づくりもそういう面を徹底的に磨くのがブランド化に向けた最適な努力になります。

 

そうすることで、そういうネガティブな世界観のアーティストが好きな人に「このバンドは私向けの音楽をやってくれる」と一目で思ってもらえます。

 

まとめ

本の中で語られるメディア運営の方法論は、分かりやすい文章と事例が合わさって読みやすかったです。

 

内容的にはある程度の規模で活動してるクリエイターなら感覚で実践してることも多くて今さらな部分もあるかもしれませんが、改めてメディア論の基礎から色々な理屈を学べたのはためになったし面白いと思えました。

 

「Twitterとかもっとうまく使って創作活動の宣伝とかしていきたいけど、今いちどうすればいいのか分かんない」という人は、一度読んでみると色々発見があると思います。

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 宣伝会議

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