実写版「ルパン三世」や「ゴジラ FINAL WARS」、「あずみ」などの邦画大作を手がける一方で、ハリウッドで「ミッドナイト・ミートトレイン」などゴリゴリのホラー映画を撮ってきた北村龍平監督。
B級ホラーというマイナーなジャンルとはいえ、ハリウッドで活躍する数少ない日本人監督の一人です。
そんな北村監督のアメリカ最新作「ダウンレンジ」がNetflixで配信されてたので何気なく観てみましたが、これが予想以上にテンポよくスリリングな良作でした。詳しくレビューです。
「ダウンレンジ」あらすじ
2017年 アメリカ
監督:北村龍平
キャスト:ケリー・コネアー、ステファニー・ピアソン、ロッド・ヘルナンデス、アンソニー・カールー
一台の車に相乗りした6人の男女が荒野の道を走っていると、突然タイヤがパンクする。
足止めを食らってスペアのタイヤと交換する作業を始める彼らだったが、割れたタイヤから銃弾が転がり出てくる。さらに、突如どこかから狙撃され、頭を撃ち抜かれて倒れる者が続出する。
なんとか車の後ろや木の陰に隠れて生き残った面々は、身動きの取れない状況から助けを求める方法を考えていくが……
「ダウンレンジ」感想
センスフルなカットで見せる大盤振る舞いのゴア描写
まず、ハリウッドではゴリッゴリのホラー映画監督として知られる北村龍平監督らしく、ゴア描写の力の入れ具合が凄まじいです。
初っ端から頭に大穴あけていろいろ中身が出てくる犠牲者が発生し、その後もイケメンだろうが美女だろうが関係なく体の色々な内部パーツがお外にこんにちは。
子どもだろうと容赦なく撃ち抜かれるし、爆破炎上する人もいるし、グチャグチャすぎて何がどうなってるのかよく分からない状態になる人も。
さらに、「撃ち抜かれた頭の穴の中からズームアウト」とか見たことない異常な構図が出てきたり、想い人同士の男女が偶然にも横並びに寄り添うように倒れたり、妙にセンスフルな描写もあったりしてただエグいだけではありません。
生存者の数が減ってくると「替え玉お持ちしましたー!」とばかりに新たな車が通りかかって犠牲者の頭数が増えたりと、とにかく全編にわたって大盤振る舞いです。
無駄を削ぎ落した異常なまでのテンポのよさ
この手のワンシチュエーションスリラーの最大の敵が「中盤の中だるみ」ですが、この「ダウンレンジ」ではそれがまったくありません。
先述のように丁度いいタイミングでお代わりの犠牲者がやってくるのもあるし、登場人物たちのサバイバルもバリエーションに富んでるし、スリルやテンポ感の邪魔にならない程度の人間描写もあるしで、飽きさせず見せてくれます。
何しろ映画が始まって最初のカットがもうメイン6人の乗る車のパンクのシーンで、テンポのよさが異常です。
てっきり最初は「私たちも乗せてくれない?」「いいとも!君たちの目的地はどこらへんだい?」みたいなやりとりで尺稼ぐと思うじゃん?稼がないんだよね。出会って3秒でパンクです。凄すぎる。
終盤のクライマックスでもちゃんと追加のお代わり犠牲者を加えて派手な見せ場があったりと、スリリングな中での緩急のつけ方もお見事。あまりにも衝撃的なラストまで、お子様の教育に悪すぎるハラハラドキドキが満載です。
まとめ:「スリル」と「ゴア」を一切の無駄なく楽しめる
とにかくサイコサスペンスとしての「スリル」と、ホラー映画としての「ゴア」のみを徹底的に追求した作品でしたね。潔いまでに無駄を排したショッキングな展開の連続で、文字通り「90分ノンストップ」で楽しませてくれます。
エグいシチュエーションスリラー、エグい破壊描写が観たいなら、きっと満足できる一本です。