日本から「アイアムアヒーロー」、韓国から「新感染 ファイナル・エクスプレス」と、ここ数年でアジア発のゾンビ映画は良作がどんどん生まれてますね。
そんな中で、今度は中国から誕生したのがこの「超 感染 ファイナル・デッド」です。
「新感染~」を意識しまくった邦題の本作ですが、小粒ながらしっかりとした作りで楽しませてくれる王道ゾンビアクション映画でした。詳しくレビューします。
「超 感染 ファイナル・デッド」あらすじ
2018年 中国
監督:スカイ・ワン
キャスト:マーティン・ヤン、ミンギュイ・ヤン、エナン・チャンレイ・ワン、フェンジュウ・ジア
とある高級ホテル。最上階のレストランでは、将来有望なポストに就く青年リッチが中国当局の重要人物と会食していた。
一方で、リッチの運転手としてこき使われているジャックは駐車場で一人で待機していたが、屋外でゾンビ化した人々の暴走が起こり、ホテル内にまでゾンビが侵入していることに気づく。
ゾンビはリッチたちのいる最上階まで侵入し、知らせを受けてジャックもそこへ駆けつける。生存者たちは生き延びるためにホテルからの脱出を試みるが……
「超 感染 ファイナル・デッド」感想
「新感染~」の小規模バージョンって感じ
良くも悪くも、「新感染 ファイナル・エクスプレス」の小規模バージョン、という感じの映画でした。
まず、ゾンビ映画としての映像描写のクオリティは一級品です。
全力疾走で迫るゾンビの恐さやメイクのリアルさは、「新感染~」や「アイアムアヒーロー」といった他のゾンビ映画大作と比べても引けを取りません。群れで迫ってくるゾンビからの逃走シーンの緊張感はかなり見ごたえがありました。
ただ、惜しむらくはゾンビの襲撃シーンが少ないことでしょうか。序盤のホテルでの攻防と、駐車場での脱出シーン、あとはクライマックスのゾンビ大解放シーンくらいしかサバイバル描写がありません。
予算の関係で「量より質」で見せることにしたのかもしれませんが、他の大作ゾンビ映画のようなホラーアクションを期待するとやや消化不良で終わると思います。
登場人物たちの人間ドラマの方が面白いかも
ストーリー面や人物描写の面でも「新感染 ファイナル・エクスプレス」と思わせる描写が多かったです。
というか、むしろクセの強い登場人物たちの人間ドラマの方が「ほう…」と感心させる見どころが多かったように思えます。
オープニングで「こいつが主人公なんだろう」と思えたイケメン男が実は超どクズだったり、逆に「こいつは面白キャラ枠だろう」と思ってた冴えない男が超優しくて男前な真のヒーローだったりと、予想外の動きをするキャラクターにまず驚かされます。
終盤でこの2人が激突するシーンは、正直ゾンビサバイバルのシーンより熱くなれました。
他にも、こういうパニック映画では定番の「自分勝手で底意地の悪いジジイ」枠のおじさんが、成り行きで助けた少女を見て自分の孫娘を思い出し、良心を取り戻す……みたいなエピソードも意外でした。
オープニングクレジットを見た感じだと漫画か何かの映画化作品みたいですが、原作ではこういうヒューマンドラマの見どころがもっと掘り下げられてたりするんでしょうか。
ゾンビ映画では「人間の本性がむき出しになって良心や理性が試される」というのもよくあるテーマのひとつですが、この「超 感染 ファイナル・デッド」はどちらかというとそういうドラマ面を楽しむべき作品かもしれません。
まとめ:「良作ゾンビ映画」のラインナップに新たに加わる一作
さすがに「新感染~」や「アイアムアヒーロー」などの大作映画と比べるとこじんまりした感じも否めませんが、見どころの多い人間ドラマとあっさり気味ながら質の高いアクションシーンで、それなりに楽しめました。
地雷映画率の異様に高いゾンビ映画というジャンルを考えると、十分に良作といえる部類の映画だと思います。
「デイ・オブ・ザ・デッド(リメイクの方)」とか「REC/レック」とか「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」とか、そういうB級とA級の狭間くらいの良作ゾンビ映画のラインナップに加えていい一作だと思います。
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