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映画「トランスフォーマー」シリーズをふり返る【駄作化?】

トランスフォーマー (字幕版)

2000年代後半~2010年代のハリウッド映画界において、「トランスフォーマー」シリーズは屈指のアクション超大作でした。

作品規模でいえば「スター・ウォーズ」シリーズやMCU作品にも引けをとらないビッグタイトルだったと言えるでしょう。

が、シリーズとしての道のりが常に順調だったかというと、正直「う~ん…」と思ってしまう人も多いでしょう。いい意味でも悪い意味でも破天荒な「トランスフォーマー」シリーズの、2020年時点までの全5作をふり返ってみました

トランスフォーマー(2007):間違いなく伝説的な一作だった

トランスフォーマー(吹替版)

1作目「トランスフォーマー」の公開は2007年。最近の作品のようで、もうけっこう昔の映画なんですね。

本作が公開された時の衝撃は、それはそれは凄いものでした。何といっても圧倒的だったのが、トランスフォーマーたちの変型シーン。現実の車やヘリ、飛行機がガシャンガシャンと人型になっていく描写のインパクトは凄まじいものがありましたね。

ハリウッドのCG技術の限界を突破する変型シーンを見せつけた本作は、間違いなくハリウッドの映画史において伝説的な一作でした。

 

トランスフォーマー/リベンジ(2009):テイストそのままにスケールアップ

トランスフォーマー/リベンジ(吹替版)

1作目の2年後に公開された続編「トランスフォーマー/リベンジ」も、まだまだ傑作と呼んで差し支えないクオリティだったと言えるでしょう。

1作目のテイストはそのままに、よりスケールアップした世界観とボリュームの増したアクションシーンで魅せる正統進化の2作目でした。トランスフォーマーたちは敵も味方も単純に数が増えて、合体変型など新鮮な見どころもあります。

ストーリー面では「実は原始人の時代にトランスフォーマーたちが地球を訪れていた」「ピラミッドの中にはトランスフォーマーの巨大装置がある」など、歴史と絡める描写が増えたのも本作からです。

 

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン(2011):ヒロイン交代とマンネリ化

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン(吹替版)

本作からちょっと雲行きが怪しくなっていきますね。

まず、1作目からのヒロイン・ミカエラが主人公サムと別れてしまい、サムの新たな恋人としてカーリーが登場するという大きな変更点。ミカエラ役のミーガン・フォックスが製作陣と大喧嘩したのが降板の大きな要因とも言われていますが、この降板のダメージは無視できません。

「トランスフォーマー」シリーズのメインの見どころは映像やアクションですが、ストーリーの重要な軸として「サムとミカエラのカップル」は欠かせない存在でした。この2人のドラマがあってこそ「トランスフォーマー」と言っても過言ではありませんでした。

その一翼であるミカエラが、馴染みのない見知らぬブロンド美女にいきなり変わってしまったショックは大きいです。

 

加えて、アクション面では「さすがに同じことのくり返し過ぎてマンネリ」という難点もあります。

「こんなリアルなロボットが複雑に変型しながら動いてる!すげー!」というインパクトで勝負できるのは、せいぜい2作目まで。3作目ともなるとさすがに飽きも来ます。

新要素として巨大宇宙船が出てきたりしますが焼け石に水感は否めないし、敵ロボットたちが乗る戦闘機に関しては「お前らが変型せず乗り物に乗るんかい」って感じ。敵味方が増え過ぎて誰が誰か分からなくなってくるのも気になりました。

 

あと、個人的に許せないのがアイアンハイドの扱い。彼があんな無残な死に方をしたのに、長年の戦友であるレノックスがそこに一言も触れないなんてあり得ないんじゃないでしょうか。

ミカエラの件もそうだし、「映像重視でキャラを大事にしない」部分があるのがすごく気になりました。

 

トランスフォーマー/ロストエイジ(2014):主人公チェンジは失敗?

トランスフォーマー/ ロストエイジ (字幕版)

ヒロインどころか主人公すら変わってしまった4作目「トランスフォーマー/ロストエイジ」。

心機一転して新章突入、ということなんでしょうが、個人的には「前3部作のキャラの方が好きだったなあ……」という感想です

 

まず、マーク・ウォールバーグ演じる新主人公・ケイドが絶妙に世界観とミスマッチな気がします。

もはやリアリティもク〇もない「トランスフォーマー」シリーズですが、一応は「現実世界の中でトランスフォーマーたちが生きる」というリアル志向の作品として続いてきたはずです。

そのリアルと非リアルを絶妙なバランスで繋いでいたのが、「サム」という若者だったと思います。オタクっぽい地味な青年サムが現実離れした活躍を見せるヒーロー主人公として存在することで、本シリーズはギリギリのバランスで「リアル路線ミリタリーアクション映画」でありつつ「荒唐無稽なオタクSF映画」でもありました。

そんな主人公のポジションがケイドという「現実度100%のおじさん」に変わったことで、これまではスルー出来ていた世界観の歪さが目立ってしまっている気がします。

 

そして、度重なる時系列・歴史の修正。今度は恐竜の時代からトランスフォーマーが地球に来ていたことになってます。もうやりたい放題ですねマイケル・ベイ。

さらに、アイアンハイドに続いてラチェットも「もう前シリーズまでのオートボットでオプティマスとバンブルビー以外は要らない」と言わんばかりに死ぬし。愛着のあるキャラクターたちがこうも粗雑に消されてしまうのはさすがに心苦しいです。

 

キャラクター、世界観、ストーリー、どれも「前3作までとは別物になっちゃったなあ……」という感じは否めませんね。

 

 

トランスフォーマー/最後の騎士王(2017):やりたい放題のバランスブレイカー

トランスフォーマー/最後の騎士王(吹替版)

「ロストエイジ」で世界観のバランスが崩壊し始めましたが、5作目「トランスフォーマー/最後の騎士王」ではそれが決定的なものになりましたね。

 

まず、さらなる歴史の変更は言うまでもありません。今度は中世ヨーロッパや日本の侍の時代、第二次世界大戦でもトランスフォーマーたちががっつり人前に出て共存していたことになりました。

単にストーリーの矛盾が生じるだけでなく、「これまでの戦いは一体何だったのか」と思ってしまう部分もあるのが問題です。続編を繋ぐために過去作をないがしろにするなんて本末転倒でしょう。

 

敵キャラも「少年ジャンプの悪役かな?」ってくらいインフレしていきますね。「実は私が真のボスです!」を何回くり返せば気が済むんでしょうか。これだけハチャメチャやっておいて、まーだ「新たな敵の予感…」みたいな終わり方をしてるのが笑えます。

 

アクションのマンネリ化は言わずもがな。色々と頑張って絵的なインパクトを作り出してはいますが、トランスフォーマーたちの戦闘シーンはいくらなんでもネタ切れで限界です。オプスレイも何機落とせば気が済むんでしょうか。

 

「戦いはまだ終わっていない」的なエンディングを見ても、そろそろ「まだ続くのかよ…」とため息が出てしまいます。興行収入がシリーズ通して最低だったことを見ても、ファンも疲れを感じてるのが分かりますね。

 

まとめ

スピンオフとして製作された「バンブルビー」は高評価でしたが、元祖である「トランスフォーマー」シリーズはもはや限界みたいですね。

続編も一度は製作が無期限延期に。現在はまた動き出してるみたいですが、また無理な時系列改変を加えたりキャラクターを処分したりして無理やり首の皮を繋ぐくらいなら、このまま眠らせてあげてほしいとも思えます。このまま進んでも「ターミネーター」シリーズみたいな悲惨な未来しか見えません。

ただ長く続けばいいってもんでもないのが映画シリーズの難しいところですね。

 

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