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「ディレイルド 脱線」感想・評価 まさかの良作(ネタバレなし)

ディレイルド 脱線 [DVD]

どう見ても超B級だけど、あのランス・ヘリクセンが出てるということで観てみた「ディレイルド 脱線」。

マジで何気なく借りた低予算映画だったんですが、(B級映画としては、という前提ですが)予想よりははるかに楽しめました。良作と言っていいレベルだと思います。

意外にも良作だった本作を詳しくレビューします。

 

「ディレイルド 脱線」あらすじ

www.youtube.com

2018年 アメリカ

監督:デイル・ファブリガー

キャスト:カーター・スコット、シェー・スモリク、エヴァレット・ウォーリン、ランス・ヘンリクセン

 

列車内で演劇型のミステリーゲームを楽しむツアー「殺人ミステリー急行」に参加した乗客たち。

ところが、一部のキャストが演技ではなく本当に強盗を行いはじめ、さらにトラブルによって列車が脱線し湖に転落。さらに湖の中から異形の怪物が姿を現す。

度重なる危機の中、乗客たちは生き残るために奮闘していくが……

 

「ディレイルド 脱線」感想

いきなり垢抜けるな

まず、観始めたときは「こりゃ大失敗だ……」と思ったんですよね。

稚拙なカメラワーク、大根な演技、チープな駅のセット。どう見てもこの先面白くなるようには見えませんでした。

 

が、ミステリー演劇ゲームの役者の一人が銃を取り出し、さらにもう一人が銃を取り出して本当に発砲してからは、意外にもけっこうワクワクさせられます。

加えて列車脱線、湖に転落。水中脱出サバイバルと謎の化け物との死闘……どれもB級感が強いのは間違いないんですが、テンポが良くて見せ方がうまいから普通に楽しめるんですよね。

まるで90年代のモンスターパニック映画を観てるような気分で、「低予算B級」という前提なら十分すぎるほど面白い内容でした。

 

ただ、「こんだけ面白く見せれるんなら最初からもっと頑張れや」と言いたい。乗客たちが列車に乗り込んでからの会話シーンは目も当てられないグダグダっぷりだったのに、なんで事が起こってからは急にこんなに垢抜けたんだ。

冒頭で期待値を徹底的に下げられた分中盤からは素直に面白いと思えましたが、この落差はなんでしょうか。監督が非日常を撮るのは上手くて人間ドラマパートを撮るのが絶望的に下手な人なのかもしれませんね。

 

そして、いくつジャンルを混ぜる気だとツッコミたくなる目まぐるしい展開からの、さらに斜め上にふっ飛ぶ超展開のオチ。まあ納得できるっちゃできるけど、いくらなんでもひねくれ過ぎです……普通の展開を盛り込む気がなさすぎる。

 

ランス・ヘリクセンはおまけ程度

この映画を手に取る人の中には「ランス・ヘリクセンが出てるから気になる」という人が多いと思いますが、彼の出演はおまけ程度でした。予想はしてたけど。

最初と最後の重要な場面で登場しますが、ほんとに「ランス・ヘリクセンが出てる」っていうブランド感を出すためだけのサービス出演でしたね。この仕事でいくらもらったんだろ。

 

確かに彼は名俳優ですが、もともと「個性派の脇役」って感じなので、彼が登場したから映画全体がワンランク上がるとか画面が引き締まるとかいうわけでもないんだな……むしろ本作のB級感に染められてしまって、ランス・ヘリクセンまで「B級俳優」感がすごく強くなってます

とはいえ、今となっては映画の中で動いて喋るランス・ヘリクセンそのものが貴重なので、一分一秒でも彼の出演を観たい、というファンなら観る価値はあります。映画自体も「エイリアン2」が好きな人ならまあまあ楽しめるだろうし。

 

まとめ:すっごい変な映画だったなぁ

観終わった率直な感想は「変な映画だったなぁ……」でした。

80分という短時間でクライムサスペンスからモンスターパニックからホラーまでくり広げる欲張りっぷりは珍しかったし、話のテンポも見せ方もまあまあ上手くて個人的には楽しめましたが、これを積極的に人に勧めるかというと……そもそもなんてジャンルで紹介すればいいのかもはっきりしません

外国の変な珍味を味わうような感じで、興味半分遊び半分で味に期待しすぎずに手に取るくらいで丁度いいんじゃないでしょうか。

ディレイルド 脱線(字幕版)

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  • 発売日: 2019/10/02
  • メディア: Prime Video