『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ジュラシック・ワールド』などのクリス・プラット主演、コロナの影響で劇場公開が断念され、Amazonプライム配信作品として公開されたSFアクション大作『トゥモロー・ウォー』。
2021年7月2日より配信が開始された本作ですが、これ……とんでもない大傑作でした。
これぞまさに現代ハリウッド大作。細かいことは無視して壮大な映像世界とド派手なアクションで全てを黙らせるパワフルSFパニックアクションです。
ネタバレありで詳しくレビューしていきます。
『トゥモロー・ウォー』あらすじ(結末までネタバレ)
2021年 アメリカ
監督:クリス・マッケイ
キャスト:クリス・プラット、イヴォンヌ・ストラホフスキー、J・K・シモンズ、エドウィン・ホッジ、サム・リチャードソン、ベティ・ギルピン
2022年、世界各地に30年後の未来から時空を超えてやって来た兵士たちが現れ、人類に助けを求めてくる。
30年後の地球では狂暴なエイリアン「ホワイトスパイク」によって人類が存亡の危機に立たされており、残り人口50万人を切った人類は、「過去の人類」を援軍として未来へ連れていくことにしたのだった。
人類存亡のために各国政府は派兵を決め、やがて兵力不足のために一般市民を徴兵して未来へ送るようになる。
元軍人で化学教師のダンも徴兵され、一週間の兵役を務めるために素人同然の徴兵部隊とともに未来へ飛ぶ。そこで与えられた任務は、ホワイトスパイクの襲撃で崩壊しつつある研究施設から重要なデータを運び出すことだった。
多くの犠牲を払ってダンたちはデータを回収し、未来の人類抵抗軍に救助される。そこの研究者としてホワイトスパイクを倒す毒物を開発していたのは、30年後のダンの娘だった。
ダンたちが持ち帰ったデータをもとに、無事に毒物は開発される。しかし基地がホワイトスパイクの襲撃を受け、ダンはなんとか毒物を確保しつつも、娘を救えずに現代へ戻されてしまう。
帰還後、ホワイトスパイクがこの時代には既にロシア北部の氷山の下にいることを突き止めたダンは、未来から持ち帰った毒物を量産して有志の兵士たちとともに現地へ飛ぶ。そこで氷山の下の埋まっていたのは、巨大な宇宙船と、その中に「貨物」として収容されているホワイトスパイクの群れだった。
ダンたちは毒物と爆薬を使い、繁殖する前のホワイトスパイクを駆除。逃げ出した一匹もダンと父のスレイドが死闘の末に倒し、ついにホワイトスパイクの絶滅に成功する。
こうして「ロシアに突如現れたホワイトスパイクが人類を滅ぼす」という未来そのものが消滅し、同時にダンの娘が未来の戦いで死ぬ可能性もなくなり、人類は救われたのだった。
『トゥモロー・ウォー』感想(ネタバレあり)
「こういうのでいいんだよ」と言いたくなる安心感
これだよこれ!こういうのでいいんだよ!と言いたくなる映画でした。もうね、最高です。
どっかで見たようなデザインの凶悪エイリアン。
「30年後の未来に飛ぶ」という変化球を一発はさむ以外はこれまでのモンスターパニック映画と何が違うん?と言いたくなるストーリー。
もう100回見たようなベタな親子愛のドラマと、こちらも100回は見たような主人公と父親の確執。
落ちるヘリ、吹っ飛ぶ軍用車両、襲撃されて壊滅する基地。
超でっかい爆発エンド、「やったか!?」と思ったらやってないパターン。
独自性は薄く、どこかで見たような世界観と展開とアクションのオンパレードです。
でも、それがいいんですよ!こういうのを求めてたんですよ!こういう映画が定期的にないと駄目なんですよ!
最近はヒーロー映画と低予算ホラー映画、過去の有名作のリブートブームに押されて、こういうタイプのハリウッドパニック大作は減少しがちだったので、ここまでド直球の作品が観られたらもうお腹いっぱいで大満足ですね。
斬新な映画、これまでなかったような映画、そういうのも素敵です。でも「こういうのが観たい!」と思ったときに想像通りのものを見せてくれる作品も必要です。
『トゥモロー・ウォー』はその点で、120点満点の映画じゃないでしょうか。こう言っちゃ悪いですが、『アーミー・オブ・ザ・デッド』で物足りなかった気持ちを全て満たしてもらった感があります。
色んな映画と似た要素が満載・すごい既視感だけどそれもまた良し
オリジナリティという点ではかなりアレな本作。
例えばエイリアンは元祖『エイリアン』のあいつと『クワイエット・プレイス』『オール・ユー・二―ド・イズ・キル』あたりを混ぜ合わせたような見た目でした。
前半見せ場の市街戦は『世界侵略:ロサンゼルス決戦』を彷彿とさせます。
中盤の要塞襲撃シーンはどことなく『ワールド・ウォーZ』です。
クライマックスの宇宙船潜入シーンはそのまんま『エイリアン』『エイリアン2』だし、最後の戦いが雪原というのは『エイリアンVSプレデター』を思い出しました。
そもそも「女王エイリアンを守るオスの大群」というのも元祖『エイリアン』ですね。
未来と過去を行き来して戦うのは『ターミネーター』感もあります。
もちろん全部が全部オマージュとして狙ったわけではないでしょうが、明らかに意識したと思われる要素もたくさん。SFパニックとしての目新しさはかぎりなく薄いです。
でも、この既視感満載な感じがむしろ好ましい、微笑ましいんですよね。こういうジャンルの過去作への愛も溢れてて大好きです。
SF要素には期待するな
「エイリアンと戦うために30年後に飛ぶ」という点が過去の同ジャンルの映画と違う本作ですが、このSF要素に関してはあまり期待しない方がいいというか、本格重厚SF作品を期待するとどでかい肩透かしを食らうでしょう。
確かに、「まだ平和な現代から非日常の近未来へ」という点は最初はインパクトがあったし、荒廃したマイアミのビル街でエイリアンの群れと戦うシーンや、海上要塞のビジュアルなんかは見応えがありました。
タイムスリップに関しても「30年後には既に死んでいる人間だけが徴兵される」「30年後から来たのは現代ではまだ生まれていない20代の兵士ばかり」とか、一応それらしい理由付けはされています。
ですが、結末まで観れば「未来要素そんなに要るか?」とも思えます。ふつうに現代にエイリアンが現れて戦う話でも別に何の問題もなく話進められた気がする。タイムパラドックスやパラレルワールド理論のツッコミどころも多いです。
とはいえ、そんなことを言っては野暮でしょう。最終的にあんまり意味がない展開でも、どれだけツッコミどころがあろうとも、絵面が面白くて一時でもハラハラできればよし。十分な効果あり。そう評するのがこういう頭空っぽパニックアクション大作の掟です。
SF映画ではなく「ほんのりSF風味のミリタリーパニックアクション映画」だと思って観ましょう。
『トゥモロー・ウォー』ネタバレあり感想評価まとめ
ここまで小細工なし誤魔化しなしのパニックアクション映画は久しぶりに観ました。一体いくらお金かけたんでしょうか。きっと100億~200億円クラスの大作ですよね。
これを買い取って配信でプライム会員に流してしまうAmazonの太っ腹ぶりといったらね。神じゃん。
化け物エイリアンと戦う系の映画に、またひとつ傑作が加わりました。満腹です。作ってくれた人たちありがとう。
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