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ボカロPが名乗る「コンポーザー(Composer)」の意味とは?

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最近は自分のことを「コンポーザーです」と名乗るボカロPさんが増えていますね。

n-bunaさんも「ヨルシカのコンポーザー」という肩書だったり、最近の音楽シーンではちょくちょく聞くこのコンポーザーという言葉。でも、具体的にどういう意味なのかよく知らない方も多いんじゃないでしょうか。

そこで、「コンポーザー(Composer)」とは何のか、さらにはこの言葉が広まっている背景について、まとめてみました。

コンポーザー(Composer)とは?

コンポーザーの辞書的な意味は「作家・作曲家」というもの。超シンプルですね。

海外ではそのまま作曲家全般を指す言葉のようで、仕事として曲を作るプロの人たちのことを言います。

 

日本の音楽界でももちろんその意味合いで通じるし、「作曲家」という意味で使われてるみたいです。

ですが、僕たちがふだん音楽を聴く中で見かける「コンポーザー」という肩書の人は、どちらかというとアーティスト気質の人、自分の名前を前面に出してる人が多い印象ではないでしょうか。

特に2010年代以降のネット発のクリエイター、ボカロ音楽出身のクリエイターの人たちはそういうイメージが強いと思います。「仕事として曲を作る作曲家」というよりも、「自分の作品を通じて個性や世界観を見せるアーティスト」タイプの人が中心。

 

では「シンガーソングライター」「バンドマン」などこれまでのアーティストの肩書と何が違うのかというと、コンポーザーは作詞作曲編曲、さらにレコーディングやミックスに至るまで、音源製作の多くの工程を自分で完結させてるイメージ

PCや音楽編集ソフトの進化で、個人レベルでも商業クオリティの音楽を作れるようになった現代ならではの傾向ですね。

自分の肩書で「コンポーザー」と名乗っている人は、「宅録音楽家」「DTMer」のような意味合いでこの言葉を使ってるんじゃないでしょうか。

シンガーソングライターでもバンドマンでもない、でもアーティストとして活動している音楽家の名乗りとして「コンポーザー」という言葉が定着している印象です。ボカロPもまさにそんな感じですよね。

 

昔も今も「ボーカル+コンポーザー」は人気編成

「コンポーザー」という言葉自体が広く使われるようになった背景には、多くのボカロPがこの言葉を使うようになったことはもちろん、「ボーカル+コンポーザー」という編成のアーティストが増えたことが影響してるように思えます。

有名なところだと、冒頭にも書いたヨルシカ、あとはずっと真夜中でいいのに、三月のパンタシアなどがそんな感じ。

ですが、こういう編成って実は昔からけっこうありますよね。特にアニソンシーンとかはそんな感じじゃないでしょうか。「かっこいいボーカルのお姉さん+曲作れるお兄さん」なメンバー編成のアーティストってめちゃめちゃたくさんいます。

 

それが今になって「コンポーザー」という言葉と共に人気拡大してるのは、やっぱり「ネット中心の音楽活動」が成立するようになったからこそですよね。

YouTubeなどでの作品公開や配信メインで活動するなら「ボーカルと作曲者」の最小編成でも成立するし、音源制作もPCで完結できるから全パート生楽器でレコーディングするより費用もかからないし。

で、そういうアーティストがライブをするとなったら、「弾いてみた」出身の人がサポートとして参加……みたいなパターン。ネット音楽文化があってこその、新時代の活動スタイルですよね。

もちろん、昔ながらの生演奏中心での音楽活動も絶対に無くなることなくこれからも続くと思いますが、ネット発の「ボーカル+コンポーザー」スタイルのアーティストはどんどん増えていくと思います。

 

なぜボカロPではなくコンポーザーと名乗る人が増えているのか(推測)

最後に、ボカロ曲を作る人は元々「ボカロP」名乗りがメジャーだったのに、なぜ今「コンポーザー」という言葉に変わってきているのか、というお話。

これは僕がTwitterとかで見てきた話しをもとにかなり推測混じりになっちゃうんですが、まとめていきます。

 

まず、そもそもボカロPの「P(プロデューサー)」ってけっこう意味ズレてね?という風潮が2010年代半ばくらいから広まっていった印象があります。

もともとは「ボーカロイドという歌手を作曲者がプロデュースする」という感じでボカロ曲文化が広まっていきましたが、数年経つと「ボカロはあくまでボーカルを表現するためのツールで、主役は作曲者」というアーティスティックなボカロPが増えていきます。

そうなると、「ボカロのためのプロデューサー」である「ボカロP」という言葉に違和感を感じる人も増えるわけで。そういう人たちが選んだ肩書が、広く作曲者や音楽クリエイターを意味する「コンポーザー」だったんじゃないでしょうか。

「ボカロから始めてソロ活動やバンドもやってます」という人も多いし、そういう人も「コンポーザー」なら違和感のない名乗り方になりますね。

 

とはいえ、今では単に「ボカロP=ボカロで曲を作る人」で認識されてるし、一言でどんな活動してるか分かりやすいから、今までどおり「ボカロP」という言葉を使う人も多いですね。

一方で「俺はボカロに曲を提供してるんじゃねえ、プロデューサーじゃねえ、コンポーザーだ」とはっきりスタンスを示してる人もいるし、このへんの線引きは本当に人それぞれです。

 

まとめ

かなり長くなりましたが、「コンポーザー」という言葉の意味、使われ方、広まった背景などをまとめてみました。

個人的な推測や感想も混じってるので、あくまで「だいたいこういう感じだよね」という風に読んでいただけると助かります。

 

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