石造りの城や街並み、剣と盾と弓による豪快な戦闘……そんな古代や中世のヨーロッパをが舞台の映画を観て、「ロマン感じるわぁ~」となる方も多いんじゃないでしょうか。
また、近世ヨーロッパの歴史映画では、豪奢で洗練された貴族社会をかいま見ることができるのも大きな魅力です。
というわけで、古代・中世・近世ヨーロッパを描いた歴史映画のおすすめをまとめてみました。ややアクション寄りで、おおむね時代順に並べて紹介していきます。
- あの神話を再現した歴史戦争大作:トロイ
- ペルシア戦争のスパルタ軍を壮絶に描く:300 〈スリーハンドレッド〉
- ローマ時代の剣闘士の過酷な運命:グラディエーター
- 火山噴火で一夜にして滅びた都市の悲劇:ポンペイ
- ユダヤ人青年の過酷な生涯をキリスト誕生とともに描く:ベン・ハー
- 有名な騎士物語を新たな解釈で描く歴史アクション映画:キング・アーサー
- 聖地エルサレムの戦いを描くスペクタクル大作:キングダム・オブ・ヘブン
- 中世ヨーロッパの籠城戦を生々しく描いた良作:アイアンクラッド
- メル・ギブソン主演で描く英雄の壮絶な死闘:ブレイブハート
- スコットランド独立のための戦いを壮大に映像化:アウトロー・キング ~スコットランドの英雄~(Netflix)
- ヘンリー5世の成長と葛藤を描く歴史ヒューマンドラマ:キング(Netflix)
- フランスの英雄の生涯を圧倒的スケールで描く:ジャンヌ・ダルク
- イギリス史に残る女王の姿を鮮明に映像化:エリザベス
- ヨーロッパ貴族の生活を華やかに描き出した意欲作:マリー・アントワネット
- モーツァルトの半生をユニークな視点から描いた名作:アマデウス
- まとめ
あの神話を再現した歴史戦争大作:トロイ
誰もが知る「トロイの木馬」のお話をテーマに、神話時代のギリシャの大戦争を現実的なタッチで描いた歴史戦争大作。
伝説の戦士アキレスをブラッド・ピットが演じ、他にもエリック・バナやオーランド・ブルームといった人気俳優が出演したことで話題になりました。
とにかく壮大な映像美が見どころの作品で、古代ギリシャ都市国家の鮮明な景色や、重装歩兵の軍団がぶつかり合う戦闘シーンは圧巻。まるで当時にそのまま飛び込んだような映像で、ギリシャロマンの塊のような作品です。
ペルシア戦争のスパルタ軍を壮絶に描く:300 〈スリーハンドレッド〉
「スパルタ教育」の語源にもなった古代ギリシャの超戦闘国家スパルタ。その王がわずか300人の軍勢だけで、100万にも及ぶペルシアの侵略に立ち向かった戦いを描いた歴史アクション映画です。
とにかく「筋肉×戦闘」に全力を尽くした超アグレッシブな作品で、序盤から最後までひたすら戦い戦い戦いの連続。
揃いの兜と盾とシックスパックの腹筋に身を包んだゴリゴリマッチョ兵士たちが、連携してまるでひとつの生き物のように戦う様はめちゃめちゃかっこいいです。漢の汗がほとばしる姿に惚れ惚れします。
敵もふつうの歩兵に始まり、サイのような巨獣から鬼みたいな大男、忍者や魔術師じみた集団までバリエーション豊富。あえて非リアルな部分があるのが逆にプラスにはたらいて、まるで神話の絵画を見ているかのような雰囲気があります。
これが実在の戦いだというから驚きですね(兵士の実数には諸説ありますが)。
ローマ時代の剣闘士の過酷な運命:グラディエーター
リドリー・スコット監督、ラッセル・クロウ主演で、将軍としての地位も家族も奪われ奴隷剣闘士へと落とされた男の戦いを描く歴史大作。アカデミー賞作品賞を受賞した超名作です。
ローマ時代の息づかいまで感じさせる圧倒的なスケールの映像、泥臭く生々しい剣闘士たちの死闘、主人公マキシマスの苦悩のドラマ、どれも最高です。3時間近い大作ですが、ド迫力の映像世界の中で一人の男の生き様をじっくりと見ていたらあっという間に時間が過ぎます。
敵役となる悪徳な皇帝役で、今やオスカー俳優となったホアキン・フェニックスが出演してるのも注目ポイント。
火山噴火で一夜にして滅びた都市の悲劇:ポンペイ
火山噴火の火砕流に飲み込まれて滅びたローマ時代の都市ポンペイを舞台に、剣闘士の青年と上流階級の女性の悲恋を描いた歴史アクション映画。
「グラディエーター×タイタニック×2012」÷5くらいの作品で、重厚さはないながらも、豪勢な古代都市の映像と派手な剣闘士バトル、火山噴火や地震・津波による破壊描写で楽しませてくれます。
サクッと観られる古代ローマ風エンタメ映画としておすすめです。
ちなみに、このポンペイが街並みも衣服も日用品も文献も丸ごと火山灰に埋まったことで、街が丸ごとローマ時代を知る貴重な資料になっているとか。
ユダヤ人青年の過酷な生涯をキリスト誕生とともに描く:ベン・ハー
あるユダヤ人の青年がたどる壮大な運命をチャールトン・ヘストン主演で描いた名作。アカデミー賞では現在に至るまで最多の11部門を受賞しました。
凄まじいスケールで描かれるローマの世界観はもちろん、ベン・ハーを介してイエス・キリストを描くエピソードも大きな見どころ。キリスト教史の上でも重要な作品として知られています。
2016年には新たに映画化された新「ベン・ハー」が公開されましたが、こちらは可哀想なほどの大赤字を記録して爆死しました。そっちも悪い映画ではないんですが、この59年版が偉大過ぎましたね。
有名な騎士物語を新たな解釈で描く歴史アクション映画:キング・アーサー
騎士物語の代表格「アーサー王と円卓の騎士」を、歴史上の仮説をもとに現実的に落とし込んで描いたやや異色の歴史アクション映画。
古代~中世の境目くらいの時代を描いていて、剣と槍と弓による武骨な戦いと、王道の熱いラブロマンスを楽しめる良作です。
そして今ふり返ってみるとキャストが超豪華。クライヴ・オーウェンをはじめ、ジョエル・エドガートンにヨアン・グリフィズにマッツ・ミケルセンと、今やハリウッドを代表するおじ様俳優が勢ぞろいです。
聖地エルサレムの戦いを描くスペクタクル大作:キングダム・オブ・ヘブン
キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖地として知られるエルサレムを舞台に、十字軍を中心とした戦乱、そしてその渦中で翻弄される青年を描いた歴史スペクタクル大作。
主演をオーランド・ブルームが、キーとなる人物をリーアム・ニーソンが演じました。
史実をもとに脚色を加えたストーリーはエルサレムの歴史について知らないとピンとこない部分もあるものの、一人の青年が英雄的な活躍をするサーガとしても純粋に楽しめます。王道の中世アクション映画としておすすめです。
中世ヨーロッパの籠城戦を生々しく描いた良作:アイアンクラッド
イングランド史においても随一のダメダメ王様として知られるジョン王の侵略を受けた城を舞台に、たった20人の手勢で1000人もの傭兵部隊に挑む騎士たちを描いたアクション映画。
一国の王の軍勢が1000人で、それに対抗する重要拠点の兵員が20人という規模の小ささが、まだまだ発展途上だった中世イギリスのスケールを感じさせますね。
「城に籠る」という地の利を活かした騎士たちの戦いっぷりは1000人相手にもけっこうな善戦を見せていて、戦闘の規模は小さいながらも生々しくて重厚です。刃の鈍い剣や斧で殴り合い、矢や投石器を飛ばし合う武骨な戦闘スタイルは、「力づくで命を奪い合う」というリアリティを感じさせます。
あまり有名じゃないB級映画ですが、中世ヨーロッパアクション映画の隠れた良作です。
ちなみに、主演のジェームズ・ピュアフォイは「バイオハザード」1作目でアリスを裏切ったフィアンセ役の人です。
メル・ギブソン主演で描く英雄の壮絶な死闘:ブレイブハート
スコットランド独立のためにイングランド王と戦った英雄ウィリアム・ウォレスの壮絶な生涯を描いた歴史映画。中世ヨーロッパが舞台のアクション映画の中でも、最も有名な傑作のひとつでしょう。
家族や恋人を失い、民衆の先頭に立って死闘をくり広げるウォレスの姿が勇ましくもあり、同時に痛ましくもあります。手加減ゼロの痛々しい戦闘シーンも合わさって、ショッキングな仕上がりの作品です。
スコットランド独立のための戦いを壮大に映像化:アウトロー・キング ~スコットランドの英雄~(Netflix)
スコットランドの英雄的な国王ロバート1世を描いたNetflixオリジナル映画。こちらも「ブレイブハート」と同じく、スコットランド独立戦争がテーマとなっています。
ストーリー的にもウィリアム・ウォレスの処刑直後から始まる独立戦争の再燃を描いていたりと、歴史の流れとしては「ブレイブハート」の続編と言っても過言ではない作品です。
痛々しい描写が満載の武骨な戦闘シーンもあって、かなり鮮明でエグい処刑シーンもあったりと、流血描写が苦手な人は視聴にやや注意が必要です。
ヘンリー5世の成長と葛藤を描く歴史ヒューマンドラマ:キング(Netflix)
イングランドの王ヘンリー5世を描いた歴史ヒューマンドラマ。原作はシェイクスピアの代表作的な戯曲です。
気ままな放浪生活を送っていた王子が若くして王に即位することになり、欲望の渦巻く貴族社会を生き、フランスとの対立を乗り越えながら少しずつ一人前の王になっていく姿をシリアスに描いています。
主演のティモシー・シャラメ、王を支える側近役のジョエル・エドガートンともに名演を見せていて、「王」という立場の孤独さを重厚に描き上げた秀作です。
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フランスの英雄の生涯を圧倒的スケールで描く:ジャンヌ・ダルク
誰もが一度は名前を聞いたことがある英雄ジャンヌ・ダルクの生涯を、凄まじい迫力で描いた歴史大作。ミラ・ジョヴォヴィッチは日本では「バイオハザードの人」というイメージですが、世界的にはこちらの主演で有名でしょう。
当時の冷酷な治世を見せつける残虐なシーン、生々しい戦闘シーンなど、観ていて辛くなる描写も多め。ですが、血生臭い歴史を肌で知る上では重要な一作と言えます。
イギリス史に残る女王の姿を鮮明に映像化:エリザベス
イングランドの伝説的な女王・エリザベス1世の半生を描いたケイト・ブランシェット主演の伝記映画。
当時の世界に入り込んだような映像美、エリザベスの圧倒的な存在感が一体になって、歴史映画としてもヒューマンドラマとしても魅せてくれます。
続編「エリザベス:ゴールデン・エイジ」と合わせて、イングランドの歴史を描いた名作として有名です。
ヨーロッパ貴族の生活を華やかに描き出した意欲作:マリー・アントワネット
マリー・アントワネットを主人公に、近世フランスの貴族社会を豪華かつポップに描き上げた大作。
史実とは異なる部分も多く賛否両論を呼びましたが、当時の貴族の鮮やかな生活の雰囲気を感じつつ、ソフィア・コッポラ監督の見せる映像美を堪能できるアーティスティックな作品です。
主演のキルスティン・ダンストのめちゃめちゃキュートな表情も見どころ。
モーツァルトの半生をユニークな視点から描いた名作:アマデウス
アカデミー賞で8部門を受賞した超傑作。伝説的な作曲家モーツァルトの半生を、彼に近い位置にいた音楽家サリエリの視点から描いています。
「モーツァルトを描いた伝記映画」としての意味合いはもちろん重要ですが、何より圧倒的なリアリティの音楽映画としても凄まじいクオリティ。自らピアノ演奏や指揮のシーンまで演じ上げたモーツァルト役トム・ハルス、そして人間らしい生々しさを見せるサリエリ役のF・マーリー・エイブラハム、どちらの演技も必見です。
まとめ
以上、古代から近世まで、ヨーロッパの歴史映画をまとめていきました。こうして時代順に並べてみると、ローマ時代の栄えっぷりと中世の停滞期、そして近世の再興の流れがよく分かりますね。
壮絶な戦争映画から重厚なドラマ映画まで、ヨーロッパの歴史をより感覚的に知る上でもこうした作品はおすすめです。
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