「お金に困って誘拐を計画・実行する」というクライムサスペンスはそれこそ腐るほどあります。その中でどう個性を見せるかが作り手の腕の見せ所でしょう。
そんな中でこの「クライム・オブ・マネー 完全犯罪」は「誘拐の仲間がめーっちゃめちゃ問題児」 という変わった方向から予想外のストーリーに進む点に一定の目新しさと見どころがありました。
ゲ〇先行レンタルの一押し作品としてリリースされたこの作品を詳しくレビューします。
「クライム・オブ・マネー 完全犯罪」あらすじ
2011年 アメリカ
監督:アーロン・ウッドリー
キャスト:ケヴィン・ゼガーズ、デヴォン・ボスティック、タチアナ・マスラニー、ヴィクター・ガーバー
就職難と母親の困窮によって経済的に追い詰められていた青年ポールは、世の中に不満を持つジェンナとディーンという若者を仲間に引き入れて富裕層の子どもたちを誘拐する計画を立てる。
子どもたちを誘拐・監禁して親たちに身代金を要求し、順調に進むかに見えた計画だったが、予定外の一発の発砲をきっかけに事態は急変していき……
「クライム・オブ・マネー 完全犯罪」感想
とんでもない誘拐仲間が引き起こすトラブル
ストーリー的には「お金に困った主人公が仲間を募って富裕層の子どもを誘拐する」というごく平凡な内容の「クライム・オブ・マネー 完全犯罪」。ですが本作の誘拐犯たち、とんでもないです。
まず、主人公であり誘拐リーダーのポールはまともです。頭もいいしイケメンな好青年。もし不景気と母親の生活苦でお金に困らなければ、わざわざ誘拐なんて犯罪をしなくても生きていけたタイプ。
ですが、彼が引き入れた誘拐仲間2人がいけない。いわゆる「自分たちがくすぶってるのは富裕層による不当な扱いだ」と世の中を逆恨みしてる系の若者たちですが、そのせいで無駄に血の気が多くてポールの言うことを聞かなさすぎです。
ポールがよりにもよってこんな奴らを選んだのにはちゃんと理由があって、後半で明らかになっていきますが、ここまでおバカとはさすがに予想外だったのでしょう。
こいつらのせいでシンプルなはずの誘拐事件がとんでもない方向へと進みますが、そのおかげで視聴者的にはストーリーが動いて面白いです。
「完全犯罪」って断言するほどか…?
「誘拐仲間が底抜けのポンコツ」という点で予想外の展開を見せてくれる「クライム・オブ・マネー 完全犯罪」ですが、他にもけっこう挑戦的というか、工夫を見せようとする演出が多めです。
特に誘拐された3人の父親たち(身代金を要求されて揉め出す)のサイドストーリーがしっかりあるのは珍しいポイントでしょうか。大人が友情を維持するのって大変ですね。
ただ、中盤まではユニークな展開でけっこう楽しませてくれるんですが、終盤にいくにつれてやや失速してきます。最後のどんでん返しも「はあーなるほどねえ…」と関心はできましたが、サブタイトルの「完全犯罪」はちょっと自信過剰ですね。
前半の勢いをそのまま保てなかったのはちょっと惜しいです。
キャストが個人的に好みでした
アメリカ本国では2011年公開で日本では8年間ほっとかれるという扱いの「クライム・オブ・マネー 完全犯罪」ですが、キャストが個人的に好きでした。
まず、主演のケヴィン・ゼガーズ。彼は「ドーン・オブ・ザ・デッド」の若いイケメン警備員テリーを演じてた人ですね。本作でも一人だけ際立ってイケメンで華があります。
他にも、「タイタニック」でトーマス・アンドリュース(タイタニック号の設計者)を演じたヴィクター・ガーバーが父親の一人として出演してるのも見どころ。
さらに、「サバイバル・オブ・ザ・デッド」に出てたデヴォン・ボスティックや「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」に出てたタチアナ・マスラニーなども…ゾンビ映画出身者多いなこの映画。
そんな中でもやっぱり主演のケヴィン・ゼガーズは別格で存在感があります。この人もっと売れてもいいのに。
まとめ:クライムサスペンス好きならまあ楽しめるかな
ゲオの先行レンタル作品は微妙なクオリティの映画が多いイメージですが、「クライム・オブ・マネー 完全犯罪」もそんな中のひとつ。良作とまでは言えないけど駄作と呼ぶほどでもない、何とも言えないクオリティです。
誘拐系のクライムサスペンス映画が好きな人なら、暇つぶしとしては十分楽しめる作品だと思います。でも過度な期待はやめといて。
同じくゲオ先行レンタルのこれも何とも言えない作品でした