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炎上した残響レコード社長の本を読んでみた結果

音楽ビジネス革命?残響レコードの挑戦?

2000年代の邦楽ロックシーンにおいて、ひとつの文化を築き上げた名門インディーズレーベル「残響レコード」。

そんな残響レコードが2018年10月ごろに「当社へのデモ応募の条件」として発表した内容が、物議を起こして大炎上したのは記憶に新しいですね。

そんな炎上事件の発端を生んだのが、残響レコードの代表であり、自ら残響系ポストロックバンド「te'」のギタリストとしても活動している河野章弘さんです。

この河野さんですが、実は「音楽ビジネス革命」という本も出してます。それを実際に読んでみたので、内容をレビューしていきます。

 

 

「ブランドとしてのレーベル」が生まれる過程は面白い

音楽ビジネス革命?残響レコードの挑戦?

音楽ビジネス革命?残響レコードの挑戦?

  • 作者: 河野章宏(残響レコード社長/te'ギタリスト)
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックメディア
  • 発売日: 2010/05/25
  • メディア: 単行本
  • 購入: 2人 クリック: 30回
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タイトルには「音楽ビジネス革命」とありますが、確かに残響レコードは音楽業界において、「インディーズ」という活動スタイルの新境地を切り開いた革命的なレーベルと言えるのかもしれません。

今でこそわりと当たり前になってきた「音楽性やジャンルを統一したインディーズレーベル」というかたちは、残響レコードが先駆者になって作ったものなんでしょうね。

そんな新しいかたちのインディーズレーベルを広めていくために、河野さんが地道な宣伝活動と細やかな人脈作りを続けていった苦労話は、「ブランドとしてのレーベル」が生まれる過程として面白かったです。

 

「ビジネス書」としての内容がつかめない

残響レコードの発展過程は面白いんですが、それを踏まえてこの本が音楽ビジネス書として何かを提示してるかと言われると、「うーん……」と言いたくなる内容でした。

「ブランドとしてのレーベル設立と運営」がせっかく革新的な話なのに、そこをさらに掘り下げた具体的なノウハウに迫らず、ほとんど苦労エピソードに終始してたのは残念です。

この本の内容を現代の音楽シーンに当てはめての「音楽ビジネス」としての再現性があんまり感じられませんでした。

 

さらに、そんなレーベル運営経験を踏まえた今後の見通しや、音楽界全体を俯瞰しての著者の意見が、抽象的過ぎてふわふわしてる部分が多いように思えました。

「〇〇な気がする」みたいな曖昧な言い方が多くて、内容的にも自称音楽通の範囲を出ないもので、著者本人がくり返し「自分は客観的・多角的にものを見る力がある」と言ってる説得力が見えません。

他にも「利益を重視するあまり音楽性を曲げてはいけない」みたいに語りつつ「アーティストは現実を見て音楽性を修正することも学べ」みたいに言ったりと、内容的にちぐはぐな部分もいくつか見られました。

 

そもそも「書籍」としてのクオリティが低い

内容的な問題もありますが、そもそも書籍としてのクオリティが低いのが気になります。

わりと目立つ誤字が残ってたり、ひとつの項目の中ですら論点や視点があっちこっちに揺れてたり。文章力的にも本として出版するには力不足感が否めません。

残響レコードが炎上したときの文面や、河野さんのブログ記事を見ても、この人はあんまり文章が上手なタイプには見えません。

それが文章からもありありと分かるのに、なんで編集者はもっと文体や構成に関わっていかなかったんだ、と思ってしまいました。内容はそのままで文章をブラッシュアップしたり構成を組み立て直せば、説得力もだいぶ変わったはずなのに。

お金がなかったのか時間がなかったのか分かりませんが、もっと「書籍」として仕上げなきゃいけなかったんじゃ?と思ってしまいます。

 

 

まとめ

全体的にかなり否定的になっちゃいましたが、別に残響レコードそのものを批判したいわけじゃありません。

残響レコードが日本インディーズシーンに新しい風を吹き込んで、ひとつの文化を作った偉大なレーベルであることは間違いないと思います。

それでもこの「音楽ビジネス革命」は、書籍としてのクオリティは褒められません。音楽業界に革新を起こした舞台裏を語るビジネス書として売り出すなら、もっと内容を深めて、文章面・構成面も丁寧に仕上げてほしかった。

そして、現状の残響レコードの運営がお世辞にも上手くいってるように見えない今となっては、「ビジネスの成功者」という立場から書かれたこの本の説得力にはやっぱり疑問を持ってしまいます。

 

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