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「ターミネーター4」感想・評価 サム・ワーシントンさえいなければ(ネタバレあり)

ターミネーター4 (字幕版)

傑作だったのは2作目まで。それ以降は目も当てられない迷走を続けてきたハリウッドの問題児「ターミネーター」シリーズ。

その中でもとくに影が薄いのが、2009年公開の「ターミネーター4」じゃないでしょうか。ネタ映画として愛される「3」やシュワちゃん復活で話題になった「新起動」と比較しても、ガチで黒歴史扱いされて誰からも触れられない不遇な作品です

個人的に、その最大の原因はサム・ワーシントン(の役をキャスティングした製作陣)にあると思っています。作品レビューと合わせて詳しく呟きます。

 

「ターミネーター4」あらすじ

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2009年 アメリカ

監督:マックG

キャスト:クリスチャン・ベール、サム・ワーシントン、アントン・イェルチン、ムーン・ブラッドグッド

 

コンピューターネットワーク「スカイネット」によって核戦争が起こり、文明が崩壊した世界。生き残った人類はレジスタンスを結成し、ジョン・コナーの主導のもと機械軍への抵抗を続けていた。

ジョンが戦いを続ける一方で、とある研究所跡でマーカス・ライトという男が目覚める。一切の記憶を失っていたマーカスは、なぜ世界が荒廃しているのかも理解できないままさまよい始める。

 

「ターミネーター4」感想

アクションや終末描写は最高ですよ

まず言いたいのは、本作は「終末アクション映画」としてはハリウッドでも最高峰だと思うよ、ということ。

朽ち果てたビル街や荒廃した大地、灰色の質感の画面、そして怒涛の戦闘シーン。完璧な世界観じゃないでしょうか。こういう終末世界が好きな人にはたまらない映像美だと思います。

冒頭の損耗率高すぎるレジスタンスの襲撃シーンとか、モトターミネーター(バイク型のやつ)との追走劇とか、機械VS人間のドッグファイトとか、ド迫力でゴツくて大好きです。この手の映画ではおなじみの「人間同士ですら生存のために争う」という描写がしっかりあるのも終末映画としてポイント高めですね。

「"審判の日"以降の世界が映画化されるなら、こんな映像で観たい」というシリーズファンの希望が全て叶えられた完璧な画作りだと思います。

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サム・ワーシントンさえいなければ

それなのになぜ本作が大外しの黒歴史映画になってしまったかというと、ひとえに「サム・ワーシントン演じるマーカス・ライトの存在」のせいでしょう。

いやサム・ワーシントンは全く悪くないですよ。彼は俳優としてキャスティングされて仕事をしただけであって、むしろ演技力や存在感は申し分なし。いい俳優だと思います。

本当の戦犯は、マーカス・ライトというキャラクターそのものを脚本にぶっこんだ製作陣です。なんでこいつを創造したんでしょうか。

主な戦闘シーンでの中心人物はマーカスだし、物語の鍵を握る行動をするのもマーカスだし、それでいて最後にはリアリティを欠く流れで退場するし。ジョン・コナーから主役の座を奪ってストーリーを引っ掻き回した挙句、変な消え方をされたので「何のために出てきたんだこいつ…」としか思えませんでした。

 

こんな奇抜なキャラ入れをしなくても、普通にジョン・コナーの戦いとカイルとの出会いを無難に描いてくれればよかったのに。

ここから「審判の日以降」の3部作を続ける予定だったなら、この作品ではごく普通にハイクオリティな「レジスタンスvs機械軍のバトル」を見せてくれればそれで十分だったはずじゃないでしょうか。

裏で映画会社の誰がどんな働きかけをしたのか分かりませんが、これじゃあ出演したクリスチャン・ベールも並び立つサム・ワーシントンもどちらも中途半端な扱いで可哀想です。

 

サム・ワーシントンが俳優としてしっかりいい仕事をしてるのが裏目に出てる、というのも嫌な皮肉ですね。

当時は「アバター」や「タイタンの戦い」で大作スターとして推されまくってた彼ですが、本作にまで出演した(しかも主役の座をかすめ取るような役柄で出た)ことでハリウッドのごり押し感がすごいです。

彼自体はすごくいい俳優だと思うし、この作品への出演も何も悪いことじゃないのに映画ファンからの好感度が下がってそうで同情してしまいます。

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まとめ:ここから始まる3部作が観たかった

結局この「ターミネーター4」も大コケしたことで、次は「ターミネーター:新起動/ジェニシス」という全く別の新作が作られることになったわけですが、これも「3」「4」のことを悪く言えないくらい微妙な続編だったと思います。

個人的には、「ターミネーター4」から始まる終末アクション路線の3部作がふつうに観たかったです。狙い通りのヒットを出せなかった以上、大人の事情として仕方ないのは分かりますが。

あまりにもシリーズとして迷走し過ぎてる感のあるターミネーター。6作目「ニュー・フェイト」はそこそこの高評価みたいですがこれも「3~5はなかったことにするよ」というリセット癖を発揮してるし、さすがにブランド名を雑に扱い過ぎじゃないですかね。

ターミネーター4 (字幕版)

ターミネーター4 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

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