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「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」感想 熱意と予算にセンスが追いつかない(ネタバレあり)

AVP2エイリアンズVS.プレデター (吹替版)

世間では「駄作」の烙印を押され、エイリアン・プレデターシリーズのファンですら今ではほとんど話題にも挙げなくなった2007年公開の映画「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」。

ですが、個人的には嫌いじゃありません。むしろけっこう好きかも。細かい演出から「原作に敬意を払って観客を楽しませよう」という熱意がちゃんと伝わってくるし、予算的にもまあまあ大作だからチープさはありません。

ですが、そんな大きな熱意や十分な予算に対して、映画作品としてハイクオリティかというと必ずしもそうではなく。駄作扱いされるだけあって、見ていて厳しい点もたくさんあります。

熱意と予算はあるのに、そこにセンスが追いつかなかった可哀想な「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」をあらためてレビューです。

 

「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」あらすじ

www.youtube.com

2007年 アメリカ

監督:コリン・ストラウス、グレッグ・ストラウス

キャスト:スティーヴン・パスクール、レイコ・エイルスワース、ジョン・オーティス、ジョニー・ルイス

 

エイリアンとの戦いで死亡したプレデターの遺体が宇宙船に回収された後。

遺体に生みつけられていた卵からエイリアンとプレデター両方の遺伝子を持った「プレデリアン」が誕生し、船内のプレデターを虐殺。宇宙船はコントロールを失い、アメリカの田舎町の付近に墜落するのだった。

墜落した船内から逃げ出したプレデリアンやエイリアンの幼体は、町の住民たちを襲い、次第に数を増やしていく。一方で、プレデターの母星からは、自分たちの痕跡を地球から抹消するために「ザ・クリーナー」と呼ばれるプレデターが送り込まれる。

ザ・クリーナーが地球に到達した頃にはプレデリアンやエイリアンの大群が町を襲っており、事態は人間とプレデリアン/エイリアン、プレデターの三つ巴の死闘に発展していくのだった。

 

「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」感想

「やりたいこと」は分かるけど「観たいもの」はない

先に書いたように、「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」はとにかく原作への愛とオマージュが溢れてるんです。

「エイリアン2」を彷彿とさせる軍隊とエイリアンの混戦(しかも当時のエイリアンの鳴き声を使用)、「プレデター」1作目を思い出させる森の中での生皮剥ぎ吊し上げ、シリーズのキーワード「ウェイランドユタニ社」の前身と思われる「ユタニ社」の登場とか。ファンならニヤッとできるポイントが満載です。

雰囲気的にも絵的にも「エイリアン」「プレデター」両シリーズの色々な場面を再現しようとしてるのが伝わってきて、製作陣の誠意が感じられます。

ですが、「やりたいこと」は分かるけど、それが実際に観客の「観たいもの」として表れてるかというとそれはまた別の話。演出面でどうしようもなくセンスが足りません。

まずとにかく「画面が暗い」。これに尽きます。ネットのレビューでも酷評の大半がこの点を指摘。地上波放送時には画面の明度を1.5倍に上げて放送されたという伝説的な暗さです。

そしてアクションシーンの見せ方も下手。軍隊とエイリアンの戦闘シーンは「敵が見えない恐怖」ではなく「敵も人間も見えない混乱」でしかありません。

住民たちとエイリアンの戦いはろくに描かれないから「町まるごと戦場」というスケール感も足りないし、ちまちましたサバイバルに終始してる感じが残念です。せっかくそれなりの予算があるのに「演出の拙さをCGとグロ描写でカバーしてなんとか及第点」なだけに見えます。

 

キャラの見せ方とストーリーの構成が絶望的

演出面が下手なだけでなく、ストーリー構成も絶望的です。

まず、キャラが多すぎるしそれぞれのバックグラウンドの描写が下手すぎる。前半の人間ドラマ描写がけっこう尺をとってるのに、後からそれぞれのキャラ設定が活きてません。

この点、同じく田舎町でモンスターの襲撃を舞台にした「スパイダー パニック!」のテンポのよさと人間模様の面白さを見習ってほしいですね。

メインの数人以外の住民たちの描き方もちょっとひどい。誰も印象に残らないし、後半に至っては「これからエイリアンにやられる犠牲者でーす」と言わんばかりに唐突にモブキャラが登場しては5分と経たずにやられる展開のくり返しで、人間の使い方が残念すぎます。

ここまで行き当たりばったりなストーリーは、いくらアクションがメインの映画だとしてもちょっとあんまりです。

 

まとめ:あくまでファンムービーとして楽しむべし

酷評ばっかりになりましたが、個人的にはほんとに嫌いじゃないんです。モンスターパニックとしては一応退屈せずに観れるし、製作陣はちゃんと真面目に面白くしようと作ったんだな、というのは伝わります。

ですが、どうしても「エイリアンとプレデターが好きな人のために作られたファンムービー」感が強すぎます。スピンオフとはいえシリーズの一作品として評価するには完成度がやばい。

「このシーンは原作のあの部分だな」「このシーンなんか見覚えがあるな」と思いながら楽しむファンムービーとしてはまあまあですが、あくまでファンムービー以上でも以下でもない作品です。