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【地雷映画】「トランスモーファー」がいかに偉大なパクリ映画か語る【トランスフォーマーじゃないよ】

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皆さんは「パチもん映画」「パクリ映画」というジャンルをご存知でしょうか。誰もが知ってる有名映画に便乗して、本家とは全く関連がないのに似たようなタイトルと内容に仕上げたB級作品群のことを言います。

映画としてのクオリティは本家の足元にも及ばず、ちゃちなCGと大根演技のオンパレード。一応レンタルDVD店にも並ぶけど、借りるのはB級マニアか、パクリ元の本家作品と間違って手に取った人だけ……というパチもん映画たち。

本来なら一瞬で忘れ去られていくような凡作揃いの彼らですが、ときどき運命のいたずらによって、変に話題を集めて有名になってしまう作品もあります。

その中でも何故か異常なほどの話題を集めてしまった奇跡の作品が、「トランスモーファー -人類最終戦争-」です。タイトルからも分かるようにパクリ元は「トランスフォー〇ー」です。

B級映画ファンの間ではカルト的人気を獲得しているこの作品の魅力を語ります。ネタバレ全開です。

 

稚拙な映像、雑な世界観

まず、パクリB級映画のお約束として欠かせない要素が、「21世紀の映画とは思えない低クオリティな映像」です。

実際に予告編を見てみましょう。

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いかがですか?ちなみにこいつの製作年は2007年です。これでも本家「トランスフォーマー」と同い年です。冗談きついですね。

設定は本家とは大きく違い、「ロボットエイリアンに侵略され、人類が地下都市に避難して暮らすようになった400年後」という世界のお話になっています。

ですが、そこはセットを組む予算もエキストラの人数も脚本を書くセンスも足りないパチもん映画。世界観の作り込みが浅いのなんの。奥行きなんてあったもんじゃありません。

人類のレジスタンスの戦い方は400年で何を学んだんだと言いたくなる脳無し突撃作戦で、ストーリーはものすご~くふわふわした流れで最終決戦へ。低予算なわりには大規模に頑張った戦いの末、そんなに苦戦することもなく人類は勝ちます。

 

もうね、雑です。稚拙です。ですが……このふわっふわしたゆるい空気感がなぜか嫌いになれません

映画作品としてはとても褒められた作品じゃないんですが、じゃあ「つまらない」かと言われると、これが「意外と面白い」と思えちゃうんですよね。

少なくとも、拙いながらにCGのロボットをたくさん出して、ちゃんと変形までさせて、たとえへっぽこレーザーの撃ち合いだろうとそれなりに長い時間アクションを見せて……と、作り手の「観てる人を楽しませよう!盛り上げよう!」という気概が伝わってきます。

 

お金だけかけて「派手でしょ?これでいいっしょ?」とふんぞりかえるA級作品も多い中で、「トランスモーファー」の画面からは、自らの技術的な拙さなんてまったく気にしない作り手の情熱が滲み沸いてきて"熱さ"が感じられます。

この得体の知れないパワーこそ、「トランスモーファー」が奇跡のプチヒットを記録する最大の要因ではないでしょうか。作品への愛は嘘をつきません。

 

まさかの正統続編

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そんな「トランスモーファー」ですが、なんと本家が続編「トランスフォーマー/リベンジ」を公開するのに合わせて「トランスモーファー リターンズ」という正統続編をリリースしています。なんという図々しさ。 

その予告編がこちら↓

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なんということでしょう、明らかに映像のクオリティが進化しています。小学1年生から4年生くらいへの急成長です。

敵ロボットたちの変形シーンは明らかに滑らかになり、CG合成も遠くから見ればあんまり違和感がない部分もあるかもしれないくらいには進化しています。

前作では「雨の降る夜」という暗さで映像面をごまかす部分もあった一方で、この続編では晴れた昼間というごまかしの効かない舞台で勝負している点にも、製作陣の成長と自信が感じられます。

 

ちなみにストーリーは「ロボットエイリアンたちが地球へと侵略をしかけはじめた時代」ということで、1作目の前日譚になっています。全然「リターンズ」じゃねえ。

意外と熱くてスリリングな展開、戦闘シーンのボリュームだけは削らない強気の構成で、ひとつの映画としてもそれなりにしっかりした作りになっています。チープなことには間違いありませんが、お世辞込みならふつうに面白い部分もある、と言える仕上がりです。

 

まとめ

以上、「トランスモーファー」シリーズの魅力(?)を語りました。

名前のインパクトばっかり目を引くこの作品ですが、その内容を見ても、ちゃんと映画マニアの話題を集めるような見どころが詰まっています。キング・オブ・パチもん映画の地位は伊達じゃありません。

一般的な感覚での「面白い映画」としては間違ってもおすすめできませんが、友だちとツッコミを入れながら爆笑して観る作品としては傑作です。ぜひ一度、面白半分で手に取ってみてください。

 

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