「ダイ・ハード」シリーズでおなじみのハリウッド俳優ブルース・ウィリス。最近では小粒なアクションサスペンス映画への出演が多い彼ですが、この「デス・ウィッシュ」はそんな小規模作品の中では、頭一つ抜けてよくできていたと思います。
重たいストーリーとは裏腹に、意外とマイルドでサクッと楽しめる作風の良作でした。詳しくレビューします。
「デス・ウィッシュ」あらすじ
2018年 アメリカ
監督:イーライ・ロス
脚本:ジョー・カーナハン
キャスト:ブルース・ウィリス、 ヴィンセント・ドノフリオ、ディーン・ノリス、カミラ・モローネ
優秀な外科医として働き、妻と娘を愛する穏やかで善良な人間として生きてきたポール。ところがある日、自分が仕事に出ているタイミングで家に強盗が入り、妻が殺害されて娘が意識不明になるという悲劇に見舞われる。
それをきっかけに「悪からは自分で身を守るべき」という思考になっていくポールは、やがて街の犯罪者を「始末」しつつ、家族を襲った強盗犯を探していく。
しだいにポールは「悪を討つ謎の男」として話題を集め、警察の捜査も迫ってくるが……
「デス・ウィッシュ」感想
思ってたより重くない
「妻の命を奪われて娘を重体に陥らされた男の復讐劇」とあらすじを聞くと相当重そうなストーリーですが、それまで荒事なんて知らなかった主人公が少しずつ銃の腕を磨いて、悪を討っていく展開が痛快なのでわりとサラっと観ることができました。
さらに、ブルース・ウィリスのキャラもいいですね。「ダイ・ハード」とか「RED」とかのときの軽めの雰囲気で、イケイケなノリで悪党どもを容赦なく撃ってくれて気分がよかった。路上の売人をあまりにも突拍子なくハチの巣にするシーンは爆笑必至です。
あと、どうでもいいですが主人公のYouTubeの活用がすごい。銃の撃ち方から傷の治療方法から監視カメラのデータ破棄の方法までなんでもYouTubeで分かるんですね。情報化社会ばんざい。
イーライ・ロス風味は控えめ?
内容がわりとオーソドックスなクライムアクションなので忘れがちですが、この「デス・ウィッシュ」はイーライ・ロスの監督作なんですよね。
イーライ・ロスといえば「ホステル」「グリーン・インフェルノ」などゴアッゴアなショッキングホラー映画の名手、というイメージですが、本作ではそんな彼の風味はかなり控えめ。悪党の一人を車の下敷きにして叩きつぶすシーンくらいでしょうか。
かといって物足りないということはなく、濃いキャラの主人公が派手に復讐をかましていくストーリーやベタな家族愛のドラマのおかげで、グロなしでも十分楽しめます。
各キャラの行動・展開が以外だった
この「デス・ウィッシュ」、主人公の弟役でヴィンセント・ドノフリオが出てるんですが、この人がこういういい人役で出てきたときは裏がある、というイメージがあったんで、ずっと疑って見てたんですよね。
が、結局最後までふつうに「いいおじさん」だったという。がっかりしたような安心したような…という困った気持ちでした。
他にも、ディーン・ノリス演じる刑事さんの最後の行動も意外でした。
ご本人が悪役顔っていうのもあって、復讐とはいえ法を犯していく主人公と敵対するのかと思ってたんですよね。それが最後には「主人公の行いに感づきながらも忘れてあげる」というめちゃめちゃ優しい選択をしてくれたのに驚きました。
まとめ:サクッと楽しめるコンパクトな良作
主人公の弟から刑事さんまで周りの人たちがみんな優しいし、主人公のキャラも暗くないし、アクションは痛快だし、エンタメアクション映画として軽快に楽しめる要素がしっかり詰まってました。
ストーリー的にはベタな復讐劇の範囲内だし、舞台もひとつの都市内という小粒な作品ですが、だからこそサクッと楽しめるコンパクトな良作です。
ブルース・ウィリスのファンはもちろん、アクション映画が好きなら見て損はありません。