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「クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃」感想・評価 何気に超正統派モンスターパニック

映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語?サボテン大襲撃?

国民的アニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版作品は、子どもたちだけでなく大人もうならせる名作・良作をときどき生み出すことで知られてますね。

代表的なものだと「モーレツ!オトナ帝国の逆襲」とか「ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」とか。

そういう感動的な名作とはまた違いますが、劇場版23作目「オラの引越し物語 サボテン大襲撃」も大人が楽しめるユニークな作品のひとつです。

その内容はなんと「モンスターパニック」。怪物やエイリアン、ゾンビなんかに襲われるパニック映画が好きな人なら、間違いなく楽しめるでしょう。詳しくレビューします。

 

「クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃」あらすじ

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2015年 日本

監督:橋本昌和

キャスト:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、指原莉乃、日本エレキテル連合、宇賀なつみ

 

メキシコのとある田舎町「マダクエルヨバカ」で、甘い蜜を含む実のなる新種のサボテンが発見された。

野原ひろしが勤める双葉商事では、サボテンの実を商品化するために現地の支部が設立され、そこの部長に任命されたひろしは、しんのすけたち家族を連れてメキシコへの引越しを決意する。

慣れ親しんだ春日部を離れてマダクエルヨバカに移り住み、現地の生活にも次第に慣れていく野原一家。しかしある日、新種のサボテンたちが突然動き出し、人間を捕食しはじめる。

しんのすけたち野原一家と町の住人たちは、人食いサボテンの脅威から逃れようとサバイバルをくり広げていくが……

 

「クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃」感想

「街を襲う人食いサボテンの群れ」という衝撃のストーリー

「しんのすけたちが春日部から引っ越す」という展開もびっくりですが、「クレヨンしんちゃん映画でモンスターパニックがくり広げられる」というその後のストーリーも衝撃的です。

ファミリー向けコメディアニメなのでさすがに死者が出ることはありませんが(サボテンたちは消化がとても遅いので捕食された人たちは無事、という設定)、突然牙をむいたサボテンたちが人々を飲み込み、異様な混乱がしだいに広がっていく様がけっこう容赦なくパニックホラーで驚かされます。

しんのすけたち生存者が脱出の手を考えながら逃げ回るなかでサボテンが絶え間なく襲ってきて、次第に一人また一人と捕食されていって……という展開がまさにB級パニック映画。銃で応戦したり爆弾が出てきたりカーチェイスがあったりと、派手目なアクション要素も多いです。

こんなに真っ向からモンスターパニックな物語を見せてくれる作品、実写映画も含めて邦画ではかなり珍しいんじゃないでしょうか。

「スパイダー・パニック」とか「ドーン・オブ・ザ・デッド」とか「ザ・グリード」とか、そういうハリウッドの傑作パニック映画が思い出されます。

 

感動要素も意外と豊富

コンセプトがモンスターパニックということで全体的にハイテンションな作りの「オラの引越し物語 サボテン大襲撃」ですが、クレヨンしんちゃん映画おなじみの感動要素もしっかりあります。

今回は極端な号泣感動ものではなく、「なつかしい春日部の町や友だち、ご近所に別れを告げて、新しい土地へ旅立つ」という前半のほんのりノスタルジックな描写が中心。

それでも、しんのすけがまだ赤ちゃんの頃に買ったマイホームでの日々の回想シーンや、「かすかべ防衛隊」のメンバーたちとしんのすけの熱い別れのシーンは、クレしんシリーズのファンなら思わずウルっとくる切なさです。

シリーズ初の「引越し」がテーマだからこその感動で、なかでも野原一家の「わが家」の重要性があらためて感じられます。

 

強烈な個性を持つキャラクターたちも良い

クレヨンしんちゃん映画が良作になるか駄作になるかは「映画オリジナルキャラの良さ」で決まると個人的に思ってるんですが、その点でもこの作品はいい感じだったと思います。

しんのすけたちの味方になるヒロインも、しんのすけたちと対立するキャラも、その他のちょっとした脇役キャラもそれぞれ短い時間でしっかり個性が確立されてて、観たあとも記憶に残ります。

あと、スマホ好きの少女フランシスカを演じた元HKT48の指原莉乃がゲストのタレント声優としてはかなり上手で、言われないとほぼ気づかないくらいには馴染んでました。

 

まとめ:家族で楽しめるパニック映画としておすすめ

本格モンスターパニックを子どもも一緒に楽しめる映画として、かなり貴重な作品でしょう。

ふだんはパニックホラーが好きで、クレヨンしんちゃんとか興味ないよ、という方にもおすすめです。我が子が幼いうちからB級パニックの世界にしっかり染め上げるための作品としてもいいでしょう。

「子ども向けアニメ映画」の枠を超えて、パニック映画ファンをうならせる出来栄えの超正統派な良作でした。