「文明が崩壊した後の社会」と聞くと、どんなものを思い浮かべるでしょうか。
力が全てのワイルドな世界でしょうか。マッドマックスのような暴走車ヒャッハーの世界でしょうか。中世に逆戻りしたような暮らしでしょうか。
それらのベタな世界観をすべてごちゃまぜにして、派手なアクションをてんこ盛りにしたのがこの「ドゥームズデイ」です。まさに終末アクションの幕の内弁当。アホみたいだけど楽しい映画でした。
詳しく感想を書いていきます。
「ドゥームズデイ」あらすじ
2008年 イギリス
監督:ニール・マーシャル
キャスト:ローナ・ミトラ、ボブ・ホスキンス、エイドリアン・レスター、エイドリアン・レスター
未知のウイルスがイギリス北部に発生し、感染を防ぐために防壁が立てられ封じ込めが行われた27年後。食い止めたはずの感染が再びロンドンで発生した。
同時期に、衛星写真によってイギリス北部に生存者がいることが確認され、ワクチン開発の手がかりを求めて軍人のエデン・シンクレア率いる部隊が封鎖区域に入る。
そこでは、政府から見捨てられながらも感染から生き残った人々によって、弱肉強食の社会が作られていて……
「ドゥームズデイ」感想
いっぱい派手でたのしい(思考停止)
まず、この映画は真面目に頭を働かせて観るようなものじゃありません。できるだけ脳内を空っぽにして、口を呆けさせながら観るべき作品です。
主人公エデンたちの部隊が封鎖されたイギリス北部に入ってからの展開は、ひたすらぶっ飛んで無秩序です。
免疫をつけて感染を生き残った人々は北斗の拳のザコキャラみたいになってるか、古城に棲みついて服装も思考も中世ヨーロッパ人になってるかの二択。みんな血の気が多くて話聞いてくれないからす~ぐ死闘に突入します。
近未来の軍隊とモヒカン人食い集団と馬上の騎士と改造カーチェイスを一作品の中で全部見せようなんで、誰が考えた映画なんだこれ。世界観めちゃくちゃです。
ですが、めっちゃ楽しいんだなこれが。
ウッキウキワックワクでやりたいこと全部詰め込んでいく製作陣のはしゃぎようが見えるような映画です。あれもこれも入れて、できるだけド派手に見せて、最初から最後までノンストップで……そして出来上がるのは終末パニックの幕の内。ポストアポカリプスのお子様ランチ。
全部のおかずが主役、みたいな濃厚な世界観で、むやみやたらに派手でハイテンションなアクションが次から次に展開されます。退屈するはずがありません。
以外にもちゃんとお金がかかってる映画なので、どのシーンもしっかり見ごたえあり。思考停止でぶっ飛んだ戦いを楽しめます。
意外と計算されたストーリー
よく考えたら「ワクチンあるっぽいから来たのに免疫がついただけかい!じゃあもう大丈夫っぽいから帰るわ!」ってだけの内容なのに寄り道アクションしまくって110分になってるこの映画ですが、ストーリーは意外とちゃんと計算されてるんですよね。
野蛮人たちとの出会い&戦いから中世お城パートまでの流れとか、そこからさらに終盤のマッドマックスもどきへの展開とか、最低限の説明と人間描写で無理なくスムーズにつないでます。
やりたいことを詰め込みまくった分、それらがちゃんとひとつの物語として成立するように丁寧に仕上げてあります。
登場人物たちも、ろくな人間ドラマもないのにちゃんと個性がつけられてキャラが立ってます。
見逃しがちだけど、映画作品としてこの要領のよさはけっこう凄まじいです。こっちはできるだけIQを下げて観てるのに、ストーリーもキャラの動きも頭にスッと入ってきます。
「アホでも楽しめる映画」だからこそ、作り手は頭よくないといけないと分かりますね。
まとめ:頭を悪くして楽しみましょう
これだけ頭が悪くて楽しい映画もそうありません。アクションシーンとパニックシーンの大盛り大食いチャレンジをしてるような気分になる作品です。
せっかく色々と狂った世界観だから、こっちが理性的で冷静な目で観ていたら逆に損です。できるだけ頭を悪くして、本能と野生のままに楽しみましょう。