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「シン・ゴジラ」が好きな人は間違いなく有川浩「海の底」もハマると思う

海の底 (角川文庫)

こんばんは、晨(@ashita_bassist)です。

 

2016年に公開された途端に、尋常じゃなく話題になった映画「シン・ゴジラ」。

 

全編ほぼゴジラの暴走シーンと官僚たちの話し合いシーンと石原さとみのきっつい英語セリフシーンのみという超異色の内容で、賛否両論(「賛」多め)ながら興行収入80億円突破という大記録を打ち立てました。

シン・ゴジラ

シン・ゴジラ

 

 

そんな「シン・ゴジラ」ですが、なんかものすごいどっかで見たような気がしてました。「こういうテイストのストーリーをどこかで知ってる…」という感覚があって、ずっと引っかかってました。

 

が、最近やっとこの既視感の正体に気づきました。これ有川浩さんの「海の底」に似てるんだわ。

 

というわけで、有川浩の著作の中でも初期の代表作「自衛隊3部作」のひとつ、「海の底」と「シン・ゴジラ」の内容を比較します。

 

SFオタクがただ好きなものについて語るだけの話なので、嫌な人はそっと閉じてください。

 

有川浩「海の底」

「シン・ゴジラ」についてはこの記事を読んでる人はほとんど内容を知ってるでしょうが、「海の底ってなんやねん」と思ってる人が多いと思うのでちょっと内容紹介を。

 

「植物図鑑」や「フリーター、家を買う」「図書館戦争」などの代表作で知られる有川浩さん。今でこそラブコメ色の強い話がよく知られてますが、もともとの作風は「図書館戦争」にも表れてるようなミリタリー色が強いものでした。

 

そんな有川さんの初期の代表作に、陸・海・空の自衛隊それぞれを題材にした「自衛隊三部作(題材が自衛隊なだけでそれぞれストーリーのつながりは無し)」というのがあって、「海の底」はその海上自衛隊バージョンです。

 

舞台は桜祭りで開放されていた横須賀基地。そこに突然、海の底から未確認生命体の大群が上陸してきて人々を襲いはじめます。横須賀基地に停泊していた海上自衛隊の潜水艦「きりしお」にいた若い幹部自衛官・夏木と冬原は、逃げ遅れていた子どもたちをとっさに艦内に避難させてなんとか難を逃れます。

 

一方で通報を受けた警察は、機動隊やSATのみで事態の対処を迫られます。なんとか防衛線を張って未確認生物たちを横須賀の一区画に抑え込みますが、火力も人員も圧倒的に足りない中で重傷者が続出していきます。

 

神奈川県警警備課の明石警部と警察庁参事官の烏丸を中心に警察の会議が行われますが、警察の上層部は防衛省との派閥争いで自衛隊に主導権を渡したがらず、内閣も自衛隊の武力行使の許可を出すのに逃げ腰になって、現場の機動隊員たちは化け物相手に泥沼の肉弾戦を強いられていきます。

 

どうですか。「植物図鑑」「阪急電車」「県庁おもてなし課」を書いた人の作品とは思えないハードボイルドなあらすじでしょう。

 

「シン・ゴジラ」と「海の底」の類似点・共通点

「海の底」のあらすじを読んだ時点で「シン・ゴジラ」と同じ空気を感じた人も多いでしょうが、具体的に2つの作品の類似点を見てみます。

 

敵は怪獣

まずは何といってもこれ。どちらも「人間が怪獣に立ち向かう物語」です。ゴジラの方は言わずもがなですが、「海の底」に出てくる未確認生物「レガリス」も怪獣と呼べるような生き物です。

 

その見た目は「体長2~3mのザリガニもどき」です。深海にいた新種の甲殻類が浅い海に来てしまったことで豊富な栄養と酸素で巨大化した、という設定ですが、ゴジラファンなら分かると思うけどぶっちゃけ「エビラ」です。

 

そんなエビラレガリスと機動隊がガチンコでぶつかり合うわけですが、その泥沼具合がすごい。力づくで殴りかかったところでレガリスを仕留められるわけでもなく、機動隊は古代ローマの戦列歩兵みたいなチームプレーでなんとか未知の化け物と互角(ちょい押され気味)に戦います。

 

明石警部たち警察の指揮官たちの対処法も、堂々と明言しながら「ゴジラ」を意識しまくってます。電流バリア作戦とか。レガリスの正体や弱点を解明する科学者の名前に至っては「芹澤博士」です。

 

主役は公務員

「シン・ゴジラ」のストーリーは、ゴジラが暴れるシーン以外はほぼ「官僚や政治家たちの話し合いシーン」で構成されてますよね。登場人物もめちゃくちゃ多く、色んな組織が複雑に絡み合って動く「政府」「日本」という存在の大きさとめんどくささを感じさせられます。

 

一方で「海の底」も、話の半分くらいは警察の警備部の人々の奮闘がメインになってます。特に警察上層部の会議シーンは「シン・ゴジラ」の前半の会議シーンと重なるような内容で、組織の派閥争いやら責任問題やら一市民としては見ていてやきもきする話が延々続きます。

 

会議の不毛さでは「シン・ゴジラ」にも勝るレベルで、「シン・ゴジラ」の内閣はへっぴり腰ながらそれなりに素早く自衛隊の出動を認めたのに対して、「海の底」の政府はもうね、ダメダメ。警察もダメダメ。

 

機動隊が下手になんとか善戦するもんだから「このまま警察で何とかなんじゃね?」と偉い人たちが楽観視して事態がさらに泥沼になっていきます。

 

というわけで、「海の底」「シン・ゴジラ」双方、主役は「公務員」です。組織・集団の力で非現実的な事態に対処していく、という話も同じですね。どっちも「背広着てネクタイ締めたお役所の人」がかっこいいお話になってます。

初級公務員試験 早わかりブック 2019年度 (早わかりブックシリーズ)

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まとめ

ただのオタクの熱いトークになってしまいましたが、「シン・ゴジラ」ファンに有川浩さんの「海の底」をおすすめしたい理由、分かっていただけたでしょうか。

 

興味を持ってくださった方は是非一度読んでみてください。

海の底 (角川文庫)

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