2009年のイギリス・オーストラリア合作映画『トライアングル』。
ジャンルとしてはサスペンスで、タイムリープがストーリーのメインとなる、いわゆる「ループもの」と呼ばれるジャンルの作品です。無人の豪華客船を舞台に、奇妙な時間の輪に巻き込まれてしまった主人公のサバイバルが描かれます。
というわけで、今回はこの『トライアングル』をレビューしていきます。
『トライアングル』あらすじ
シングルマザーのジェス(メリッサ・ジョージ)は、子どもが学校に出ている休日に、友人のグレッグ(マイケル・ドーマン)に誘われてボートでのクルージングに出かける。
ところが、そこで不自然な嵐に遭遇してボートは転覆。ジェスたちは漂流の末、近くを通りがかった一隻の豪華客船に乗り込む。しかし、何故かその船には乗員乗客がおらず、さらに何者かがジェスたちを一人また一人と襲ってくるのだった。
一人だけ生き残り、なんとか襲撃者を海に突き落とすことに成功したジェス。しかしその直後、死んだはずの友人たち、そしてもう一人の自分がボートで船に漂着してきて…
『トライアングル』感想
「漂着して乗り込んだ豪華客船で何者かに襲われ、また漂着しては襲われ…」という無限ループに巻き込まれた女性を描くサスペンスホラーです。いわゆる「ループもの」と言われるジャンルですね。
この手のループものサスペンスでは「主人公が死んだら、また最初に戻ってくり返し」という展開のものが多いです。
ところが、この「トライアングル」では珍しく「漂流したグループの主人公以外が死んだら、また漂流してくるところからくり返し」というルールになっています。
つまり、ループの舞台(豪華客船)に主人公だけが同時に複数人存在することになるんですね。この「主人公だけがループに気づき、ループの流れに介入することができる」という設定が、この映画が他のループものと大きく違う点です。
主人公のジェスだけが状況の異様さに気づくことで、「ああ、このくり返しね」という観客側の予想を超えて事態が動いていきます。襲撃者の謎を探って、ループから抜け出す方法を考えるうちに、ジェスが行き着く結論が見どころです。
ジェスだけがループから外れているようで、後半のジェスの行動と前半の彼女の行動がうまく絡んでいって「そういうことだったのか」と驚かされます。
さらに、観客の予想をさらに斜め上に走っていくクライマックスの展開も凄いです。あんまり言うとネタバレになっちゃうんであれですが、「二重ループ」とでも言えばいいでしょうか。
「そこがそうなってそういうことだったのね!?」というショックの連続です。間違いなく序盤らへんをもう一回観直したくなります。
そして結末が切なすぎる。救いがなさすぎる。解釈が分かれる終わり方ですが、間違いなく爽やかなハッピーエンドとはいえません。こういうサスペンスホラーでこんなにも切ないラストが待ってるとは思いませんでした。
まとめ
この映画の面白さに関しては「とりあえず観て」としか言えません。ほんとにちょっとでも喋りすぎるとネタバレになっちゃうから怖い。これは事前のネタバレなしで観ないともったいないです。
ストーリー展開、伏線の張り方・見せ方、結末のどんでん返し。全部の点においてループものサスペンスとして傑作です。この手の映画が好きなら見ない手はありません。