2010年に公開され、エイリアンによる地球侵略を一市民の目線から描いた「スカイライン -征服-」。
ハリウッドで大作のVFX映像を手がけてきた会社による製作ということで、エイリアンたちの攻撃を迫力のCGで見せた一方でストーリーはめっちゃ空っぽ。
「俺たちこんな派手な映像作れますぜ!」という映像会社のプロモーションみたいな内容で、アクションの面ではそこそこ評価されました。
そんな「スカイライン -征服-」のまさかの続編として公開された「スカイライン -奪還-」。映像面ではさらにスケールが増し、ストーリー面でも大きく進化したSFバトルアクションの傑作に仕上がってました。
「スカイライン -奪還-」あらすじ
2017年 アメリカ
監督・脚本:リアム・オドネル
キャスト:フランク・グリロ、イコ・ウワイス、ボヤナ・ノヴァコヴィッチ、ジョニー・ウェストン
ある日、世界中の都市に巨大な宇宙船が現れ、軍の抵抗もままならず凶暴なエイリアンたちが地上を蹂躙しはじめる。
刑事のマークは息子のトレントや他の生存者たちとともに逃げ延びようとするも宇宙船に囚われてしまうが、宇宙船内でエイリアンたちに抵抗し、さらに人間の意識を残したままの脳を取り込んだエイリアンの協力を得て脱出に成功するのだった。
宇宙船を抜け出しすとそこは東南アジアで、マーク達はエイリアンに抵抗を続ける現地のギャングの集団と出会う。マークを中心とした生存者たちは、生き残りをかけてエイリアンたちに戦いを挑んでいくのだった。
「スカイライン -奪還-」感想
映像のスケールはハリウッド大作並みに
前作もハリウッド一流の映像会社が手がけただけあって低予算映画のわりには映像がかなり綺麗でしたが、そのクオリティはこの「スカイライン -奪還-」でも健在です。
また、マンションの一室を舞台にしていた前作から都市全体へと物語のスケールもアップして、街の大破壊や巨大なエイリアンとの戦い、さらには宇宙船内部での逃亡劇がド迫力の映像でくり広げられます。
製作費的にはこの作品でもまだハリウッドの相場の1/3~1/4程度のはずですが、映像会社がセルフで作ってる分その辺のコスパがいいのか、まるでハリウッド超大作のようなスケール感です。
あと、文字通り「拳で」エイリアンと渡り合うクライマックスのアクションも見どころ。
東南アジアギャングを演じたイコ・ウワイスやヤヤン・ルヒアンは最近ハリウッドで注目されるインドネシア出身のアクション俳優ですが、彼らのアクションが凄すぎる。そこだけアジア格闘映画みたいになってます。
そして主演のフランク・グリロも武術にばりばりに精通したスタント俳優なので、彼の活躍もかなり目立つ。SF映画なのに戦闘シーンではがちの格闘アクションが楽しめるという異色作です。
ストーリーも奇跡的なバランスで熱い展開に
CG映像やVFXがすごいのに物語がかなりアレだった前作と比べて、ストーリー面でもかなりの進化がありました。
SF映画としてはガバガバでご都合主義な内容ですが、難しいことを考えずに頭空っぽで観れるアクション映画のストーリーとしてはテンポもよく、かなりスマートな作りです。
まず、マークをはじめとした主要人物が短い時間でしっかりキャラ立ちされていて、マークの同僚刑事などのチョイ役までちゃんと人間味があります。
さらに、マークとトレントの親子愛をストーリーの軸に据えた物語は意外と熱く、特に脳を奪われてエイリアンに取り込まれたトレントが人間としての記憶を思い出し、エイリアンの姿で人類の味方に回るシーンはかなり盛り上がります。
最後のオチもぶっ飛んでますが、まるでバトル系少年漫画のような熱さで、いい意味で「俺たちの戦いはこれからだ!」な感じで最高です。
前作と同じ脚本家が手がけたとは思えない(失礼)くらいうまくまとまってて、出来がよすぎて正直びっくりしました。
まとめ:前作からの圧倒的成長が表れた大健闘作
製作費としては前作の倍くらいですが、アクション描写とストーリーのクオリティが格段に上がって5倍も10倍も良くなってると思います。
この作品単体での面白さはもちろん、ストーリー的にかなり微妙だった前作からの圧倒的成長が感じられてなんか嬉しいですね。
製作会社のハイドラックスは元々はCG映像などを作る映像会社ですが、これくらいの作品を自力で作れるならこれからの自社作品にも期待が高まります。
予想以上に楽しめる、大健闘な傑作でした。