「人形」ってなんであんなに怖いんでしょうね。人間の姿かたちをしたものを前にすると、なぜか「こいつが動き出すんじゃないか」「こいつは実は意識があるんじゃないか」みたいな意識が働きますね。
「ザ・ボーイ -人形少年の館-」は、そんな心理を極限までかき立ててくるホラーサスペンス映画でした。まるで推理小説でも読んでるみたいなストーリー運びと堅実なホラー描写で、しっかり惹きこまれる秀作です。詳しくレビューしていきます。
「ザ・ボーイ -人形少年の館-」あらすじ
2016年 アメリカ
監督: ウィリアム・ブレント・ベル
キャスト:ローレン・コーハン、ルパート・エヴァンス 、ジム・ノートン、ダイアナ・ハードキャッスル
イングランドの田舎にある屋敷でベビーシッターとして雇われることになったグレタ。ところが、彼女が屋敷に着き、そこに住む老夫婦から「世話相手」として紹介されたのは、ブラームスと呼ばれる人形だった。
息子を失った悲しみから人形を我が子のように大切にする老夫婦の事情を知り、住み込みでブラームスの世話をすることを決めたグレタ。ところが、屋敷の中では不気味な現象が彼女を襲い……
「ザ・ボーイ -人形少年の館-」感想
怖い→ちょっぴり感動→そっち系かよ!
一言で感想を言うと、「ふつうに怖かったし面白かった」ですね。
単に映画全体の雰囲気やホラー描写が怖いだけでなく、ストーリー自体にもちゃんと魅力があります。人形ブラームスが子どものように可愛がられることになったバックグラウンド、そして主人公グレタ自身の過去が少しずつ浮き彫りになっていく展開は素直に惹きこまれました。
寂しげでしんみりしたストーリーと並行してちゃんとホラーとしての恐怖シーンも挟まれるので、退屈や中だるみもなし。天気の悪いイングランドの空気感もいい仕事してます。
中盤なんて、グレタとブラームスの奇妙だけど平和な日常を観ていたら微笑ましくてちょっとウルっとしました。まさかこれ系のホラー映画で感動を覚えるとは思ってなかったのでびっくり。
そこからのあのクライマックスですよ。全てのピースがかっちりハマる感じが心地よく、一方でおぞましい衝撃の真相に鳥肌がぞわ~っと広がります。まるで推理小説の種明かしシーンを読んだときみたい。
映像的なインパクトも合わさって、「え、無理…生理的に無理…」という嫌悪感が呼び起こされる感じ。こういうホラー調のミステリーやサスペンスを観なれてる人なら結末を予想できちゃうかもしれませんが、そうでなければかなりショッキングだと思います。
ローレン・コーハンはかわいいね
主演のローレン・コーハンは「ウォーキング・デッド」シリーズのマギー役で有名な女優さんですね。
飛び抜けて容姿端麗とか、ハリウッド的な華やかな美女というわけではないかもしれませんが、「ご近所に住んでるお姉さん」的な親しみやすいキュートさがあります。
この親しみやすさがあるからこそ、「イングランドの屋敷でベビーシッター」というどちらかというと素朴な仕事ぶりが不自然じゃないし、「とんでもない生活に飛び込んでしまった」感や混乱っぷりに感情移入できますね。
あと、「僕もブラームスになってお世話されたい」と思ったり思わなかったり。
まとめ:丁寧な作りでよかった
特別に「これは傑作だ!」と言うような作品ではないかもしれませんが、ホラー映画が観たいときに手に取る一作としてはぴったりです。尺も90分ちょっとでサクッと観られるし。
手堅く丁寧な作りで、全編にわたって安心して楽しめるんじゃないでしょうか。
※続編も製作されたよ
ちなみにこの「ザ・ボーイ -人形少年の館-」、まさかの続編も製作されてるんですよね……2020年2月にアメリカ公開予定なので、日本には早くて2020年内には入ってくる感じでしょうか。
あれだけ綺麗にかたづいた結末からどうストーリーを繋げるのか全く予想がつかないんですが…前日譚でもやるのかな?
でも予告を観た感じそんなわけでもなさそうだし…