「田舎町で巨大なクモに襲われる」なんてあらすじを聞いたら、誰もがショボショボなB級パニック映画を想像するはず。
そんな想像を覆して、ハリウッドの一流スタッフによるド派手なウジャウジャ虫パニックを見せてくれるのが、この大傑作「スパイダー・パニック」です。
パニック映画ファンなら人生で一度は観るべき。あらためて詳しくレビューします。
「スパイダー・パニック」あらすじ
2002年 アメリカ
監督:エロリー・エルカイエム
キャスト:カリ・ウーラー、デヴィッド・アークエット、スコット・テラ、スカーレット・ヨハンソン
アメリカの田舎町プロスパリティ。ある日、その町はずれの川に汚染物質が落とされ、その川の虫を食べたクモたちが突然変異で巨大化してしまう。
クモによって町では家畜やペットの失踪被害が相次ぎ、ついには数mもの巨大なクモの群れが町へと押し寄せてくる。プロスパリティの住民たちは、女性保安官のサムを中心に団結してクモに立ち向かうが……
「スパイダー・パニック」感想
クモがリアル!パニックの規模がでかい!
この手のB級パニック映画は予算不足でモンスターの出番が少ないことが多いのに、この「スパイダー・パニック」は製作費がかなり潤沢なので、お話のスケールがとにかくでかい。
ひとつの町が丸ごと巨大クモで大パニックになっていくシーンががっつり描かれてて、パニック映画ファンとしては嬉しいかぎりです。「クモVS不良バイカー集団」の荒野でのバトルとか、クライマックスのショッピングモールでの全面戦争とか、いちいち燃える演出があるのも楽しいですね。
クモのCGも2002年の映画ということを考えるとかなりリアルな仕上がりで、「スターシップ・トゥルーパーズ」なんかを彷彿とさせます。ジャンプしながら人間に食らいつくハエトリグモ、地面に掘った穴に人を引きずり込んでいくトタテグモ、人間を糸でグルグル巻きにして攫うオニグモなど、種類も襲撃パターンもバリエーション豊かで飽きません。
トレーラーをひっくり返すタランチュラやラスボスの超巨大オニグモみたいなボスキャラのインパクトも十分。B級パニック映画お決まりの大爆発オチまで、もう全部楽しいです。
B級パニック映画好きの「こういうのが観たい!」を全て詰め込んだ完璧なストーリーだと思います。
あのローランド・エメリッヒが製作総指揮!
この異常なまでの完成度の高さに大きく貢献してるのが、製作総指揮として参加したローランド・エメリッヒ。「インデペンデンス・デイ」や「デイ・アフター・トゥモロー」を手がけたハリウッドのトップ監督の一人です。
こんな大物がいかにもB級な本作に関わってるのは驚きですが、これを知ってから観たら、ストーリーのテンポ感やパニック描写の見せ方なんかには彼のパニック描写の影響があるような気もします。
あと、キャストの中にまだ無名子役だったスカーレット・ヨハンソンがいるのもポイント。
「主人公一家の反抗期のお姉ちゃん」というポジションでいかにもアメリカの田舎のギャルっぽいキャラクターを演じていて、今のハリウッドスター的なオーラが全くなくて面白いです。
コメディっぽいからお子様も安心して観られる…?
こういうB級映画のストーリーは笑えるノリになってることが多いですが、「スパイダー・パニック」はその中でもかなり振り切ってコメディ寄りですね。「パニックコメディ映画」とジャンル分けしてしまっていいくらい。
よく考えたら田舎町まるごと一つがほぼ壊滅するほど大量の死者が出てるはずですが、登場人物みんなテンションが軽い軽い。音楽もめちゃめちゃ呑気。クモたちも「ウーグルグルグル」みたいな変な声出しながら歩いてくるからちょっとかわいい。
全体的にポップでふわっふわしたノリなので、これなら子どもと一緒に楽しめるんじゃないでしょうか。
ちょっとエグめのシーン(繭で包まれた人がクモの足で突き刺される)とかちょっと過激なシーン(彼氏に強引に迫られたスカヨハがスタンガンで彼氏の金〇を攻撃)もありますが、まあ地上波でも放送できる範囲内だから大丈夫でしょう。
まとめ:また地上波ゴールデンタイムでやってほしい
こういうあんまり有名じゃないけど底抜けに明るくて楽しい映画って、最近は地上波のゴールデンタイムではやらなくなりましたね。「スパイダー・パニック」も昔は木曜洋画劇場とかで放送されてたのに……
何も考えず笑って盛り上がれる映画がほしいときに今でもたまに観たくなる、おそらくこれからも生涯で数十回は観るであろう傑作です。
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