「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのフロド役で一世を風靡したイライジャ・ウッド。そんな彼が自ら製作総指揮と主演を務めたのが、まさかのゾンビコメディ映画「ゾンビスクール!」です。
脚本には「ソウ」や「インシディアス」で知られるリー・ワネルを迎え、その内容は徹底的にとがりまくった王道ゾンビコメディとして磨き上げられ、完膚なきまでに笑わせてくれます。
「ゾンビランド」や「ショーン・オブ・ザ・デッド」といった名作ゾンビコメディにも引けを取らない作品です。詳しくレビューします。
「ゾンビスクール!」あらすじ
2014年 アメリカ
監督:ジョナサン・マイロット、キャリー・マーニオン
キャスト:イライジャ・ウッド、レイン・ウィルソン、アリソン・ピル、リー・ワネル
小説家の夢に破れた青年クリントは、地元に帰って母校の小学校の臨時教師として働くことになる。
そこで同級生のルーシーと再会して意気投合するクリントだったが、彼女の現在の恋人で体育教師のウェイドに目を付けられてしまい、さらには他の教師たちもくせ者ぞろいで、前途多難な教員生活が始まるのだった。
ところが、給食の時間にチキンナゲットを食べた児童の一人がゾンビ化し、他の児童たちに襲い掛かる。チキンナゲットには何かのウイルスが含まれていたようで、なぜか児童たちだけが瞬く間にゾンビとなって教師たちを襲い出すのだった。
なんとか学校内に立てこもったクリントたちは、襲い来るゾンビキッズたちに身の回りのもので立ち向かうが……
「ゾンビスクール!」感想
「ゾンビキッズvs教師」の構図が凶悪すぎる
まず「ゾンビ化した子どもたちvs教師」というストーリーやテーマ自体が凶悪すぎます。
ゾンビになったとはいえ、子どもの姿をしたものを先生が学校の備品で殴って蹴って張り倒していく様はシュールを通り越してかなりブラック。体罰規制の時代に真っ向から切り込むスタイルです。
そんな構図のヤバさはもちろん、映像的な刺激もけっこう強め。ゾンビ映画としても十分に合格点レベルです。校庭で先生を取り囲んで腹から色々と引きずり出して貪る子どもたちは絵的にもすごくヤバいですが、これ子役はどんな気持ちで演じてたんだろう…
平凡なアメリカの学校校舎がグチャドロに汚れていく様はなかなか強烈でした。
キャラクターたちのクセの強さが異常
ゾンビコメディ映画としてのパンチの効き具合はもちろん見ごたえがありますが、それ以上にインパクトがあるのが「登場キャラクターたちのクセの強さ」でしょう。
こんな変人教師が一校に揃ってたまるか、というアクの濃さで、イライジャ・ウッド演じる主人公クリントが没個性的すぎて逆に目立ちます。
「スポーツできる奴がモテる」という高校時代までの価値観にすがりつく体育教師をはじめ、言動の端々からゲイであることを全く隠せてない美術教師、かんしゃく持ちでフェミニストチックな社会教師、死ぬほど空気読めない理科教師(脚本のリー・ワネル自ら熱演)と、それぞれのキャラが滲み出たセリフがいちいち笑いを誘います。
「アーユー レディ?」「アイム レディ!」「レディ!」「レディ!」「アイム ゲイ!」のカミングアウトのシーンはくだらな過ぎる名シーンでした。
そして多分一番パンチが効いてるのが、日系の警備員のおじさんハタチ。どこの90年代ハリウッドだよ!とツッコミたくなる「色々ズレてる勘違い日本人キャラ」です。
カンフーと空手と柔術がごっちゃになったような格闘技、突然もってくる海苔、日本昔話と中国神話が混ざったようなエピソードトークの披露など、ツッコミどころを一手に引き受けてます。
中盤はゾンビと戦うシーンが控えめになりますが、この教師たちのやり取りだけで笑ってられます。
まとめ:お下劣でくだらない笑いが好きならベスト
下ネタ満載、お下劣なジョークが満載で、間違っても「ロード・オブ・ザ・リングでイライジャ・ウッドが好きになった人におすすめ!」とは言えない悪趣味B級映画ですが、ゾンビコメディを受け付ける人なら絶え間なく笑って楽しめるでしょう。
ゾンビ化して暴れる子どもたちを軽快な音楽とともにぶっ飛ばす様をギャグとして捉えられるのであれば、間違いなくハマります。
「知性ゼロ・モラルゼロのお下劣でくだらない笑いを味わいたい!」というときにはベストな良作です。