僕の好きなハリウッド俳優に、アイルランド出身のキリアン・マーフィーという人がいます。
世界的な大スターというわけではありませんが、実力派俳優として数々の話題作に出演。演技力はもちろん、とくに印象的なのは、透き通るような奥深さをもつ「目」です。
名監督クリストファー・ノーランもキリアン・マーフィーの目力に魅入られて、自身の作品の常連俳優として起用してます。
プライベートは明かさない主義で、パーティーやメディアへの露出も最小限。そんな人柄と独特の雰囲気が合わさって、ミステリアスな人物として知られてきました。
そんなキリアン・マーフィーの出演映画から、個人的なおすすめを紹介します。
28日後...
未知のウイルスが蔓延したイギリスで生存者たちのサバイバルを描くホラーアクション映画。低予算作品ながら予想外の好評価と大ヒットを記録し、主演したキリアン・マーフィーの出世作になりました。
ゾンビのように狂暴化した感染者はもちろん、生きるために他人を容赦なく切り捨てる生存者たちの暴走も見どころで、「ゾンビより人間の狂気の方が恐い」と思わせてくれます。
平凡な青年が崩壊した世界に少しずつ適応していく展開と、それを演技で見せるキリアン・マーフィーが印象的です。
プルートで朝食を
女性的な心を持った青年・パトリックが、周りの奇異の目を気にすることなく自分に正直に生きていきながら、会ったことのない実の母親を探してロンドンを旅する姿を描くヒューマンドラマ。
主演のキリアン・マーフィーの華やかな女装姿が最大の見どころで、主人公の明るい人柄と合わさったポジティブな魅力が、批評的にも高く評価されました。
どこか中性的な雰囲気もあるキリアン・マーフィーですが、単純な役柄よりこういうテクニカルなキャラクターを演じる方が、その個性が映えていて魅力的です。
サンシャイン 2057
活動を停止しかけた太陽を再活性化させるため、人類の命運をかけたミッションに挑む宇宙飛行士たちを描くSF映画。
主演のキリアン・マーフィー以外にも、真田広之やクリス・エヴァンス(キャプテン・アメリカの人)といった豪華キャストが並んでます。
ストーリーはホラーテイストで、人間の理解を超えた「宇宙」の神秘を不気味に描きます。キリアン・マーフィーのミステリアスな雰囲気とマッチして、背筋がゾワッとする不穏さが漂う隠れた名作です。
インセプション
クリストファー・ノーラン監督、レオナルド・ディカプリオ主演のSFサスペンス。「人間の意識の中に入り込む」という技術を使った主人公たちのミッションを描きます。
表面的な夢から深層心理までが複雑に絡み合うストーリーが見どころで、そんな心理世界を独特の映像で見せる、ノーラン監督らしい個性的な演出に惹き込まれます。
キリアン・マーフィーは特に活躍する役どころではありませんが、一癖ある演技は、脇役としてもしっかり存在感があります。
ダンケルク
第二次世界大戦の初期の戦闘を描いた戦争映画。こちらもクリストファー・ノーラン監督の作品です。
人間描写を排して「戦場」にスポットを当てた群像劇スタイルの異色作で、キリアン・マーフィーはその中で「戦闘のトラウマに怯えてろくでもないことをやらかす敗残兵」という残念なキャラクターです。
決してかっこよくはない役柄なんですが、「大の大人でも戦闘で死の危険を感じたらビビッてへたれてしまう」というリアルな戦場の一面を見せてくれます。
白鯨との闘い
「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワース主演で、捕鯨船の船員たちと化け物じみた白鯨との戦いを描く海洋アドベンチャー。白鯨と人間の死闘はもちろん、捕鯨船の沈没にはじまる壮絶なサバイバルも見どころです。
キリアン・マーフィーの役柄は、捕鯨船の実質的なリーダーである主人公の補佐役。目立たないところでさらっと主人公を支えつつ、さわやかな友情を見せてくれるいいキャラクターです。
TIME/タイム
「寿命が通貨としてやり取りされる」という世界を描いたSFアクション映画。ヒロインの声優を担当した篠田麻里子さまの吹替があまりにも下手くそすぎて話題になった作品です。
マリコさまの吹替はひどいんですが、ストーリーや演出はなかなかよくて、個性的な異色作として楽しめます。キリアン・マーフィーが演じる、どこか憎めないハードボイルドな悪役のキャラクターもナイスです。
ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦
ナチスドイツ軍の幹部ラインハルト・ハイドリヒを暗殺した、実在の部隊の秘密作戦を描く戦争サスペンス。
史実に基づくストーリーということで、映画的な派手さは控えめながらも「いかにバレずに作戦を遂行するか」「いかに裏切られずに市民やレジスタンスの協力を得るか」といった息の詰まる展開が連発されます。「バレて捕まる=死」という極限の状況の緊張感が見どころです。
キリアン・マーフィーは堂々の主演で、実際に作戦を指揮した将校を演じてます。こういう泥臭く戦う役柄をリアルに演じられるのも実力派俳優としての魅力です。
まとめ
「超イケメン」というわけでもなく、大スターのような華々しさがあるわけではなく、でも不思議と記憶に残るミステリアスな存在感が魅力のキリアン・マーフィー。
演じるキャラクターも悪役から主役、味のある脇役まで幅広く、とくに「どこか歪で影のある役」が似合う俳優です。
画面全体に独特の空気をもたせてくれるキリアン・マーフィーの出演作、ぜひ観てみてください。