「エンド・オブ・ホワイトハウス」と「ホワイトハウス・ダウン」。どちらもテロリストによってホワイトハウスが襲撃されるアクション映画で、たまたま同時期にハリウッド大作として公開されたことで話題になりましたね。
「ホワイトハウス・ダウン」がチャニング・テイタム主演で軽めのテイストだったのに対して、この「エンド・オブ・ホワイトハウス」は硬派でシリアスな作風でした。ですがよく見てみると、こっちの方がよっぽどツッコミどころ満載なんですよね実は。
真面目なふりしてかなりぶっ飛んだ本作を詳しくレビューします。
「エンド・オブ・ホワイトハウス」あらすじ
2013年 アメリカ
監督:アントワーン・フークア
キャスト:ジェラルド・バトラー、アーロン・エッカート、リック・ユーン、モーガン・フリーマン、ラダ・ミッチェル
シークレット・サービスの警護官であり、大統領の友人でもあったマイク・バニングは、大統領夫人が死亡したある事故をきっかけに現場を離れていた。
そんなある日、正体不明の軍用機や旅行者に扮した武装集団がホワイトハウスを襲撃。さらに、ちょうどホワイトハウスを訪れていた韓国首脳の護衛チームに北朝鮮のテロリストが紛れ込んでおり、ホワイトハウスは瞬く間に陥落してしまう。
近くの政府施設に勤務していたバニングは、密かにホワイトハウス内に侵入。人質になった大統領を救うためにたった一人で奮闘していく。
「エンド・オブ・ホワイトハウス」感想
怒涛のアクションはインパクト大
この作品の最大の見どころは、何といっても「アクション」でしょう。
序盤の襲撃シーンからいきなりクライマックスなみの大迫力。特に大型ガンシップがホワイトハウスや周辺地域を銃撃していくシーンは度肝を抜かれます。テロリスト集団の攻撃もかなり熾烈で、無関係の職員や市民も巻き添えになったりと悲惨なシーンも多くなってます。
ジェラルド・バトラー演じるバニングが参戦してからはまさに「ダイ・ハード」状態ですが、ホワイトハウス外の高官たちと連携をとったり、決死のヘリ部隊による奪還作戦もあったりと、見せ場が尽きません。
そして、この手の映画では「主人公以外の兵士や警官は超無能」というのがお決まりですが、本作ではシークレットサービスや兵士もけっこう奮闘するんですよね。
序盤の襲撃シーンでもホワイトハウス陥落までにテロリストの何割かはシークレットサービスに射殺されてるし、ヘリ部隊の攻撃シーンでもテロリストの反撃にかなり奮闘した上で全滅前に撤退してます。
その他大勢のモブキャラもプロの警護官や軍人なわけで、ただではやられてない点にリアリティと見ごたえがありました。
ツッコミどころ多すぎ
破壊描写や演出的にもかなりシリアス寄りな作風の「エンド・オブ・ホワイトハウス」ですが、よく考えたらツッコミどころ多すぎるんですよね。
まず正体不明の軍用機がホワイトハウス間近まで撃墜もされずに侵入するなんてあり得ないだろうし、そもそも「韓国大統領の護衛チームに北朝鮮のテロリスト(しかも顔が知られてる)」が紛れ込むなんていくらなんでも不可能なはず。
アクション面ではかなり凝った描写が多い一方で、ストーリー面はガバガバな部分が目立ちます。真面目なふりして実は超おバカアクション映画です。
現実的にあり得るかどうかよりも、「ホワイトハウス陥落」をなるべく派手に演出するためにどうするかが重視されてるんだろうな、と思えます。
「アメリカ万歳」感もたっぷり
アクションの派手さとストーリーのツッコミどころに目がいきがちですが、よく考えると今どき珍しいくらい「アメリカ万歳」映画ですよね。
大統領はじめ政府高官たちの「アメリカの正義のためにテロには屈しない!」感はまさにそれだし、シークレットサービスの主人公が大統領とアメリカを救うために孤軍奮闘なんてアメリカが大好きそうな英雄ストーリーです。
その一方で北朝鮮という現実の国家を明確に敵として描いてたり、韓国の扱いがあんまりにもあんまりだったり、アジアに対して睨みを効かせるような展開も。
そんなにプロパガンダ色が強いわけじゃないんですが、ナチュラルに「アメリカ強い、アメリカ偉い」感を出してくるのが色んな意味でアメリカらしいです。
まとめ:壮絶なツッコミ大作シリーズの幕開け
相当ぶっ飛んだ男気アクション映画として楽しめますが、まさかこれがシリーズものになるとは思いませんでしたね。
続「エンド・オブ・キングダム」はさらにツッコミどころ盛りだくさんの超大バカ映画になってるし、それでいて妙にシリアスな雰囲気は崩さないし。
さらに3作目「エンド・オブ・ステイツ」まで作られてしまって、もう収拾がつきません。こんな短期間でアメリカ大統領が何度も襲われるわけあるか。
そんなツッコミ大作シリーズの記念すべき幕開け作品として、「エンド・オブ・ホワイトハウス」はアクションファンなら間違いなく楽しめる名作です。