海外の映画は日本で公開されるとき、もともとのタイトル(原題)ではなく邦題がつけられます。
ときには話題性を高めるためにひっどい邦題が付けられて炎上することもありますが、その一方で「センスがすごい!」と褒め讃えたくなる秀逸な邦題もあります。
そこで、そんな秀逸な邦題のつけられた洋画のおすすめ作品を、原題とあわせて紹介・解説していきます。
- 天使にラブ・ソングを・・・/SISTER ACT
- ランボー/Fisrt Blood
- ショーシャンクの空に/THE SHAWSHANK REDEMPTION
- アナと雪の女王/FROZEN
- 遊星からの物体X/The Thing
- ハムナプトラ/The Mummy
- ゾンビ/Dawn Of The Dead
- バタリアン/The Return of the Living Dead
- カールじいさんの空飛ぶ家/UP
- ヒトラー 〜最期の12日間〜/Der Untergang
- リベリオン/Equilibrium
- 未知との遭遇/Close Encounters of the Third Kind
- きみに読む物語/The Notebook
- 最終絶叫計画/SCARY MOVIE
- あの頃ペニー・レインと/Almost Famous
- まとめ
天使にラブ・ソングを・・・/SISTER ACT
ウーピー・ゴールドバーグ主演の名作コメディ映画。笑いと音楽と人間ドラマに満ちたストーリーを、「天使にラブ・ソングを…」という愛らしいタイトルが象徴していますね。
原題は「SISTER ACT」で、「修道女の行動」みたいな意味。映画の舞台をシンプルに表していますが、朗らかなコメディ映画としての雰囲気は伝わりづらいですね。
日本でのヒットも、この邦題があったからこそでしょう。
ランボー/Fisrt Blood
シルヴェスター・スタローンの代表作。
原題は「First Blood(先手)」でしたが、主人公ジョン・ランボーの名前が「乱暴」と似ててアクション映画っぽさがあることから、邦題は「ランボー」になりました。
これがスタローンの目に留まり、次作からは原題にも「RAMBO」が採用されることに。「邦題が原題に逆輸入された」という超レアな例です。
ショーシャンクの空に/THE SHAWSHANK REDEMPTION
スティーヴン・キング原作、フランク・ダラボン監督の名作ヒューマンドラマ。
無実の罪で終身刑になった男が、ショーシャンク刑務所の中で希望を捨てずに生き抜き、その行動が周囲の囚人たちにも影響を与えていく様を描きます。
原題は「ショーシャンクの救い」という意味ですが、作中で象徴的な要素となる「ショーシャンク刑務所から見た(塀に切り取られた)空」を表す邦題もナイス改変と言えるでしょう。
アナと雪の女王/FROZEN
日本でも社会現象なみのヒットを巻き起こした超傑作ディズニー映画。
原題はなんと「FROZEN(凍結)」という凄まじいシンプルさで、「アナ雪」の名前に親しみがある僕たち日本人からすると、ちょっと信じられませんね。
ここから「アナと雪の女王」という、作中の重要ポイントを絡めつつファンタジーっぽさを感じさせる邦題を生み出したのはナイスではないでしょうか。
遊星からの物体X/The Thing
1980年代を代表する名作ホラーSF映画。特殊効果を駆使したエイリアンパニック描写と、サスペンス的なストーリーで後世のSF映画に大きな影響を与えました。
原題は「The Thing(物体)」という、こちらもシンプルの極みみたいなタイトル。原題の方も得体の知れない感じはありますが、「遊星からの物体X」というコテコテのSF邦題があったからこそ、話題を呼んだ部分もあると思います。
ハムナプトラ/The Mummy
古代エジプトやミイラの呪いをテーマにしたアクションアドベンチャーシリーズ1作目。
邦題は作中で登場する死者の都ハムナプトラからとられていますが、この奇妙な響きのおかげでシリーズを象徴する良タイトルになってますね。
原題は「The Mummy(ミイラ)」というこれまた超シンプルなもの。どうも洋画の原題は作中のポイントを一言で表す簡潔なタイトルが好まれてるみたいですね。
ゾンビ/Dawn Of The Dead
「噛まれたら感染」「頭を撃つと死ぬ」といったゾンビ映画のお約束を確立した歴史的ホラー映画。
原題は「Dawn of the Dead(死者の夜明け)」というタイトルで、生きた人間が居場所を失っていくストーリーを象徴しています。
日本でもこの原題は支持されていますが、「ゾンビ」という言葉そのものを広く普及させるきっかけになった本作の邦題は、ゾンビ映画の歴史において欠かせないものではないでしょうか。
ちなみに、この「ゾンビ」のリメイク作品は原題どおり「ドーン・オブ・ザ・デッド」のタイトルで映画化されました。
バタリアン/The Return of the Living Dead
こちらもゾンビ映画の歴史的名作。コミカルでキャラクター性豊かなゾンビが登場する、という新しい作風で、ホラー映画界に旋風を巻き起こしました。
原題は「The Return of the Living Dead」で、古典的ゾンビ映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のパロディになっています。
コメディ映画っぽい間抜けな響きも感じさせて、「オバタリアン」といった派生語も生み出した邦題は、秀逸な改変として有名です。
カールじいさんの空飛ぶ家/UP
ディズニー映画の名作のひとつとして知られる「カールじいさんの空飛ぶ家」ですが、原題はなんと「UP(上へ)」という超絶シンプルなものです。
スパっと簡潔で勢いのある原題と、まるで絵本のような雰囲気でストーリーを想像させてくれる邦題。どちらも甲乙つけがたい秀逸なタイトルですね。
ヒトラー 〜最期の12日間〜/Der Untergang
ドイツの敗戦間際、アドルフ・ヒトラーがベルリンの地下壕で自殺を遂げる前の最期の12日間を、当時ヒトラーの秘書だった女性の証言をもとに描く歴史映画。
「Der Untergang(没落)」という抽象的な原題と比べて、映画の内容やテーマをはっきり表す邦題になってますね。
何の映画なのかはっきり分かりやすく、それでいて歴史映画としての雰囲気も損なわない秀逸な邦題ではないでしょうか。
リベリオン/Equilibrium
クリスチャン・ベール主演で、近未来の管理社会を描くディストピアSFアクション映画。
「ジョン・ウィック」などにも受け継がれている「銃×格闘術」の手法を確立した作品で、今もアクション映画ファンからカルト的人気を誇っています。
管理社会を表す「Equilibrium(均衡)」という原題に対して、邦題は主人公の反逆(Rebellion)を表現。「リベリオン」という中二病っぽい響きがうまく作用して、SFアクションらしさを感じさせてくれます。
未知との遭遇/Close Encounters of the Third Kind
SF映画の歴史に残る名作のひとつ。
原題は「Close Encounters of the Third Kind(第三種接近遭遇)」という難しい空軍用語で、UFOをレーダーで捉えたり目撃したりするだけでなく、その搭乗員(宇宙人)と接触することを表します。
原題の方がハードSFっぽさは感じられますが、「未知との遭遇」の方が神秘的でキャッチーな響きがありますね。
きみに読む物語/The Notebook
感動のラブロマンスヒューマンドラマ映画として人気の高い名作。
「The Notebook(ノート)」というシンプルな原題も小粋でおしゃれですが、「きみに読む物語」の方もストーリーの温度感や愛の深さが伝わってきて素敵です。
原題も邦題も、どちらも捨てがたい秀逸なタイトルでしょう。
最終絶叫計画/SCARY MOVIE
いくつものヒット映画のパロディを詰め込んだ、お祭りコメディ映画シリーズの第一作目。
原題はシンプルに「SCARY MOVIE(怖い映画)」ですが、邦題の「最終絶叫計画」の方がハチャメチャ感があってなんかいいですね。
ちなみに、この邦題は主なパロディ元となった「ラスト(最終)・サマー」「スクリーム(絶叫)」「ブレア・ウィッチ・プロジェクト(計画)」からとられてるそうです。
あの頃ペニー・レインと/Almost Famous
15歳で「ローリング・ストーン」誌の音楽ライターに見出された少年と、グルービー(バンドの取り巻きの女の子)のペニー・レインの出会いや交流が描かれる青春ヒューマンドラマ。
原題の「Almost Famous(有名になる寸前)」は……ちょっと僕には良いものなのか分かりかねます。
一方で、「あの頃ペニー・レインと」という邦題はすっごく好きです。甘酸っぱくノスタルジックで、華やかさも感じさせてくれて秀逸です。
ゼロからこの邦題を生み出したのはナイスセンスとしか言いようがありません。
まとめ
こうして見ると、「シンプルすぎて映画のニュアンスがつかみづらい原題を、作品内の要素を拾いつつ作品の雰囲気に合わせて改変した邦題」が高く評価されてると分かりますね。
こういう秀逸な邦題も、広く知られる名作には欠かせない要素のひとつでしょう。
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