21世紀の映画史を語る上で、「ソウ」シリーズは欠かせない作品のひとつでしょう。
ソリッド・シチュエーション・スリラーというジャンルの一大ブームを巻き起こし、後発で多くのデスゲーム系映画が誕生・ひとつの時代を築き上げました。
なかでも印象的なのが、独自の信念をもとにデスゲームをくり広げる犯人"ジグソウ"の存在。凶悪なトラップを用いた犯行の数々で、圧倒的な存在感を見せました。
ですが思い出してください。アメリカ映画界にはジグソウよりももっと前から、凶悪なトラップを駆使する男がいます。そう、ケビンです。
というわけで今回は、ホラー界屈指のトラップ男ジグソウと、大先輩にあたる元祖トラップ男ケビンのどっちが凄いかを、対決形式で考察していきます。
ジグソウVSケビン ROUND1:トラップの攻撃力
まずはトラップにおいて最重要のポイント「攻撃力」から見ていきましょう。
攻撃力については、ジグソウ側は語るまでもありませんね。やる気マンマンです。
「自分で選択するゲーム」ということで助かる道も用意されていますが、どちらにせよ目を背けたくなるほど「痛い」シーンが満載です。このエグさ目当てにシリーズを観た方も多いのではないでしょうか。
ゲームにもよりますが、基本的には「人が死ぬレベルの攻撃力」があるものばかりです。
しかし皆さん、トラップの攻撃力では「ホーム・アローン」も負けていません。
ファミリー向けコメディ映画なので色々と笑いごとで済ませていますが、ケビンの仕掛けるトラップは「よく考えたらふつうに死人が出る」レベルのものばかりです。
ふつう、屋上から頭にレンガを落とされたら人は死にます。
ふつう、燃える頭を油に突っ込んだら人は死にます。
他にも、マーヴが大量のガラス細工を踏み砕いて足の裏をズタズタにされるシーンがありますが、こんなの「ソウ2」の注射針ダイブシーンと何が違うのでしょうか。
あらためて観てみると、その殺傷力の数々はとても子ども向け映画とは思えませんね。真似する事例とか出なかったんでしょうか。現代でもこれをテレビ放送するってけっこう凄いことだと思います。
「トラップの攻撃力」という点では、ジグソウもケビンも引き分けと言えるでしょう。
ジグソウVSケビン ROUND2:トラップのコスパ
トラップは攻撃力が全てではありません。トラップを作るには「材料費」という現実的な問題があります。
そこでトラップのコスパを比較したら、これは明らかにケビンの圧勝でしょう。
何せ彼は身の回りの日用品やおもちゃだけで凶悪なトラップを作り出してしまいます。ジグソウの方は大人の財力と労力をもとに凝ったトラップを作っていますが、ケビンの想像力や柔軟さにはかなわないはずです。
仮に、この2人に1万円を渡して「できるだけ凄いトラップを相手に仕掛けなさい」と言ったら、きっとジグソウはケビンの作る独創的なトラップの数々に絡めとられてしまうことでしょう。
というわけで、トラップの経済的コスパ、実現可能性を見ると、ケビンの勝利です。
ジグソウVSケビン ROUND3:社会貢献度
最後は、トラップ攻撃によって行った「社会への貢献度」で対決してもらいましょう。
例えかたちは違っても、ジグソウとケビンはどちらも「悪人を懲らしめるためにトラップを作る」という点では仲間です。では、どちらの方がより悪を打ち倒して正義に貢献してるのでしょうか。
まずはジグソウ。彼は警察に追われる殺人鬼ですが、彼が狙うのは基本的に「罪を抱えた人物や非情な行いをしてきた人物」です。ときには究極のゲーム演出のために罪のない人を巻き込むこともありますが、単純に「成敗した悪人の数」で言えば圧勝でしょう。
対するケビン。彼が懲らしめたのは間抜けな泥棒2人だけですが、ジグソウとは違って、あくまで正当防衛として合法的にトラップを仕掛けたにすぎません(明らかに過剰防衛ではありますが)。
ケビンの行いは警察からも賞賛されるであろうもので、法律の枠内で正義の裁きをくだしてる、という点は褒めるべきポイントでしょう。
というわけで、単純に成果だけを見るとおそらくジグソウが勝つでしょうが、この対決を考える上で考慮しなければならない重要なポイントがあります。
それは「ジグソウの後継者たちが問題ありすぎ」という点です。特にホフマン刑事。あいつは罪のない警官の犠牲者を出しまくってます。あいつ一人の罪でジグソウの裁きの成果が帳消しになってもいいレベル。
数字的な面を見ても倫理的な面を見ても、この対決もケビンに軍配が上がるのではないでしょうか。
対決結果
というわけで、ジグソウとケビンのトラップ男としての評価を3ラウンド見ていきました。
結果は、「2勝1分け」でケビンの圧勝。やはり1990年代からハリウッドで活躍している元祖トラップマスターにはさすがのジグソウも敵いませんね。
この勝手な対決はあくまでおふざけなので、「そもそもの色んな前提が違う!」というガチなツッコミはお許しいただけると幸いです。
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