今やすっかりB級俳優になってしまったニコラス・ケイジですが、ときどき個性的な珍作に出演していたりもして、「おっ?」と気になって観てしまうこともあります。
本作「ザ・ビースト」もそんな珍品のひとつ。貨物船の中で殺人鬼と猛獣が脱走してしまって大パニック……という映画なんですが、内容はそこそこ面白かったものの、終盤でまさかの「字幕の脱字ミス」を発見してしまうという事態に。もはや映画の内容が吹っ飛ぶレベルの驚きでした。
問題のシーンの紹介と合わせてレビューします。
「ザ・ビースト」あらすじ
2019年 アメリカ
監督:ニコラス・パウエル
キャスト:ニコラス・ケイジ、ケヴィン・デュランド、ファムケ・ヤンセン
ジャングルで希少な猛獣ホワイトジャガーを捕獲したハンターのフランクは、獲物とともに貨物船に乗って帰路につく。その貨物船には、元特殊部隊員の殺人鬼ラフラーと、彼を護送する軍人たちも乗っていた。
ところが、ラフラーが監視の隙をついて脱走し、さらにホワイトジャガーをはじめとしたフランクの獲物の動物たちを逃がしてしまう。逃げ場のない貨物船内で、乗員たちはラフラーとジャガー両方の脅威にさらされていき……
「ザ・ビースト」感想
字幕にミスがあるんだけどおおお!!!!
これが問題のシーンです。なんだよ「ケニアある」って。なんで急にカタコトなんだよ。
これまでいろんなB級映画を観てきたし、なかには字幕編集にお金かけてないなあ……と明らかに思える作品もたくさんあったけど、さすがに字幕がモロ誤字ってるのは初めて見ましたね。
しかもB級とはいえハリウッドスターのニコラス・ケイジ主演作で。よりにもよってニコラス・ケイジのセリフで。
まあ別に「ちゃんとやれよ!」みたいな怒りは湧いてこないし、字幕を作ってる人も人間なんだからミスすることもあるだろうな~と思うし、むしろある意味でめちゃめちゃ面白いものが観れたからラッキーやったーくらいの気持ちですね。
全てのDVDで同じように字幕がミスってるかは分かりませんが、マスターデータの時点でやらかしてるんだろうし、多分どれでも同じ脱字ミスが観れるんじゃないでしょうか。
内容はごく普通のB級パニックスリラー(キャストがよかった)
ここからは映画の内容のレビューです。
まあ一言でいうと……「めちゃめちゃ面白いわけじゃないけど、なんだこのク〇映画!と怒ることもないごく普通のB級パニックスリラーでした。
一応売り文句としては「殺人鬼と猛獣がダブルで襲ってくるパニックアクションだよ!」という点を推したいんでしょうが、猛獣の方はぶっちゃけおまけレベルの存在感ですね。内容的にはあきらかに殺人鬼の方がメインだった。
その殺人鬼は「特殊部隊出身の超凄腕」という設定のはずだけどアクション的にド派手な見せ場があるわけでもなく。どちらかというと、「殺人鬼によって一人また一人と倒されて生存者が減っていく」というスリラー映画的なノリに近いです。それはそれでまあ楽しめるけど、思ってたのとは違いました。
殺人鬼を護送する部隊の隊員たちもあんまり戦う描写がなく退場していったのは、戦闘シーンにかける予算がなかったからでしょうか。
ただ、その殺人鬼を演じるケヴィン・デュランドはよかった。「バイオハザードⅤ」とか大作への出演もわりと多い俳優ですが、イッちゃってる殺人鬼役がよく似合ってました。数少ないアクションシーンでは激しく立ち回ってくれて見ごたえも十分です。
もちろん主演のニコラス・ケイジもいいですね。腐ってもハリウッドスター。たまに異様にギラついた存在感を見せるのはさすが名俳優だと思いました。
ヒロインポジションのファムケ・ヤンセンもお美しいけど、彼女はさすがに見せ場が少なすぎるというか「ヒロイン枠でそこにいるだけ」感が強すぎましたね。華がほしいから添えられただけ。こんな役回りならわざわざ名女優のファムケ・ヤンセンを使う意味がなかったんじゃないかな。
全体的に実力派キャストの存在感に支えられて映像的な見せ場の少なさをカバーしてる感が強かったけど、そもそも見せ場の少なさが(おそらく)キャストのギャラで制作費を圧迫してるせいなんだから、じゃあ大物を起用せずに浮いた金でアクションを充実させろよとも思ってしまいました。
あと、ジャケットにゴリラとか熊とか狼とか写ってるけどあれは嘘です。嘘100%です。C級映画がよくやるジャケット詐欺だけど、さすがにニコラス・ケイジ主演作でそんなセコい手を使うなよと思ってしまった。
まとめ:ある意味で超レアなので観てみる価値あり
別につまらないとまでは言わないけど、あえて他の人におすすめしたいほどの良作ではなかったです。ニコラス・ケイジが好きな人か、船が舞台のパニック映画が好きな人か、字幕で脱字をかますという激レアな編集ミスを見てみたい人なら手に取ってみてもいいと思うよ、くらいのおすすめ度。
ニコラス・ケイジを背景に字幕が思いっきりミスってるシーンなんてもう観れることはないと思うので、洋画マニアならそのシーンのために一度くらい手に取ってみるのもありかもしれませんね。
ニコラス・ケイジ主演のパニック映画ならこちらがおすすめ↓
ちゃんとした動物パニック映画が観たい方はこちらをチェック↓