「ドーン・オブ・ザ・デッド」や「28週後…」のような、アクション寄りの全力疾走ゾンビ映画が好きな皆さん。そういう映画の見どころはやっぱり「緊張感たっぷりのゾンビとの追いかけっこ」ですよね。
そんなアクション的な見どころだけを追求して、ストーリー面では空っぽに仕上げたのがこの「デイライツ・エンド」です。
極端なバランスでアクションに一点特化した、人によって賛否が分かれるであろうこの作品を詳しくレビューしていきます。
「デイライツ・エンド」あらすじ
2016年 アメリカ
監督:ウィリアム・カウフマン
キャスト:ジョニー・ストロング、ランス・ヘンリクセン、ルイス・マンディロア
謎のウイルスがまん延して数年後の荒廃した世界。そこには、ゾンビとヴァンパイアの中間のような存在になった感染者たちが溢れていた。
一人でサバイバルを続ける男ルークは、偶然助けた女性サムの拠点に案内され、そこの生存者たちと行動を共にすることになり……
「デイライツ・エンド」感想
アクションは満点、ストーリーは評価不能
先に書いたように、この「デイライツ・エンド」の見どころはとにかくアクションに尽きます。
「街に蔓延るゾンビの群れVSそれに立ち向かう武装した生存者たち」というシンプルな設定。そこから描かれる怒涛のアクションはすごいボリュームです。
登場人物たちはみんなプロの軍人なみにキレのある動きで立ち回り、銃の構え方、お互いをカバーする陣形の作り方、無駄なくゾンビを仕留める撃ち方に至るまでとにかくめちゃめちゃかっこいいです。
アクションのクオリティだけでいえば、ハリウッドのミリタリー大作にも引けを取りません。
しかも、100分の尺のうちおそらく半分以上は戦闘シーン。序盤から「人間同士の銃撃戦も撮りたいんだ!」と言わんばかりにギャング集団との戦いがやたらと気合を入れて描かれ、その後はゾンビ相手に撃って走ってまた撃って……をひたすらくり返します。
映画に何よりアクションを求める人にとっては、こんなに贅沢で嬉しい映画はないんじゃないでしょうか。
逆に言えば、「アクションだけじゃなくストーリーも大事」という方にとっては本作は超駄作でしょう。満点のアクションと引き換えに、ストーリーは評価不能なほど壊滅してますからね。
映画全体の流れを見ても「一匹狼の主人公(できるだけたくさんゾンビを倒したい)が生存者グループと出会って、彼らが街から脱出するのを手伝う」だけ。
中盤のゾンビ拠点制圧作戦(主人公以外全滅で大失敗)なんて、主人公の完全なわがままで多大な犠牲を出した大バカ行動です。そのくせなんか自分を美化したこと言うし、こいつ佇まいと戦いぶり以外は何ひとつかっこよくねえ。
その他も起承転結なんて全くなく、ゾンビが来て撃って逃げて撃ってるだけ。アクションのかっこよさを楽しみながらも「あれ?今ってどういう流れで戦ってるんだっけ?」と思ってしまうレベルの行き当たりばったりです。
「凄いアクションさえ撮れればストーリーなんてどうでもいいんじゃ!」という監督の声が響いてきそうな、あまりにも極端な内容でした。
「エイリアン2」ファンは要注目
この映画のもうひとつの注目ポイントが、あのランス・ヘリクセン(「エイリアン2」のビショップ役の人)が出演してることなんですよね。
生存者グループのリーダーである老刑事の役で、超しぶくて男前でかっこいいお爺さんになってます。ぶっちゃけ主人公より人間味があって好きです。
さらに、その老刑事の側近の男の名前が「ビショップ」なのは、これはもう明らかに意識してますよね。
「ランス・ヘリクセンが喋って動いて銃ぶっ放してるのが観られる」というだけでも、エイリアンシリーズのファンにとっては一見の価値ありかもしれません。
まとめ:ゴツいアクションが観たいならおすすめ
マジで本当にアクションしかない映画です。まるでホラーアクションゲームのイベントムービーだけひたすら観てるような感覚になる作品でした。
超ハードで骨太で渋い銃撃戦を怒涛の勢いで見せられて、ただそれだけでお腹いっぱいにさせられます。白米も野菜も飲み物もなしに肉だけをひたすら食べてる気分になりました。
アクションのクオリティは本当に高いので、そういう映画だということを踏まえて、「とにかくてんこ盛りのアクションが観たい!」という気持ちのときに手に取れば、めちゃめちゃ満足度の高い良作だと思います。
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