映画の結末はハッピーエンドの方が観る側としてはすっきりできますが、中には強烈な印象を与える「バッドエンド」で終わる映画もあります。
ショッキングなバッドエンドは、ハッピーエンドとは違った何とも言えない後味を残してくれます。そんなバッドエンドな映画のおすすめの良作をまとめて紹介していきます。
ミスト
キングオブ鬱映画。バッドエンドな映画の帝王です。
原作はスティーヴン・キングの小説で、謎の霧に包まれた田舎町で、住民たちが霧の中から現れた「異形の化け物」に襲われていきます。
化け物に立ち向かうパニック要素も見どころですが、本当の注目ポイントは「人間の心理描写」です。生存者たちが恐怖心に負けて冷静さを失っていって、「化け物より人間の方がよっぽど恐いじゃん…」と言いたくなる地獄絵図になっていきます。
あまりにも酷い結末は、映画史に残るバッドエンドと言えるでしょう。
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ダンサー・イン・ザ・ダーク
こちらも映画界を代表するバッドエンド作品。目が見えなくなっていく病気に侵された女性の、辛すぎる日々と最期が描かれます。
辛すぎる境遇に陥っていく主人公の姿は、観ていてかなり精神的に来ます。こちらも「人間の恐さ・残酷さ」に焦点があたっていて、キャストたちの生々しい演技が見どころのヒューマンドラマとしても名作です。
結末は確かにバッドエンドなんですが、主演のビョークの歌声と合わさって、ただ悲劇なだけではないカタルシスが残ります。
アフターショック
新時代の天才ホラー監督として話題を集めるイーライ・ロスが製作した災害パニックスリラー。旅行先で大地震に襲われた青年たちのサバイバルを描きます。
一般的な災害パニック映画の「みんなで協力して危機を乗り切る」という定番をことごとく裏切ったストーリーで、自分だけは助かろうと他者を切り捨てる人々、パニックに乗じた暴動や火事場泥棒、さらにはどさくさに紛れて他人に暴行をはたらく人たちまで描かれます。
かなり胸糞の悪いサバイバルの果てに生き残った登場人物の結末も悲惨で、いや~な後味を引きずるバッドエンドが印象的です。
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ファイナル・デッドコースター
人気ホラーシリーズの3作目。ですが、ストーリーは「大事故の生存者たちが謎の不審死を遂げていく」というだけなので前作を観てなくても問題ありません。
一番の見どころは「登場人物たちが不運の連鎖でグロテスクに死んでいく」という死亡シーンで、ド派手に血肉が飛び散る死に様を「ありえね~w」と楽しむという不謹慎な作品になっています。
さんざん悲惨なストーリーの末にバッドエンド…というのがこのシリーズ恒例になっていて、この「ファイナル・デッドコースター」でもぶっ飛んだバッドエンドが待ってます。ショッキングな刺激が欲しい方におすすめの名作スプラッターホラーです。
ファニーゲーム
閑静な湖畔の別荘に遊びに来た一家が、突然やってきた青年2人組に理不尽に襲われるサスペンススリラー。
とにかく「不快」な演出と展開がたっぷりくり広げられる作品で、あまりにも理不尽で救いのないストーリーはストレスがマッハで溜まっていきます。「観客を不愉快にさせてやろう」という製作陣の全力がうかがえます。
この作品の監督が自らメガホンを取ったハリウッドリメイク「ファニーゲーム U.S.A.」もおすすめ。
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セブン
若手俳優だったころのブラッド・ピットが主演のクライムサスペンス映画。謎の連続殺人事件を解決しようとする2人の刑事の奔走が描かれます。
ショッキングな事件の連続でかなり不穏な空気がただよう作品ですが、聖書の「七つの大罪」にもとづくストーリーは王道の刑事サスペンスとしてかなり面白いです。最後はバッドエンドですが、ひとつの物語の結末として秀逸です。
ノック、ノック
「マトリックス」や「ジョン・ウィック」のキアヌ・リーブス主演。主人公の男が豪雨の路上で困っていた2人の女性を家に避難させてあげたところ、その2人によって理不尽な目に遭わされます。
ハニートラップや隠し撮りを駆使したこの2人の罠がかなり凶悪で、主人公がとにかくかわいそう。最後も救いがなくて、「現代社会って恐い…」と人間不信になってしまいます。
テイク・シェルター
「街が巨大ハリケーンに襲われる」という悪夢にとりつかれた男が、恐怖心から逃げるようにシェルター作りに取りつかれていく心理スリラーです。
貯金も時間も家族も顧みずシェルターを作る主人公は観ていてかなり痛々しくて、友人たちや妻から異常者扱いされていく様が憐れです。そんな中でも必死にシェルターを作って、ついにハリケーンが来る…?という展開からの斜め上のバッドエンドは、「マジか…」と絶句してしまいます。
ライフ
演技派俳優のジェイク・ギレンホールや「デッドプール」役でおなじみライアン・レイノルズ、さらに日本人俳優の真田広之が出演しているSF映画。宇宙ステーションの中でクルーたちが地球外生命体に襲われていきます。
名作「エイリアン」さながらの密室サバイバルにハラハラさせられて、衝撃的なバッドエンドにぞわっとさせられる新時代の傑作SFホラーです。
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縞模様のパジャマの少年
ショッキングなバッドエンドで有名ですが、戦争の悲劇を描いたヒューマンドラマとしても秀逸な作品です。
少年がなぜ縞模様のパジャマを着ているのか、2人はなぜフェンス越しで話しているのか…そんなストーリー上の要素が最後に衝撃的なかたちで明らかになって、トラウマが残ります。
ただバッドエンドなだけではない、考えさせられる結末の名作です。
まとめ
ひとことで「バッドエンド」といっても、精神的にきつい結末から観客の意表を突くエンディングまで、さまざまなかたちの見せ方がありますね。
どれも後味がいい作品ではありませんが、強烈に記憶に残る映画体験がしたいときは手に取ってみてください。