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「マローボーン家の掟」感想 凄まじい展開と後味に絶句させられる(ネタバレなし)

マローボーン家の掟(字幕版)

これは凄い映画です。怖さと切なさ、穏やかさと不穏さが絶妙に入り混じって驚愕のストーリーを展開して、最後には思わず絶句してしまうほどのカタルシスを与えられる傑作でした。

キャストには「ストレンジャー・シングス」シリーズで人気になったチャーリー・ヒートンをはじめ、ジョージ・マッケイやアニャ・テイラー=ジョイ、ミア・ゴスなど若手注目俳優が集結。

静かな中にも緊張感が途切れず、それでいてどこか温かくもある本作の内容を詳しくレビューします。

 

「マローボーン家の掟」あらすじ

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2017年 アメリカ、スペイン

監督:セルヒオ・G・サンチェス

キャスト:ジョージ・マッケイ、アニャ・テイラー=ジョイ、チャーリー・ヒートン、ミア・ゴス、マシュー・スタッグ

 

1968年、アメリカのとある田舎町。イギリスから母ローズに連れられて町はずれの屋敷に越してきたジャック、ビリー、ジェーン、サムの4人は、とある理由から人目をさけ、ローズの旧姓である「マローボーン」を名乗っていた。

越してきて間もなくローズが病で亡くなると、4人の兄弟は「4人離れることなく屋敷で暮らし続ける」「長男ジャックが法的に皆の保護者となれる21歳になるまで、母の死を周囲に隠す」という掟を守って自分たちだけで暮らし始める。

ところがそこへ、4人がイギリスを離れて隠れ暮らす原因となった「ある人物」が現われる。さらに、屋敷の中で異常な現象が発生していき……

 

「マローボーン家の掟」感想

不穏さの中に伏線を、穏やかさの中に人間味を散りばめる

ホラーでありミステリーであり、ヒューマンドラマでもある「マローボーン家の掟」。作中への伏線や人間描写の散りばめ方が絶妙です。

おどろおどろしく不穏であり、その中に巧みに隠された伏線が後からじわじわと効いてきます。そして、怖いのにどこか穏やかで温かい雰囲気もあって、「大草原の小さな家」のような牧歌的な風景を楽しめるのも魅力です。

ノスタルジックな「ひと夏の冒険」感にほっこりしたところで、ドロッとした闇を感じさせるホラー描写が広がります。そして、長男ジャックと近所に住む少女アリーの淡い青春を微笑ましく思ったところで「兄弟たちが隠れ住む理由」という暗いバックグラウンドが押し寄せてきます。

描写のボリューム的にも観客に与える印象の点でも、この2面性の見せ方が絶妙でした。

 

衝撃の真相を「疑わせない」「想像させない」誘導が見事

伏線の散りばめ方やストーリーの持っていき方も見事なんですが、作中に隠された秘密を「疑わせない」、衝撃の真相を「想像させない」誘導もすばらしく見事なんですよね。

「ストーリーがこう進むのはこういう理由があるからだ」とこちらが信じていたら、それこそが実はミスリードだった、と分かる終盤の衝撃が凄まじいです。展開の秀逸さはもちろん、その披露の鮮やかさにいい意味で絶句させられました。

それまでのホラー/ミステリー/ヒューマンドラマとしての奥深い描写があるからこそクライマックスの後味は切なさや感動や恐怖が入り混じった重厚なものになっていて、鳥肌総立ちです。

 

若手キャストたちの名演が光る

ショッキングで圧倒的なストーリーを支える俳優陣も良かったです。若手の注目株が勢ぞろいでした。みんな演技めちゃめちゃうめえ。

キャストの中では先述のように「ストレンジャー・シングス」で知られるチャーリー・ヒートンや「スプリット」のアニャ・テイラー=ジョイ、「キュア 〜禁断の隔離病棟〜」のミア・ゴスあたりが特に有名でしょうが、実質主人公となる長男ジャック役のジョージ・マッケイがこの中では無名ながら圧倒的に記憶に残りました。やや無個性かと思いきや、終盤で大化けしてましたね。

あと、末っ子サム役のマシュー・スタッグが超かわいい。これからが注目の子役じゃないでしょうか。

 

まとめ:2019年のトップ5に入る傑作だった

緻密に作り込まれたストーリーを上質な演出で描き出し、そこに若手実力派たちの演技が加わることで、全方面がハイクオリティに仕上がってました。本当に怖いし本当に泣けます。

(日本での)2019年公開作の中でも、個人的にトップ5に入る傑作でした。いいもの観れた。

マローボーン家の掟(字幕版)