映画の歴代興行収入記録を塗り替えた2009年の名作SF映画「アバター」。その主演を務めたサム・ワーシントンは、公開当時は一躍ハリウッドでトップクラスの注目を集めてました。
その時期のほかの出演作は「タイタンの戦い」や「ターミネーター4」。どちらも主役としての出演で、当時まだオーストラリア映画界のマイナー俳優でしかなかったキャリアを考えると異例の抜てきです。
これは多分、「猛プッシュして次世代の人気スターへと一気に押し上げたい」というハリウッドの狙いがあったんじゃないでしょうか。
ですが、その後は大スターと呼べるほどの話題には恵まれず、どちらかというと「中堅クラスの実力派俳優」くらいの位置づけに。立て続けに大作に主演したわりには地味なポジションです。
ハリウッド的には「ごり押しがスベッた」感があるのかもしれませんが、個人的にはサム・ワーシントンは今くらいのポジションが俳優としていい味が出てると思います。
「ハクソー・リッジ」での寡黙な上官役がベストフィット
猛プッシュされてた時期以降でのサム・ワーシントンの代表作と言えば「ハクソー・リッジ」でのグローヴァー大尉役じゃないでしょうか。
この作品で久々に彼をみたときは、「あれ?こっちの方が雰囲気よくない?」と思いました。
決して目立つ役どころではありませんが、アンドリュー・ガーフィールド演じる主人公ドズに静かに語りかけ、最後には上官として彼を支える役柄です。
この「寡黙な上官」というポジションが、サム・ワーシントン本人の雰囲気と合ってます。この人は華のあるキャラというよりは、静かにじっくりと表情や雰囲気で魅せるタイプの人なんだな、という感想。
「タイタン」で悩み抜く人間らしい主人公がよく似合う
Netflixオリジナル映画「タイタン」では主演を務めたサム・ワーシントンですが、このときの役柄はステレオタイプなハリウッド主人公ではなく、「地球外に適応するための科学実験で次第に"人間でない何か"になりながらも、家族を想う父親」という複雑な心境の役です。
ヒーロー性のほとんどない人間くさいキャラクターですが、もの静かな彼のイメージとよく合ってます。
派手さを排したこういう映画の空気自体がサム・ワーシントンと相性がいいんじゃないでしょうか。
まとめ:今の方がいい俳優だと思う
ド派手なハリウッド大作で主演を貼るようなスターだと、いい意味で「チャラさ」が求められることが多いんですよね。
ですが、サム・ワーシントンはそういうチャラさとは遠い人だと思います。もっと落ち着いててクールな印象です。淡々と喋ってたり、人間的な背景を表情で語るようなキャラクターが似合います。
まあ、私生活での本人の性格もそうなのかは分かりませんが(酔って暴れて逮捕歴とかもあるし)。
あくまで俳優としては、抑えた演技の渋い役柄が似合うと個人的に思います。複雑な背景を持つ悪役とか、人生経験豊かな父親役とかやってほしいですね。
(番外編)無名時代の出演作「マンイーター」
これは完全に余談ですが、サム・ワーシントンが有名になる前の出演作をひとつ紹介。2007年のオーストラリア映画「マンイーター」です。
大河のど真ん中でクルーズ船が故障し、乗員乗客たちが巨大なワニに襲われる、というパニック映画。
こじんまりとしたB級映画ですが、本物と見まごうほどリアルなCGのワニが凄まじい勢いで人間を水中に引きずり込んでいく様がかなり怖い超正統派モンスターパニックです。
サム・ワーシントンは重要なのかそうじゃないのかよく分からない中途半端なポジションですが、まだ無名の若かりし頃の彼が見られる作品として個人的におすすめ。
他にも「アリス・イン・ワンダーランド」でブレイクする前のミア・ワシコウスカとか、名女優ラダ・ミッチェルとかのオーストラリア出身俳優が出演してます。
「マンイーター」感想 ワニパニック映画の隠れた傑作(ネタバレあり) - 怠惰ウォンテッド
以上、おわり。