「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズなどで知られる映画監督ピーター・ジャクソン。
彼が手がけた最新作として、また異色のSFファンタジー映画として注目されている「移動都市/モータル・エンジン」ですが、今回ピーター・ジャクソンはメガホンをとらず、製作に回っています。
では、今回監督を務めているクリスチャン・リヴァースとは何者なのか、ピーター・ジャクソンとはどんな関係なのか。見ていきましょう。
ピーター・ジャクソンを支えてきた敏腕クリエイター クリスチャン・リヴァース
10代の頃からピーター・ジャクソンとのタッグで活躍
クリスチャン・リヴァースは、ピーター・ジャクソンと同じくニュージーランド出身の映画クリエイターです。
年齢はピーター・ジャクソンより一回り下で現在40代半ば。彼と出会ったのはまだ17歳の頃なんだとか。
その頃からピーター・ジャクソンのもとで働き始めたクリスチャン・リヴァースは、ピーターの初期の代表作「ブレインデッド」以降の全ての作品で、「ストーリーボード」いわゆる絵コンテのアーティストとして活躍してきました。
キャリアを見てみると徐々にそのポジションは重要なものになっていて、あの「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでは「視覚効果スーパーバイザー」という役割に。あまり聞きなれないワードですが、CGなどの映像効果を管理するポジションだそうです。
名実ともにピーター・ジャクソンの右腕に
その後もピーター・ジャクソン作品で視覚効果やストーリーボードを手がけてきたクリスチャン・リヴァースは、「ホビット」3部作ではスプリンター班(撮影本隊とは別で動く第2撮影班)の監督を務めています。
これはつまり、ピーター・ジャクソンのいない撮影現場でチームを指揮し、映像の撮れ具合などに責任を持つポジションにいたということ。ピーターがクリスチャン・リヴァースにどれほど大きな信頼を寄せているかが分かりますね。
あたたかみのある質感の映像美もピーター・ジャクソン作品の持ち味ですが、そういった映像面でのクオリティを支えてきたクリスチャン・リヴァースは、名実ともにピーター・ジャクソンの「右腕」と呼べるクリエイターだと言えるでしょう。
「移動都市/モータル・エンジン」で初の長編監督に 製作はピーター・ジャクソン
長年ピーター・ジャクソンを支えてきたクリスチャン・リヴァースですが、2005年の「キング・コング」でアカデミー賞視覚賞を受賞するなどの実績はあるものの、これまではどちらかというと「裏方の職人」というポジションでした。
そんな彼が初めて監督を務めた長編映画が、今回の「移動都市/モータル・エンジン」です。製作や脚本にはピーター・ジャクソンの名前があり、まさに「弟子の初めての表舞台を、師匠が見守りながらサポートする」ような構図と言えます。
本編映像を観ると分かるように、やや輪郭をにじませたような質感の映像表現は、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズなどに通じるものがありますね。この映像的な共通点こそ、クリスチャン・リヴァースがピーター・ジャクソン作品の映像面を支えてきた証明と言えます。
さらに、近未来的な中に近世の空気感を織り交ぜたスチームパンク要素には、「キング・コング」などの経験も活きているように見えます。
「都市が移動しながら食らい合う」という一見すると突拍子もない世界観を、これだけのスケール感を持って描ききることができるのも、クリスチャン・リヴァースが「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」などの超大作で技術を積み重ねてきたからこそでしょう。
まとめ
映画監督としてはまだまだ「若手の注目株」なクリスチャン・リヴァースですが、その実績はハリウッドのクリエイターとしてもトップクラスで、おまけにピーター・ジャクソンという偉大な監督のお墨付きです。
ストーリー的にはかなりの異色作なので様々な反響を呼んでいる「移動都市/モータル・エンジン」。ですが、少なくとも「映像」の一点では、手放しで大絶賛できる傑作に仕上がっています。
その背景にある、「ロード・オブ・ザ・リング」から脈々と受け継がれてきた映像技術・センスにも注目して観てみましょう。
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