永田純さん著『次世代ミュージシャンのためのセルフマネージメント・バイブル 自分を作る・売る・守る!』を読みました。自主活動をしたいミュージシャンのための、タイトル通り「バイブル」としてネット上では有名な本です。
ざっくりまとめるとこんな感じ。
- 音楽を商業活動として成立させるためにレーベルやプロダクションが担ってきた仕事は何か/それを個人運営レベルに落とし込むとしたらどんな感じになるか
- 事業として創作活動をするときに持つべき視点・考え方
- 実際の独立系プロダクションの成功例
- 音楽に限らず「クリエイター」としての活動を考え始めた人は必読
詳しく感想を書いていきます。
音楽活動のために必要な業務
まずは既存の音楽業界をモデルに、いわゆる「音楽活動(CDを作ってプロモーションしてイベントを企画してetc)」を成立させるためにどんな業務が必要かが徹底的に解説されます。
それと合わせて、それらの活動を個人レベル・数人での自主活動レベルに落とし込むとどうなるかの参考例も解説されます。
まとめてある内容は音楽活動をやってる人なら多分誰もがぼんやり想像がつく範囲内だと思うけど、改めて整理されて一覧にされるとかなり仕事量が多いです。ここに書いてあることを全部きちんと実践・管理できてる人はごく少数じゃないでしょうか。僕も全然できてません。
どこまで自分でやるか/何を人に頼むか
上にも書いたように既存の音楽業界のモデルを全部自分でなぞろうとするのは相当しんどいです。時間も集中力も削り取られて、創作にそれを回せなくなるなんて本末転倒なことも。
そんなときのための「外注した方がいいことは専門の人に頼む」という選択肢についてもこの本では触れられてます。実際に「所属クリエイターは基本的にそれぞれ個人事業主で、一部手続きや管理だけ会社が負担」という形態の会社の例も紹介されてます。
「何を人に任せるか」だけでなく「何をやらないか」の選択も大事ですよね。最近は手間もお金もかかるCDの形で音源リリースをせずにデジタル販売やストリーミング配信だけで作品を発表するアーティストの例もけっこう聞きます。
「事業」として創作をするための視点/チームでそれを共有することの大切さ
「事業としてやる認識をはっきりさせる/チームでやるならそれを共有する」ということの重要性にも触れられてます。つまりは「意識高い」話ですが、ちゃんと商業活動として成立させたいなら意識低いままでいられるわけないじゃんね。
お金に対する認識、バンドやユニットのメンバーとの目標の統一、音楽活動を法人化・会社化する覚悟について等々。避けては通れない話です。
まとめ
書かれたのが2011年ということで、マネタイズの話なんかではここ数年でまたちょっと事情が変わったかな、と思う部分もありました。
それでもマネジメントやプロデュースの何たるかについて普遍的な考えや基礎的な知識が網羅されていて、音楽に限らず「クリエイティブ系の個人事業主/フリーのクリエイター」を目指す人はこれを読めば何をしていけばいいのか全体像を把握できます。
本業、副業問わず創作活動をビジネスにしたいと思い始めたら是非読んでみてください。

次世代ミュージシャンのためのセルフマネージメント・バイブル 自分を作る・売る・守る!
- 作者: 永田純
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2011/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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