安里アサト氏原作の大ヒットライトノベルを映像化したアニメ『86 エイティシックス』。
その1クール目が最終回を迎え、原作からのファンと、原作未読のアニメ勢のそれぞれから大きな反響を巻き起こしました。
なかでも特にショッキングだったのが、11話のエンディング後のラストカットでしょう。
この結末の意味は?シンの死亡エンドを意味しているのか?
さらに、この最終回11話で残された伏線の意味は?
等々、ネタバレ込みで解説・考察していきます(原作のネタバレを知りたくない方はご注意ください)。
- 『86 エイティシックス』最終回11話はシン死亡エンド?
- 『86 エイティシックス』最終回11話のラストカットの意味は?
- シンが聞いた新たな「羊飼い」の声は?
- 『86 エイティシックス』スペシャルエディションで登場した機体は?
- 『86 エイティシックス』最終回の結末についてまとめ
『86 エイティシックス』最終回11話はシン死亡エンド?
まず結論から言うと、『86 エイティシックス』最終回11話でシンは死亡していません。
シン以外にも、ライデン、クレナ、アンジュ、セオも全員生存しています。
アニメの中でシンが何度か言った「レギオン支配域を抜けると、レギオンの声が全く聞こえないエリアがある。そこに他の生き残りの国があるのかもしれない」というセリフ、これが大きな伏線です。
ライデンたちが倒れ、シンもレギオンに捕らえられ、絶体絶命の危機に陥った11話前半。
原作では、あの直後に助けが来ます。助けたのはなんと……シンの兄レイです。
レイのように高度な思考が可能で貴重な「羊飼い」レギオンは、破壊されると同時に記憶データのバックアップが予備の機体に転送され、生き永らえるように作られていました。
そのため、レイは新たな重戦車型の機体を得て生きており、シンたちが無事にレギオン支配域を抜けられるか、後をつけながら見守っていました(これに関しても、シンが「ずっと同じ距離にいるレギオンが気になる」ということを言っています)。
レイはシンたちを襲っていたレギオン部隊を自らの意思で撃退し、シンたち5人を保護。
シンたちをレギオン支配域の先にある国――ギアーデ連邦に送り届け、自分は連邦の攻撃によって撃破され、ついに永遠の眠りにつきます。
こうして生き延びたシンたちが、ギアーデ連邦で新たな機体に乗って戦いに臨むのが、『86 エイティシックス』の2巻以降。アニメだと2クール目以降のストーリーになります。
『86 エイティシックス』最終回11話のラストカットの意味は?
では、気になるのが『86 エイティシックス』最終回11話のラストカットですよね。
エンディングの後、シンは真っ白な空間で目を覚ます。
シンは幼い頃の姿で、目の前には兄のレイがいて。
レイが持っている絵本――「首のない騎士(レイのパーソナルマークでもあり、この騎士の剣をシャベルに持ち替えたものがシンのパーソナルマークになった)」を落とすと、レイ自身が騎士の姿に。
そのレイに手を引かれ、「行くよ」と連れていかれるシン。その前には、首から上がない今のシンの姿が。
まるで、シンが死亡して、レギオンに首を持っていかれたかのように見えますね。
このラストカットを見た原作未読の視聴者の多くが、「シンは死んでしまった」と解釈したようでした。
ですが、シンは生き延びて、2クール目以降も主人公として登場します。
では、なぜこのようなラストカットになっているのか?
筆者の解釈は、これはシンの死を示唆するものではなく、「シンの今までの自分との決別」を意味しているのではないか、というものです。
シンはプロセッサーとなったときから、兄レイを弔うことだけを目的に生きてきました。
そして、それは9話の戦いで達成されました。以降のシンは兄を弔い、赦しを得たことで明るく穏やかになりましたが、ライデンはそんなシンに「空っぽになってしまったのではないか」と危うさも感じていましたね。
生きる目的を亡くした首のない死神……それが、10話以降のシンだったわけです。
しかし、予備機に意識を移して生き永らえたレイは、シンにはこの先も自分自身の人生を歩んで欲しいと思っています。せっかく兄という呪縛から解放されたのだから。
だからこそレイはシンを見守り、その窮地を救い、自分が撃破されることも厭わずにギアーデ連邦に届けました。
レイに導かれて、シンは空っぽになってしまった今までの自分に別れを告げ、「命が果てるまで生き続ける」という新たな道に踏み出したわけです。
11話のラストは、それを示唆しているのではないでしょうか。
シンが聞いた新たな「羊飼い」の声は?
ラストカットと併せて気になるのが、超長距離砲型レギオンの攻撃とともに聞こえてきた、新たな「羊飼い」の声ですよね。
あれは原作2巻~3巻で、いわゆるボス敵として登場するレギオンのものです。
レギオンを生み出し、しかし革命によって滅びたギアーデ帝国。革命を起こして成立したギアーデ連邦には、皇帝一族の生き残り・フレデリカという少女がいます。
身分を隠して軍属となったフレデリカは連邦でのシンたちの仲間になるのですが、かつてフレデリカを守って死んだ騎士の青年が、あの「羊飼い」になってしまったのでした(羊飼いのビジョンの中に「姫様」と呼ばれる幼い少女がいましたが、それがフレデリカです)。
なのであの場面は、がっつりアニメ2クール目の伏線になっています。
『86 エイティシックス』スペシャルエディションで登場した機体は?
「レギンレイヴ」という、シンたちが保護されたギアーデ連邦で新たに与えられた機体です。
ギアーデ連邦の多脚兵器は重装甲重火力が主流ですが、ジャガーノートに乗り慣れていたシンたちは、それと同じ軽装甲の、この実験機を好みました。
「駄作機」「アルミの棺桶」と呼ばれたジャガーノートと比べると、性能は遥かに上でまともな兵器。主砲の威力も高く、その他の副武装も充実。装甲も厚いです。
ですが、レギオンの火力を前にすると装甲の差など誤差レベルなので、シンたちからは親しみを込めて「ちょっとマシなアルミの棺桶」なんて呼ばれています。
アニメ第2クールでは、シンたちはこの機体で戦うはずです。
『86 エイティシックス』最終回の結末についてまとめ
おそらくあのまま2クール目に突入したら賛否両論を呼んだであろう『86 エイティシックス』最終回11話のラストカット。
ですが、シンの死亡ではなく「それまでのシンとの決別・新たなシンの生きる道への旅立ち」ととらえれば、少しゾッとするあのカットに、逆に希望を見出せるんじゃないでしょうか。
この解釈をもって2クール目に進むと、また作品の印象が変わるかもしれません。変わるといいな。
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