ロシア映画といえば「映像がきれい」というイメージが個人的にあるんですが、この「ソウル・コンタクト」も例に漏れず、ハイクオリティな映像美が光るシーンをいくつも見せてくれました。
が、その評価点を覆して有り余るほどに脚本と演出が酷すぎる。あまりにもストーリー展開が雑すぎて、誰にも感情移入できないし話にまったく入り込めませんでした。
詳しくレビューしていきます。
「ソウル・コンタクト」あらすじ
2018年 ロシア
監督:イリヤ・マキシモフ
キャスト:アレクサンドラ・ボルティチ、エフゲニー・ツィガーノフ、ウラジーミル・ヤグルチ、アレクサンドル・ロバク
霊を視ることができる少女カティアは、現世に残された霊たちの悩みを聞くことを仕事としていた。
ある日、カティアのもとに疎遠になっていた姉のラリッサが訪ねてくるが、直後にラリッサは超常現象に巻き込まれて姿を消してしまう。
警察も巻き込みながら姉の行方を捜すカティアは、やがて奇妙な連続失踪事件が起こっていることに気づき…
「ソウル・コンタクト」感想
映像はなかなか見ごたえあり
先に書いた通り、この作品の唯一の評価点は「映像」です。
冒頭の屋敷のシーンに始まり、ラリッサの失踪シーン、カティアが再度訪れた屋敷での異常現象のシーン、カティアが夢の中に飲み込まれたシーンなど、カメラワークもVFXも音楽もハリウッドに引けを取らないクオリティの仕上がりで、なかなかいい雰囲気を漂わせていました。
ホラー映画として観てもなかなか不気味でショッキングなシーンが豊富で(謎の少年の登場シーンは特に不気味でよかった)、一方で幻想的なファンタジーヒューマンドラマとしても印象的な場面がいくつもありました。
脚本が酷すぎて全てが台無し
せっかく映像はハイクオリティなのに、その評価点の何倍ものマイナス評価を叩き出してるのが「脚本・ストーリー」です。
面白いかどうか以前に、そもそもまともに物語として成立してません。これでよくホラーだとかミステリーだとか言えたな、というレベル。
まず、主人公カティアとその他の登場人物の絡ませ方がダメすぎる。刑事さんたちが何となくヌルっと出てきていつの間にかメインキャラクターになってて、「こいつらモブじゃなかったのか…」と思ってしまいました。
シーンごとの切り替えも無理やりぶった切ったような感じで、登場人物たちの言動も一人の人間として整合性がとれてなさすぎます。とてもプロが作ったとは思えないレベル。
終わってみれば結局「ラリッサは屋敷で死んでたよ」というだけの話を90分に引き伸ばして、内容も刑事さんとぺらっぺらの人間ドラマを展開しつつ屋敷と警察署を行ったり来たりしてるだけ。面白味ゼロです。たまに挟まれるハイクオリティな映像美でなんとか視聴者の意識をつなぎ止めてました。
さらに、「カティアだけでなく刑事さん(名前すら忘れた)も失踪事件に執着する理由」がマジで終盤まで説明されてなくて、いきなり情緒不安定になったおじさんにしか見えません。カティアより刑事の方がよっぽど精神を病んでるように見えました。
オチがどうこうとか、そんな次元の話じゃありません。ストーリーが意味不明だから結末だってどんでん返しもカタルシスもク〇もありません。まともに語るレベルに達してませんでした。
正直言って本筋のストーリーよりも、「カティアに憑いてる3人の霊たち」のエピソードの方がよほど人間味があって感情移入できました。
年老いた母親に一目会いたがっていた中年の幽霊が、カティアに願いを叶えてもらって満足げに成仏していくラストシーンだけは(ほんのちょっと)感動したかな。
まとめ:「雰囲気映画」としては楽しめるか…?
ゲオ独占レンタル作品として大々的にリリースされてるみたいですが、とても人に勧めようとは思えない壊滅的な駄作でした。
映像だけは見ごたえがありますが、それだけでストーリーの酷さが許されるほどでもありません。「映像の雰囲気がよければそれだけで満足できるよ」という人ならギリギリ楽しめるのかな…?
ロシア映画ってちょくちょくこんな脚本がぶっ壊れた作品があるんですが、向こうではこういう「説明不足なほどに説明しない」系の映画も評価されたりするんですかね?本国の評価が知りたいけど、ゲオのサイトには原題すら書いてないんですよね…
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