限定された環境を舞台に、スリリングで恐ろしいストーリーがくり広げられる「シチュエーションスリラー映画」。
「ソウ」シリーズのヒットをきっかけに、ホラー・サスペンス映画界で一気にブームを巻き起こしたジャンルですね。
そんなシチュエーションスリラー映画の名作・良作・異色作を、カテゴリごとに紹介していきます。
定番の傑作から「こんなのもあるの!?」って感じの変な作品まで、チェックしてみてください。
定番の王道シチュエーションスリラー映画
シチュエーションスリラーの金字塔:「ソウ」シリーズ
とりあえずこれを観なければシチュエーションスリラー映画は始まらない、と言ってもいい金字塔的な名作。現在8作目まで続く大ヒットシリーズです。
サイコキラー・ジグソウによる「命の尊さをお勉強させる死のゲーム」の数々や、ジグソウを追う刑事たちの奮闘が見どころ。シリーズを重ねるごとにグロくなっていくゲーム描写はトラウマ必至です。
カルト的人気を誇る怪作:CUBE
立方体の部屋が並ぶ謎の空間に閉じ込められた人々が、まるでパズルのような謎を解きながら脱出を試みるシチュエーションスリラーの名作。
ワンシチュエーションものの低予算作品ながら、アイデアの光るストーリーとショッキングなトラップ描写に惹きこまれます。
「ソウ」シリーズよりも昔の作品ですが、そのスタイリッシュな面白さは今観ても色あせません。
閉鎖空間での心理実験が巻き起こす恐怖:エクスペリメント
こちらは心理的に攻めてくるタイプのシチュエーションスリラー。エイドリアン・ブロディとフォレスト・ウィテカーのW主演で、ドイツ映画をハリウッドリメイクした作品です。
「囚人役と看守役に分かれて過ごす」という心理実験がテーマで、はじめは冗談半分の和やかな空気だったのにしだいに地獄絵図と化していくシチュエーションが見どころ。フォレスト・ウィテカー扮する看守がガチで怖いです。
これが実話をもとにしてるというから驚きですね。
独特のシチュエーションが特徴のスリラー映画
電話ボックスで巻き起こる事件:フォーン・ブース
公衆電話ボックスのみを舞台に、謎の男からの電話を受け取ってしまったせいでとんでもない事態に巻き込まれる男を描くサスペンススリラー。
かなり限定された特殊なシチュエーションながら、めまぐるしい展開でまったく退屈しない秀作です。
主演が若手俳優の頃のコリン・ファレルで、刑事役にフォレスト・ウィテカー、さらに電話の声の主にキーファー・サザーランドと、意外な豪華キャストも見どころのひとつ。
「箱の中」という極限状態:リミット
極限状態のシチュエーションスリラー映画として有名な作品ですね。
地中の箱の中に閉じ込められた男が、わずかなアイテムを駆使して脱出を試みます。
酸素がじわじわ減っていく中でのサバイバルはとてつもない緊張感に満ちていて、特に閉所恐怖症の人にとっては息が詰まるほどのトラウマ映画じゃないでしょうか。
主演は「デッドプール」でおなじみライアン・レイノルズです。
スキー場のリフトに取り残される:フローズン
スキー場のリフトに乗ったまま電源を止められて営業終了されてしまい、極寒の空中に取り残される男女を描くサバイバルシチュエーションスリラー。
寒さと孤独感の表現が上手で、「どうすんのこれ…どうすんの…」というリアルな焦りを感じさせてくれます。
無理に飛び降りて骨折、素手でリフトの手すりを触ってしまって凍傷…など「痛い」描写のインパクトも強くて、観ていて心臓がキュッとなる異色の良作です。
「フローズン」感想 絶妙にリアルなところが痛くて恐い(ネタバレあり) - 怠惰ウォンテッド
意外な場所でのシチュエーションスリラー:ATM
タイトル通り、真夜中のATMに入ったら外に謎のサイコキラーが現れて出られなくなり、しかもあの手この手で追いつめられていく…という変わり種のシチュエーションスリラー映画。
かなりキワモノっぽい設定ですが、ナイスアイデアで魅せるサバイバル展開のバリエーションが凄くて、全然飽きません。
「マジか!」と驚かされる数々の演出から衝撃の結末まで、ノンストップで楽しめる小粒な良作です。
サウナに閉じ込められたら:247°F
「サウナから出られなくなる」という、考えただけでも恐ろしいシチュエーションを描くパニックスリラー。お風呂感覚でサウナに入るのが一般的なヨーロッパ映画です。
「熱い熱い!」な描写は観ていてかなりしんどくて、なんとか脱出しようとしたり、焦って言い争いになったりしていく展開もやきもきさせられます。
現実にあり得ないとは言えないシチュエーションだからこそ、妙にリアルな怖さがある作品です。
エレベーターに閉じ込められる:デビル
エレベーターに閉じ込められた5人の男女。さらに、機内の電気が消えるごとに一人また一人と死んでいく…というサスペンスホラー的な作品です。
「シックス・センス」や「スプリット」でおなじみM・ナイト・シャマランが製作を務めた映画で、彼らしいドロッとした雰囲気と衝撃の結末も見どころ。短時間でサクッと楽しめます。
エレベーターに閉じ込められるその2:エレベーター
こちらもエレベーターに閉じ込められる系シチュエーションスリラー映画です。身近な舞台だけに人気がありますねエレベーター。
舞台となるエレベーターがでかいから登場人物が豊富で、意外な展開の連続に飽きません。「そう進んでいくか…」というストーリーはテンポもよくて、普通に楽しめる良作です。
あと、閉じ込められるメンバーの中にいる少女が本当に憎たらしくて、映画史上最も憎たらしい子どもといっても過言ではありません。
デスゲーム系のSFシチュエーションスリラー
誰が生き残るか「議論」する異色作:サークル
謎の空間で目覚めた50人の男女が、最後の一人になるまで「議論と投票」で2分ごとの犠牲者を決めていく…という超異色のワンシチュエーションスリラー。
無名俳優による低予算映画ですが、「議論」だけでここまで色々な展開を見せてくれるとは!と驚ける良作です。
年齢、扶養家族の有無、社会的地位、犯罪歴などのトークを駆使していかに「自分以外の人が先に死ぬべきか」を語り合い、みんなの目から自分を逸らして生き延びていくか争う様はまるで舞台劇を観ているよう。
議論の主導権を握っていた奴が失言であっさり退場したり、衝撃的な結末があったりと、ワンアイデアのサスペンスとしてめちゃめちゃ面白いです。
DVDなどもほとんどなく、Netflix配信でしか観られないマイナー作品ですが、これはもっと知られてほしい。
追い抜かれたら死:ヒューマン・レース
気がつくと謎の広場にいた80人の男女が、「トップの人から2周遅れたら死」というマラソンデスレースを強いられるシチュエーションスリラー映画。
80人の顔ぶれは俊足ランナーから足の不自由なお年寄り、妊婦、子どもまでさまざまで、誰もが容赦なく犠牲になっていく血も涙もないサバイバルはかなり胸糞な部分も多いです。
かといってただの悪趣味なB級映画ではなく、予想外の展開から意外な結末までしっかりシチュエーションスリラーとして観客を驚かせてくれます。
まとめ:シチュエーションスリラーも十人十色
一口に「シチュエーションスリラー」といっても、その作風タイプやストーリーの見せ方は様々です。
色々なアイデアを凝らしたシチュエーションスリラーの良作が次々に生まれているのは、ホラー・サスペンス映画ファンとしては嬉しいかぎりですね。
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