オリジナル曲を収録した「自主制作CD」作り。音楽活動をしている人にとっては、楽しみのひとつですよね。
そんな自主制作CDですが、その作り方はちゃんとしたプレス発注の方式から、CD-Rに焼いてジャケットや歌詞カードまで手作りする方法まで、色々あります。そして、それぞれ費用や手間、完成クオリティなどが違います。
今回は、実際にバンド活動で色々なタイプの自主制作CDを作ったり見たりしてきた僕が、それぞれの制作方法のメリットやデメリットをまとめていきます。
- 自主制作CDでもプロ並みのクオリティ 「プレスCD」方式
- まさに"自主制作CD" 全て自分で作る「手焼きCD」方式
- 制作工程の一部だけ発注してコスパよく自主制作CDを作る
- まとめ:自分たちの規模に合う自主制作CD作りを
自主制作CDでもプロ並みのクオリティ 「プレスCD」方式
自主制作CDの中で一番クオリティを高く仕上げられるのが、プレス業者に発注してちゃんとした「プレスCD」を作る方式です。
表裏のジャケットやインレイ、帯などもしっかりデザインが印刷され、パッケージングされて送られてくるので、完成度は商業作品と変わりません。
プレスCDのメリット
プレスCDのメリットはなんといっても、その「クオリティの高さ」です。
ディスク本体からジャケットデザイン、歌詞カードまでしっかりこだわることができるので、楽曲の世界観や作品テーマ、アーティストとしてのセンスを細部にまで込めることができます。
プレスCDのデメリット
プレスCDのデメリットになるのが、細部までこだわれるからこその「手間」と、完成度の高さ故の「費用の高さ」です。
まず「手間」についてですが、ジャケットの細かい部分まで好きにデザインできるということは「デザインが必要なパーツが多い」ということになります。アートワークを外注するなら、デザインの点数が多い分費用も増えるでしょう。
また、プレスCDのデザイン入稿はデータ形式が「Illustrator」か「Photoshop」に限られていることが多いので、どちらかのソフトを持っていない場合は、デザイナーやイラストレーターにデータ作成を依頼する必要が出てきます。
そして「費用の高さ」ですが、プレスCDは最小ロットが100枚ほどで、金額も4万円~くらいかかります。そして「たくさん作れば作るほど1枚あたりの費用が安くなる」というシステムです。
ある程度の数を販売できる見込みのあるアーティスト向けの作り方なので、「ちょっとだけCDを作ってみたい」という人には向きません。
まさに"自主制作CD" 全て自分で作る「手焼きCD」方式
CD-Rに曲のデータを焼く、いわゆる「手焼きCD」方式は、自主制作CDの中でも一番手軽な方法です。
初めて自主制作CDを作る、という初心者にもおすすめの作り方ですが、この手焼きCDにもメリットとデメリットがあります。
手焼きCDのメリット
手焼きCDのメリットは、なんといっても「手軽さ」です。
「自宅でパソコンでCD-Rに曲を焼ける」というディスク作りの手軽さはもちろん、空のCDケースに自作のジャケットや歌詞カードを入れてビニールで封をすれば、意外としっかりした作品ができてしまいます。
最近はCDの盤面に印刷できるプリンタも多いので、オリジナルのデザインをCDレーベル面にプリントすれば、さらに本格的な仕上がりになります。
こういった作業工程を、家庭にある範囲内のもので完結させることができるのが、手焼きCDの最大の利点です。
手焼きCDのデメリット
一方で、手焼きCDのデメリットが、制作にかかる時間の意外な「コスパの悪さ」です。
CD-Rにデータを焼いて、ジャケットや歌詞カードを印刷して、はさみや裁断機で1枚ずつ切って、ケースに入れてビニールで閉じて…としていたら、「1時間で10枚以下のペースでしか作れない!」ということもあり得ます。
この方式で大量のCDを作ろうとしたら、膨大な時間がかかってしまいますね。制作予定数が数百枚などの場合は、材料費や時間を考えると「業者に発注する方がよっぽどコスパがよかった」ということもあります。
手焼きCDの方式は、デモ音源や無料配布CD作りなど、10枚~数十枚くらいを作る予定の時が向いてるんじゃないでしょうか。
制作工程の一部だけ発注してコスパよく自主制作CDを作る
自主制作CDは「プレスか、手焼きか」という2択になりがちですが、業者のサービスを上手に活用して「一部自作、一部発注」というやり方にすると、制作時間や費用を短縮しつつ、作品のクオリティも上げることができます。
ジャケットや歌詞カードのみ発注
例えば、インク代や紙のカット時間などがかさむ「CDジャケット」「歌詞カード」のみ業者に発注、という方法があります。
僕は「歌詞カードだけチラシ印刷の業者に依頼して、それを折ってケースに入れる」という方法で作業時間を大幅に短縮したことがあります。業者印刷の方がカードのクオリティも上がるので、結果的に作品の出来も良くなりました。
他にも、「厚めのA4紙の表にジャケットデザイン、裏に歌詞を印刷したものを業者発注で作って、それでCDを包むように正方形に折ってビニールで封をする」という手法で、紙ジャケットっぽい作品を作ってるバンドを見たことがあります。見た目もオリジナリティがあって、いいアイデアだと思いました。
CDのディスクのみバルク発注
200~300枚くらいの自主制作CDを作るときは、「CD-Rに焼くやり方だと手間がかかりすぎるけど、プレスに出すとお金がかかりすぎる…」ということがあります。
そういうときはCDのディスクのみ製造してくれる「バルク」と呼ばれる方式で発注すれば、プレスと比べて費用を半分以下に抑えることができます(300枚で2万~4万くらい)。
あとはジャケットなどを上に紹介した方式で作れば、自分でやるのは「ディスクとジャケットを組み合わせてパッケージングする」ことだけです。コスパもよく、数百枚の自主制作CDを現実的な作業時間で作ることができるんじゃないでしょうか。
まとめ:自分たちの規模に合う自主制作CD作りを
以上、自主制作CDの作り方を、実際の例を踏まえて紹介・解説しました。
プレス発注して作る方法、完全な手作りで仕上げる方法、一部だけ外注する方法…色々ありますが、作る目的や予定枚数、求めるクオリティなどに合わせて選んでいきましょう。