ホラー映画では「山小屋でキャンプしてるところに現れる不審者=殺人鬼」というお決まりのルールがありますね。
それを逆手に取ったこの「タッカーとデイル 史上最悪にツイてない奴ら」。人を見た目で判断しないことの大切さ、集団でウェイウェイ騒ぐ中で冷静な思考力を失わないことの大切さを教えてくれる道徳的な名作です(嘘)。
詳しくレビューしていきます。
「タッカーとデイル 史上最悪にツイてない奴ら」あらすじ
2011年 アメリカ、カナダ
監督: イーライ・クレイグ
キャスト:アラン・テュディック、タイラー・ラビン、カトリーナ・ボウデン、ジェシー・モス
キャンプをしようと山奥へ向かう大学生グループは、道中で同じく山奥に向かう怪しい男2人組と出会い、警戒心を深める。ところが、湖で泳いでいたときにアリソンという女子が溺れ、男の一人に連れていかれる。
アリソンが目を覚ますと、怪しいと思っていた男2人(タッカーとデイル)はただの気のいい男たちで、溺れた彼女を介抱してくれたのだった。
それを知らずタッカーたちを誘拐犯のサイコキラーだと思い込んだ他の大学生たちは、アリソンを救い出そうと行動を起こすが……
「タッカーとデイル 史上最悪にツイてない奴ら」感想
セルフ「ファイナル・デスティネーション」シリーズ
「ただの善良な男2人をサイコキラーだと勘違いした大学生グループが、反撃のつもりで自爆していく」というとんでもないストーリーのこの作品。
最大の見どころは、大学生たちのあまりにもバカバカしくて間抜けな自爆シーンでしょう。
よそ見して走ってたら木の枝に貫かれ、すっ転んで粉砕機に頭から突っ込み、うっかり自分を撃ち抜く。その様はまさに「100%自業自得なファイナル・デスティネーション」という感じです。
しかもですね、この大学生グループやたらと人数が多いんですよね。こういうスプラッターホラーの犠牲者は5~6人程度が相場なのに、こいつら10人くらいいる。明らかに死亡シーンを増やすための人員なのが笑えます。
その死に様はかなりグロテスクだし、色々と肉々しいものが映ります(粉砕機で下半身だけになっちゃった奴の断面とか)。
ですが、大学生たちが「あいつらはサイコキラーだ!許さない!」と勝手な正義感で騒いでてかなりムカつくので、どんなに悲惨な最期でも「こいつら自分が悪いっしょwww」と気楽に笑って観れるのが嬉しいポイントです。
人を勝手に悪人と決めつけるな
この「タッカーとデイル 史上最悪にツイてない奴ら」から学べる大切な戒めが「人を見かけで判断してはいけない」ということでしょう。
その反面教師である大学生グループは、初っ端からかなり憎たらしくてイラつく奴らです。タッカーとデイルを頭から不審者と決め込み、「近づくなこのキモ男!」といった態度。
確かにタッカーとデイルは紛れもなく「汚らしいおっさん」でしょう。この物騒な世の中で警戒するのも分かります。
しかし、「自分から突っかかる」のはいけません。相手がただの個性的な見た目の人なら理不尽に傷つけることになるし、ヤバい人だったらそれはそれで、関わらなければ避けれたかもしれないトラブルをわざわざ招くことになります。
何よりたちが悪いのが、この大学生グループが「集団でウェイウェイ固まって気が大きくなって、勘違いの正義感を発揮する」という人間として最悪のパターンにハマっている点です。
学校でこういうイケイケなリア充と縁がなかったタイプの人間にとっては、この無駄にウザい正義マンに冤罪で絡まれるのはとても面倒で恐いことでしょう。
まあ、そんなウェイウェイな正義マンたちが自業自得で酷い目に遭うからこそ、この映画は面白いわけですが。
人を勝手に悪人と決めつけて騒げばどんな不幸を呼ぶか、彼らは身をもって体現してくれています。
まとめ:エグいのに笑えるブラックコメディの秀作
「不潔そうなおっさん」を被害者に、「明るくて元気な若者」を加害者に据えてふだんのホラー映画の構図を逆転させ、ショッキングな描写で過激に笑わせてくれる「タッカーとデイル 史上最悪にツイてない奴ら」。
描写のエグさを大学生たちのウザさでうまいこと中和して、ブラックコメディとして爽快に笑える秀作に仕上がっています。
変わり種のホラーコメディとしておすすめです。ただし血が苦手な人は厳重注意。