有名な大作にタイトルとジャケットだけ似せて便乗したパクリB級映画の数々。洋画ファンなら、GE〇とかツ〇ヤで一度はそんなを作品を見かけたことがあるのではないでしょうか。
いわゆる「モックバスター」と呼ばれるこれらのパクリ・パチもんB級映画。その内容は意外とちゃんとした作りなのに日本の配給会社が変な邦題で台無しにしているものもあれば、脚本の時点で盛大にパクってて言い逃れできないものもあったりと、千差万別。カオスでぶっ飛んだパクリ便乗B級映画の世界を見ていきましょう。
- パクリタイトル映画の金字塔『トランス・モーファー』
- "それ"じゃなくて"あれ"『THAT/ザット』
- さかのぼりすぎ『紀元前1億年』
- 配給会社の伝説的失態『バス男/ナポレオン・ダイナマイト』
- そんなバイオハザード知りません『バイオハザード2034』
- そんなターミネーターも知りません『ターミネーターズ』
- そんなミュージアムも知りませんん『ナイトメア ミュージアム』
- 中身よりジャケットの方がお金かかってそう『メタルマン』
- ジャケットを見るだけでも楽しいパクリB級映画の数々
- まとめ
パクリタイトル映画の金字塔『トランス・モーファー』
パクリB級映画界の王。ぶっちぎりにヤバい殿堂入りパチもん便乗映画。それがこの「トランスモーファー」です。まずタイトルの時点で、尋常じゃないヤバいオーラをまとってますね。
題名とジャケットのインパクトがあまりにも強すぎて、ただのパクリB級映画なのにプチブームを巻き起こすほどの話題に。パクリ映画のくせにWikipediaに個別ページまで作られ、パクリ元の続編「トランスフォー〇ー リベンジ」公開に合わせて正式な続編「トランスモーファー リターンズ」まで作られたという伝説の名作です。
ストーリーは「ロボットエイリアンの侵略と人類抵抗軍の戦い」という本家とは似ても似つかないもので、ショボいCGとセットと演技のオンパレード。ですが、これでも低予算B級映画の中ではまだ観られる方の出来でしょう。
詳しい感想はこちら↓
【地雷映画】「トランス・モーファー」がいかに偉大なパクリ映画か語る【愛をこめて】 - 怠惰ウォンテッド
"それ"じゃなくて"あれ"『THAT/ザット』
「IT」に便乗してレンタルリリースされたホラー映画。原題は「IT」とは全く関係なく、そもそもピエロ要素もあんまりありません。
もともとがパクリ前提のおふざけ映画ではないので、ちゃんと真面目に作られていてクオリティもそこそこ。低予算ホラー映画だということを踏まえてみれば、ホラー好きならふつうに楽しめる範囲内でしょう。
逆に、ツッコミどころ満載のネタ映画を期待して借りてしまうと後悔します。これは邦題を付けた配給会社の罪ですね……
さかのぼりすぎ『紀元前1億年』
原始人の戦士たちと非道な文明人の戦いを描いた「紀元前一万年」の公開に合わせてリリースされた低予算地雷映画。タイムスリップ実験の失敗で7000万年前に取り残された被験者たちを救出するために、同じく7000万年前に飛んだ特殊部隊の戦いが描かれます。
まず、「7000万年前なのに四捨五入で1億年前と言い張る」という図々しさが最初の爆笑ポイントですね。原題も「100 MILLION BC」だから製作元も併せて大戦犯です。
7000万年前のシーンはどう見てもどっかの自然公園だし、襲ってくる恐竜たちのCGはケーブルテレビの安い歴史番組くらいのクオリティ。なんとあの「トランスモーファー」のスタッフが集結して製作されたというのも納得です。
ただ、ストーリーはハイペースでテンポがいいので、意外と飽きずに観られるのは嬉しいポイント。後半では恐竜ごと現代に戻ってきちゃって街が大パニックになったりと、タイムスリップ映画としてけっこう楽しめてしまうから憎めません(恐竜が街で暴れるシーンの背景に普通に通行人が映ってるのはご愛嬌)。
配給会社の伝説的失態『バス男/ナポレオン・ダイナマイト』
今は原題と同じく「ナポレオン・ダイナマイト」という邦題に変更されていますが、リリース当初は「電車男」の人気に乗っかって「バス男」というタイトルが付けられたコメディ映画。
「アメリカの田舎町に住む冴えない高校生たちの不器用な青春」がスローテンポで描かれるシュール系コメディで、低予算インディーズ映画ながら全米で高評価されました。ふつうに良作です。バカにするような要素はありません。
主人公たちが通学のためにバスに乗るシーンが多いところから無理やり「バス男」なんて邦題が付きましたが、内容に「電車男」との共通点はかけらもありません。あまりにも酷い邦題で作品を侮辱してると大批判が集まり、謝罪文が発表されて改題される騒ぎに。
今では日本の配給会社の伝説的失態として知られています。
そんなバイオハザード知りません『バイオハザード2034』
パクリB級映画のお手本のような便乗っぷり。清々しいまでの乗っかりタイトルですね。
「ゾンビが蔓延した近未来で戦う」という内容なので一応嘘はついてませんが、内容は「ホームビデオ用のカメラで撮ったの?」と言いたくなる粗画質と雑CGのひどい出来です。
ちなみにジャケットの美人女戦士も登場しません。主人公は30代くらいのお姉さん(?)とヒョロっとした冴えない男です。が、この冴えない男主人公の俳優がやたらとアクションが上手。ゾンビの大群を相手に一人で大立ち回り演じるシーンはちょっと関心させられます。そこだけは多少見ごたえがあると言えます。
とはいえ、そこはあくまでネタB級映画。お金と時間を捨ててもいい人にしかおすすめしません。
そんなターミネーターも知りません『ターミネーターズ』
反則スレスレのラインを通り越してギリギリアウトなタイトルとジャケットのSF映画。内容も「シュワちゃんっぽいマッチョなターミネーターが人類に迫りくる」という言い逃れ不可能なパクリっぷりです。
ただ、破壊描写のCGや銃撃エフェクトの合成がショボいのに目を瞑れば、アクションのボリュームはたっぷりあるので一応退屈はしません。謎に宇宙戦艦バトルとかもあります。
「トランスモーファー」シリーズを笑って楽しめる人にはおすすめ。
そんなミュージアムも知りませんん『ナイトメア ミュージアム』
博物館の展示物が動き出す某コメディ映画の便乗タイトル作品。ですが、内容は「石像として封印されていた怪物バジリスクが発見されて博物館に運ばれるもまさかの復活。再びバジリスクを封印するための戦いが始まる……」というもので本家とは1mmも関係ないです。
原題は「BASILISK: THE SERPENT KING」なので、これは邦題を付けた人の罪ですね。人が死にまくる内容だし、間違えて借りられて子どもが観たら泣くんじゃないかな……
B級モンスターパニック映画としては普通にそこそこいい出来で、昔の木曜洋画劇場とかテレ東の午後のロードショーとかで放送されそうな雰囲気。こういうのが好きな人ならちゃんと楽しめると思います。
中身よりジャケットの方がお金かかってそう『メタルマン』
パクリ映画界の中でも最底辺のゴミ〇ズ作品。「トランスモーファー」が拳銃だとしたら、こちらは大陸間弾道ミサイルくらいの激ヤバ映画です。
悪ふざけの寸劇をスマホで記録したような酷いクオリティで、もはや映画と呼ぶのもおこがましいです。CGと呼ぶのがCGに失礼な映像。会話シーンに小鳥のさえずりが入っちゃってる音響編集。これに値段を付けてお店に並べるなんてどんな度胸してるんでしょうか。
映画全体の製作費よりも、DVDジャケット画像の編集・製作費の方がかかってそうなレベル。B級どころじゃないZ級映画の世界に触れてみたい方にのみおすすめします。
ジャケットを見るだけでも楽しいパクリB級映画の数々
ひとつひとつの内容を見ていくのはもちろん、DVDジャケットを眺めてるだけでも楽しいのがパクリB級映画の魅力です。ここからは、それぞれの作品が表現の自由の限界ギリギリを攻めているジャケットの数々を見てみましょう。
完全にオプティ〇ス・プライムなジャケット。本編でこのロボットは0.1秒も登場せず、クレーン車に腕が生えたような特撮ロボットが出てきて戦うフィリピンのB級映画です。
「アルマゲドン20XX」シリーズはパクリB級邦題の中でも特に有名なご長寿シリーズですね。年を重ねるごとにジャケットの地球ぶっ壊れ具合が酷くなっていくのが楽しいです。
某ハリウッド怪獣映画の便乗作品。これはハリウッドだけでなく日本の特撮界にも喧嘩を売る所業ですね。
ドウェイン・ジョンソン主演の某災害パニック映画の便乗タイトル。「ダウン」より「ディストラクション」の方が派手そうですね。
インディー・〇ョーンズに乗っかりつつ、ハム〇プトラにも同時乗りするわがまま作品。図々しいです。
おいおいおいおい……
まとめ
ただパクリB級映画のジャケットを見ていっただけなのに、なんだかツッコミ疲れてしまいましたね。
コアな映画ファンでない限りあまり触れることのないパクリB級映画の世界ですが、ツッコミを入れながら笑うネタ作品としては悪くなかったり、極稀に隠れ良作が見つかったりと、色んな楽しみ方があります。
気になった方は、とりあえず「トランスモーファー」シリーズから手に取ってみましょう。