「閉鎖空間に閉じ込められた人々が生き残りをかけてサバイバルをくり広げる」という映画は今ではわりとたくさんありますが、その閉鎖空間が「ごく普通のオフィスビル」というのはかなり珍しいんじゃないでしょうか。
そんな異色作「サラリーマン・バトル・ロワイアル」ですが、パニックスリラーとしての凄惨さもインパクトも十分、身近な場所で身近な道具を使って戦ういい感じの地獄絵図でした。
まさに「サラリーマン」による「バトル・ロワイアル」です。詳しく感想を書いていきます。
「サラリーマン・バトルロワイアル」あらすじ
2016年 アメリカ
監督:グレッグ・マクリーン
キャスト:ジョン・ギャラガー・Jr.、トニー・ゴールドウィン、アドリア・アルホナ、マイケル・ルーカー
ベルコ・インダストリーズのコロンビアにあるオフィスに出社した80人の社員たち。ところが彼らの就業中に突然オフィス全体が封鎖され、社員同士での死闘を指示するアナウンスが流れる。
さらに、数人の社員が突然頭を爆発させて死亡し、入社時に「防犯のため」として全員に埋め込まれていたチップが爆弾だったことが発覚する。
最初は状況に戸惑う社員たちだったが、次第にそれぞれが生き残りのために暴走を始め、オフィス内は地獄絵図と化していき……
「サラリーマン・バトル・ロワイアル」感想
うまいシチュエーション作りとパンチの効いた極悪な戦い
「オフィスが封鎖されて社員たちがバトルロワイアル」という一見あり得ない状況を、それなりのリアリティをもって作り上げてるのがなかなかよかったです。
ちょっと怪しい企業の、しかも海外の治安の悪い街のオフィス、という点が絶妙な非日常感とマッチしてます。
そこから一気にテンションを上げて地獄のサバイバルに落ちていく展開も、アップテンポで楽しめます。
発言力のある社員たちが警備用の銃を持ち出して、「独身」「高齢者」など勝手にピックアップした社員たちを処刑していくシーンなんかはかなり悲惨です。
そうやって独裁状態だった社員たちが後半では他の社員たちに袋叩きにされる展開が爽快だったりと、バトルロワイアルの中でもほどよく緩急が作ってあって、うまく状況に感情移入させてくれました。
銃以外の武器がオフィス用具(舞台がオフィスだから当然ですが)なのもよかった。まさかセロテープ台が最終決戦の武器になるとは予想外でした。
もちろんゴアシーンもなかなかにパンチが効いてます。いろいろと飛び散ったものがモロに映るし、観ていて「うわあ~痛い」と口に出しちゃいそうな戦いのオンパレードです。
意外とひねりの効いたストーリー展開も面白い
バトルロワイアルの描写のうまさだけでなく、ストーリーでもうまく展開を作ってあったのもよかったです。
「主催者」たちが爆弾の除去や外部へのSOS発信をうまく防いで、さらに「〇時までに〇人死なないと爆弾破裂」というリミットまで課すので、否応なしにバトルロワイアルに進んでいくから容赦ないですね。
後半で爆弾を作動させて一気に数十人を「処分」する展開はさすがにエグすぎですが、そのエグさが一周まわって笑えちゃいました。
最後まで生き残った一人が途中の伏線を回収しながら「主催者」に意外な逆襲をかますのも後味がよくてナイスです。
まとめ:最恐のブラック職場が見たいならぜひ
エグい血みどろアクションに泥沼の戦いと、「サラリーマンたちがオフィスでバトルロワイアル」と聞いてホラーファンが期待するものを、だいたい全部見せてくれましたね。
「上司に死を強要されて、退社のために命がけで戦う」という最恐のブラック職場を見てみたい方はおすすめです。
もちろん、王道のサバイバルもの・バトルロワイアルものスリラーとしても十分に楽しめます。