世界の歴史に暗い存在として刻まれている「ナチスドイツ」による惨劇。
ヨーロッパでは今でもナチスをタブー視する国が少なくない中で、逆に「ナチスを徹底的に風刺するコメディ映画」も意外とたくさんありますよね。
というわけで、「これ倫理的に大丈夫なの?」と心配になってしまう「ナチスをテーマにしたコメディ映画」をまとめてみました。
- 笑いと皮肉の化学反応:帰ってきたヒトラー
- 究極のモラル崩壊映画:アイアン・スカイ
- 史実を無視してナチス殲滅:イングロリアス・バスターズ
- 元祖「ナチス風刺映画」:独裁者
- 実話に基づく驚愕の風刺コメディ:わが教え子、ヒトラー
- ジョニー・デップの娘が主演:コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団
- アカデミー賞ノミネートの傑作:ジョジョ・ラビット
- まとめ
笑いと皮肉の化学反応:帰ってきたヒトラー
インターネット上を中心にかなり話題になった問題作。ヒトラーが現代社会にタイムスリップしてきて、今度はコメディアンとして再び市民の人気を獲得していく様を皮肉たっぷりに描きます。
ヒトラーやナチスを茶化しまくるギャグシーンはもちろん、町行く人たちと交流して話を聞くシーン(おそらくガチの体当たり路上ロケ)もあったりと、かなり社会派な作り。
さらに、大戦当時を知るお婆さんが「あのときも最初は皆そうやって笑っていた」と語ったり、かなりゾッとさせられる結末が待っていたり、ただの不謹慎なコメディ映画ではないメッセージ性もあります。
究極のモラル崩壊映画:アイアン・スカイ
「実はナチスが月の裏側に秘密基地を作って生き延びていて、再び地球を支配するために攻めてくる」という、正気の沙汰とは思えないストーリーを展開するSFアクション映画。
フィンランド発のB級映画ですが、クラウドファンディングで1億円以上の製作費を集めたりして、スケール的にはかなり豪華。ド派手な映像とシニカルなジョークで楽しませてくれます。
実在するアメリカの政治家をこき下ろしたり、「宇宙平和条約とか言いながらどの国もこっそり宇宙戦艦を作っていた」という描写があったり、人種ジョークもあったり、かなりあぶない社会風刺も見どころ。
続編ではサッチャーやオサマ・ビン・ラディン、スティーブ・ジョブズまで登場したり、こっちもかなり危険な内容です。
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史実を無視してナチス殲滅:イングロリアス・バスターズ
クエンティ・タランティーノ監督による戦争アクション映画。ヒトラー暗殺を目指すアメリカ軍特殊部隊と、ナチスへの復讐を誓うユダヤ人女性それぞれの戦いをブラックユーモアたっぷりに描きます。
コメディ要素強めですが戦争映画らしくかなり悲惨な描写もあって、エグいシーンも多め。やたらと長い間やマシンガントークで笑わせにくるタランティーノ節もしっかりさく裂してます。
史実を思いっきり無視した超展開で、最後まで異様なテンションで突き進む傑作です。
元祖「ナチス風刺映画」:独裁者
チャップリンの代表作のひとつ。ヒトラーをモデルにした独裁者の盛衰を、あの独特のテンポとセンスで描いています。
時代を超えて笑わせてくれるシュールな描写が詰まっていて、不朽の名作として語られるのも納得の面白さです。もちろん強烈なメッセージ性も込められていて、名シーンとして知られる最後の演説が強烈に記憶に残ります。
実話に基づく驚愕の風刺コメディ:わが教え子、ヒトラー
ヒトラーと言えば独特の演説スタイルが有名ですが、それを指導した人物の手記をもとに創作を加えたのがこの映画です。
かつてヒトラーを指導したアドルフ・グリュンバウムというユダヤ人の男が、ナーバスになっているヒトラーに再び演説指導をしていくことになる様が描かれます。
会話劇をメインにかなりコメディ色の強い内容になっていて、そのテイストはほとんどコントみたいなレベル。まだナチスを皮肉る映画が少なかった頃の作品なので、「ヒトラーをコメディのネタにするなんて!」と厳しい意見も集めたそうです。
ジョニー・デップの娘が主演:コンビニ・ウォーズ バイトJK VS ミニナチ軍団
ジョニー・デップの実の娘、リリー=ローズ・デップが主演を務めたB級コメディ映画。2人のJKのバイト先コンビニの地下に眠っていたちっちゃいナチス軍団が目覚めてしまい、そいつらの世界征服を防ぐためにJKたちが戦います。
タイトルからも分かるようにかなりおバカで低俗な内容で、人によっては観るに堪えないと感じるかもしれません。ゆるくてシュールでモラルのない作品ということを前提にして手に取りましょう。
パパのジョニー・デップもチョイ役でカメオ出演してたりして、意外と豪華キャストなのが見どころ。
アカデミー賞ノミネートの傑作:ジョジョ・ラビット
ヒトラーのイマジナリーフレンドを持ちファシズムに傾倒している少年が、あるきっかけから自分の思想について深く考えていく様を描くヒューマンコメディ映画。監督のタイカ・ワイティティ自らがヒトラー役を演じ、他にもスカーレット・ヨハンソンやサム・ロックウェルといった豪華俳優が出演しました。
暗いテーマを明るくシュールに描きつつ、主人公の成長もしっかりと見せる濃い内容で世界から絶賛されてアカデミー賞でも6部門にノミネート。そのうち脚色賞を受賞するなど、2019年のハリウッドで最も注目を集めた作品のひとつになりました。
ポップに楽しく「ナショナリズムとは」を考えさせられる大傑作です。
まとめ
以上、もはや倫理も道徳もかなぐり捨てた超危険な作品から、笑わせつつも深く考えさせる重厚な名作まで、ナチスやヒトラーをテーマにしたコメディ映画をまとめました。
ここで紹介した作品はあくまで映画なので、この内容のままに歴史を受け取るのは問題がありますが、歴史について考えるきっかけにはぴったりです。
現実社会では触れることすらためらわれる暗いテーマですが、「コメディ映画」というかたちで知ってみるのもいいんじゃないでしょうか。
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