ここ最近「会社のオフィスでサバイバル」系の映画が増えてる気がします。「サラリーマン・バトルロワイアル」とか「Z Inc. ゼット・インク」とか。
世界的なストレス社会の中で「思いっきり会社をぶっ壊してえ」という欲求がみんな溜まってるのかもしれませんね。
そんなオフィス・サバイバル系の新作のひとつが「Z Bull ゼット・ブル」です。低予算のB級作品ながら、異常なスピード感とテンションの高さ、ほどよいチープさで爆笑しながら楽しめる傑作でした。詳しくレビューします。
「Z Bull ゼット・ブル」あらすじ
2018年 アメリカ
監督:リン・オーディング
キャスト: ブレントン・スウェイツ、ジェーン・レヴィ、カラン・ソーニ、ザカリー・リーヴァイ
軍事企業アモテック社に勤めるデズモンドは、不真面目な勤務態度で上司に目を付けられる日々を送っていた。
ある日、会社のミーティングで新しく開発されたエナジードリンク「ゾルト」が配られるが、デズモンドはそれに手をつけずミーティングを抜け出す。その翌日にデズモンドが出勤すると、狂暴化した社員たちの暴走でオフィスは地獄絵図になっていた。
社員たちの暴走の原因が、実は失敗作の軍事用ドリンクだった「ゾルト」にあると知ったデズモンドは、同じオフィスで働く友人サマンサたちと共に脱出を図るが……
「Z Bull ゼット・ブル」感想
「アクションシーン全振り」のペース配分が清々しい
予告編からも低予算のB級映画であることがよく分かる「Z Bull ゼット・ブル」。ですが、その少ない予算の「ペース配分」がすごく上手いのが分かる作りでした。
まず、ストーリー上どうでもいい(?)シーンは笑っちゃうくらい雑です。セキュリティが作動してオフィスが封鎖される描写は「CGです!」と言わんばかりのショボさだし、そのセキュリティを解除するためには狂暴社員を突破して最上階の役員室に行かないといけない…という説明はイラストで済ませるし、手抜きで笑えます。
その一方で、アクションシーンだけは異常なまでのこだわりが感じられます。血肉が飛び散って人間もぶっ飛んで阿鼻叫喚になって、机も椅子も壁もぶっ壊れます。
「説明的なシーンはできるだけ安く済ませて、その分アクションを派手にしよう」という意気込みが感じられて見ごたえ抜群です。
クライマックスではショボいとはいえマシンガンや戦闘ロボットまで出てくるし、最後まで退屈させません。
「サラリーマンあるある」の使い方がひどい
ぶっ飛んだストーリーや血みどろアクションで苦笑させられるのはもちろん、「サラリーマンあるある」とでも言うべき小ネタの連発も笑えるポイントです。
キャッチボールを回してアイデアを出し合う班ミーティングを人間の生首でやったり、「メモ用ボードを持って忙しそうに歩いてる奴は声をかけられない」っていう風潮を利用してデズモンドが集団をやり過ごしたり、いちいち妙にリアルです。
さらに、「営業部は血の気が多い」とか「人事部は陰湿」とか「宣伝部は主張が激しい」とか偏見フルスロットルのオフィス描写も爆笑です。異常なまでに好戦的な営業部の群れとの大バトルは中盤の最大の見どころでしょう。
意外と豪華なキャスト
全体的にB級感が強い「Z Bull ゼット・ブル」ですが、キャストは意外と豪華なんですよね。
まず主人公デズモンド役のブレントン・スウェイツは「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」とか「キング・オブ・エジプト」とかの大作で主役級を演じてるし、ヒロイン役のジェーン・レヴィも「ドント・ブリーズ」で主演を務めた注目女優です。
さらに、敵役になる上司を演じたザカリー・リーヴァイは「シャザム! 」の主演で注目されてます。
ちゃんと実績があって演技できる人がメインキャストに並んでるのも、低予算なのに作品としてはそんなにショボく見えないポイントかもしれません。
まとめ:「これぞオフィス・サバイバル」な戦いが観られる傑作
もちろんハリウッド大作には勝てないでしょうが、「B級アクション映画」ということを前提にして観れば、ノリのいいアクションからブラックなギャグまで見どころが詰まった傑作です。
低予算ながら、実力派キャストを揃えて力を入れるべきところにしっかりと重点を置いた作りで仕上がってるのが成功のポイントでしょう。
頭空っぽで観られる不謹慎でアホなアクションコメディを楽しみたいときはおすすめです。