SF映画界の2大人気キャラクター、エイリアンとプレデター。その軌跡のクロスオーバー作品として2004年に公開された「エイリアンVS.プレデター」は、賛否両論あったものの、アクション映画としては十分すぎるほど楽しめる良作です。
詳しくレビューします。
「エイリアンVS.プレデター」あらすじ
2004年 アメリカ
監督: ポール・W・S・アンダーソン
キャスト:サナ・レイサン、ラウル・ボヴァ、ランス・ヘンリクセン、ユエン・ブレムナー、コリン・サーモン
2004年、南極のブーヴェ島の地下に、未確認の巨大遺跡があることが発覚。大富豪のビショップはいち早くこの遺跡を調査するため、女性登山家のレックスをはじめとした考古学者や採掘隊による調査チームを結成する。
遺跡内に足を踏み入れる調査チームだったが、そこはプレデターが獲物であるエイリアンを飼育するための狩場だった。両者の争いに人間たちも巻き込まれていき……
「エイリアンVS.プレデター」感想
原作への愛を感じるアクション描写
公開当初から賛否両論のあった「エイリアンVSプレデター」ですが、とりあえず言えるのは「ちゃんと原作への愛がある映画」だということ。
しっかり「エイリアン映画」かつ「プレデター映画」をやっていて、製作陣が両方の原作をしっかり観てるし愛してることが伝わってきます。
シリーズお決まりの描写(エイリアンが人間の体を突き破るシーン、プレデターが非武装の人間を見逃すシーンなど)もしっかりあるし、「透明スーツで高所を飛び回るプレデター」とか「倒したと思ったら再登場するクイーンエイリアン」とか、オマージュと思われる描写も多数。さらに「エイリアン2」のビショップ役のランス・ヘリクセンが、同名の別キャラクターとして出演してるのはかなり粋な計らいでしたね。
「ああ~自分は今エイリアン映画/プレデター映画を観てるなあ~」という満足感がしっかりあります。
21世紀に入ってからの映画ですが、ちゃんとプレデターは大柄のスタント俳優による特殊メイクで、エイリアンは至近距離ではアニマトロニクス(特撮ロボット)で表現してるのもナイスです。この昔ながらの演出方法が、原作ファンにとっては懐かしさを感じさせてくれますね。
それでいて、「自らの血液を利用して鎖や網を破壊するエイリアン」とか、「エイリアンの血で体に印を刻むプレデター」とか、新しい要素を見せてくれるのもポイント。どれもちゃんと原作の世界観を壊さないような感じになっていて、想像力をかき立ててくれます。
プレデターと人間の共闘が熱い
エイリアンはただのお化けトカゲですが、プレデターは知性のある異星人だから「ワンチャン仲良くなれるんじゃ?」と思ったことがある方も多いですよね。
それを本当に映像化してくれてるのも、この映画の嬉しいポイント。終盤で主人公レックスとプレデターの生存者が共闘するシーンは、原作ファンにとってもかなり胸熱な名シーンでしょう。
敵側だと手強くて仕方ないプレデターが、味方として並んでくれる頼もしさは観ていて半端ないですね。惚れます。
人間が蚊帳の外すぎた?
ひとつだけ個人的な好みを言えば、「人間サイドももっと存在感を見せてほしかった」というところでしょうか。
目立って活躍したのは主人公レックスとランス・ヘリクセン演じるビショップくらい。レックスと打ち解ける考古学者のセバスチャンとか、「映りのいいイケメン」なだけで準主役っぽいポジションにいましたが影が薄すぎます。お笑いキャラっぽいミラーの方が、自力でフェイスハガーを倒したりしてセバスチャンよりよっぽど漢気がありましたね。
尺的にもこれ以上人間側のエピソードを入れる余裕がなかったんだと思いますが、せっかく重武装の傭兵チームがいたんだから、彼らがエイリアンを何匹か倒して見せるとかのシーンがほしかったです。
まとめ:気楽に楽しむスピンオフとしては十分
強いて言えば~という部分は多少ありましたが、「エイリアンとプレデターが動くところをがっつり観れて、しかも彼らがガチンコで戦ってくれる」という、SFファンにとっては嬉しい一作です。
難しいことや細かいことを考えず、気楽に楽しめるスピンオフ映画としては十分すぎるクオリティじゃないでしょうか。
続編「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」は作品としてのクオリティは数段落ちますが、個人的にはこっちも嫌いじゃないんですよねぇ(むしろ好き)。