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『86 エイティシックス』アンジュ・エマの背中の傷は?原作での描写と併せて解説【ネタバレあり】

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『86 エイティシックス』でスピアヘッド戦隊の隊員で、物語のメインキャラクターの一人にもなっているアンジュ・エマ

落ち着いて大人びた、清楚な雰囲気の少女で、明るく無邪気なクレナとは対照的な性格が特徴です。

そんなアンジュですが、原作ではアニメよりも深く人間性やバックグラウンドが描かれています。彼女の特徴や魅力を解説します。

原作のネタバレを多く含むので、アニメ派の方はご注意ください。

『86 エイティシックス』アンジュ・エマのプロフィール

アンジュ・エマは、スピアヘッド戦隊の隊員の一人。第五小隊に所属し、隊長であるダイヤの戦死後は小隊の指揮を引き継ぎました。パーソナルネームは「スノウウィッチ」です。

身長はおよそ170cmと高めで、誕生日は10月2日。登場時の年齢は16歳です。性格はおしとやかで、隊のお姉さん役を務めています。

民族はアルバである月白種と、青い瞳の天青種の混血(ハーフ)。半分はアルバの血が流れ、青みがかった銀髪を持ちながらも「瞳の色が銀ではなく青だから」という理由だけでエイティシックスに認定されました

 

『86 エイティシックス』アンジュ・エマの過去や背景は?背中の傷は?

同じスピアヘッド戦隊のダイヤとはお互い好意を持つ仲に

スピアヘッド戦隊の仲間で、同じ小隊の隊長ダイヤからたびたび声をかけられていたアンジュ。

ダイヤがアンジュに好意を持っていたのは明らかですが、アンジュはそれを軽やかに躱しながらも、彼女の方も好意を持っていた様子なのがアニメの描写からも分かります。

ダイヤの死に際には言葉をかけられて、自分もそれに応えている様子が描かれました。

さらに、ファイド視点の記録映像では、ダイヤが戦死した夜に隊舎の裏で一人泣き崩れる様子が映されています。

アンジュがダイヤを特別だと感じたきっかけは、「髪が綺麗だ」と褒めてくれたこと。

半分はアルバの血が流れ、青い銀髪を持つアンジュにとって、この髪は後ろめたさと憎しみを感じるものでした。その髪を「綺麗だ」と言われたことは、アンジュにとって大きな救いだったのでしょう。

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収容所での壮絶な過去と背中の傷、髪を伸ばす理由

上記のように青みがかった銀髪を持ち、パッと見た雰囲気ではアルバとあまり変わらないアンジュ。「エイティシックス」と認定された要素は瞳の色だけです。

そんな彼女は、この髪の色のせいで、収容所にいた頃に他のエイティシックスから壮絶な虐待を受けています

エイティシックスたちにとって、アンジュは「自分たちを迫害したアルバの血を半分継ぐ子ども」。だからこそ、民族の血を理由に迫害するという、アルバと同じことをしてしまったのです。

このあたりは原作小説でより詳しく言及されていて、アンジュの母親は「アルバとの子を産んだ女」としてアンジュ以上の迫害を受け、アンジュを守って惨い最期を遂げたと語られています。

 

7話のシャワー室のシーンで、アンジュの背中には文字のような傷があるのが見えます。

そこに刻み込まれた言葉は、おそらく「Whore’s Daughter(売春婦の娘)」。自身には何の責任もなく、ただ髪が銀色というだけで、当時まだ10代前半か、下手をすれば一桁の年齢だったアンジュは大人たちから背中に消えない傷を切りこまれました。

アンジュが髪を長く伸ばし、3話の水浴びのシーンでもジャケットを脱いでいないのも、この傷を隠すためでした。

あの穏やかな笑みの裏に、アンジュがどれほど凄惨な記憶を抱えているかは想像を絶します。

この髪を「綺麗だ」と肯定してくれたからこそ、アンジュにとってダイヤは特別な相手になったのでしょう

 

戦闘では「支援・面制圧」担当

プロセッサーとしては「スノウウィッチ」の異名を持つアンジュ。その戦闘スタイルは、おしとやかな見た目とは裏腹に豪快です。

アニメではあまり描写分けがありませんでしたが、アンジュが所属する第五小隊は後衛からの支援・面制圧が主な担当。そのため、アンジュのメインウェポンは「榴弾砲(弾を貫通させるのではなく、着弾と同時に爆発させて炎と破片をまき散らす大砲)」となっています。

原作2巻以降もその戦闘スタイルは変わらず、装備はミサイルポッドにパワーアップ。ミサイル一斉発射で敵部隊を面制圧するという、スピアヘッド戦隊の中でも屈指の高火力を誇っています。

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『86 エイティシックス』アンジュ・エマの声優は早見沙織さん

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アニメ『86 エイティシックス』でアンジュ・エマを演じた声優は、早見沙織さん。

穏やかな口調の女性キャラクターの声に定評があり、『鬼滅の刃』の胡蝶しのぶ役や、『幼女戦記』のヴィーシャ役、『東のエデン』の森美咲役などで知られています。

声を聞いて、「確かに胡蝶しのぶさんと同じだ!」と実感した方も多いのではないでしょうか。

 

『86 エイティシックス』アンジュ・エマは原作ではどうなる?

原作2巻以降も生存し、エイティシックスとしての誇りを胸に戦い続けているアンジュ。アニメ1クール以降の彼女はどうなるのか、まとめました。

 

ダスティンとの出会い

アンジュにとって大きな転機となったのが、原作4巻から仲間に加わる兵士ダスティン・イェーガー

彼はアルバでありながら、共和国85区の中で「エイティシックスたちだけに戦わせるのは間違っている」と演説し、共和国崩壊後は自ら戦うために志願してシンたちの部隊に加わった青年です。

しだいにアンジュに好意を寄せるダスティンに対して、ひょんな機会からアンジュも自分の過去や、背中の傷、さらにはダイヤについて語ります。

そして、ダイヤの存在を忘れない、ダイヤを好きでなくなることなんてないからと「自分はもう誰も好きにならない」とダスティンの好意を断ります

 

背中の傷との決別

戦いが進むにつれて、シンたちエイティシックスは「レギオンに勝利した後の人生」を意識し始め、戦いしか知らずに生きてきた自分たちの誇りとアイデンティティを失いそうで悩みます。

しかし、終戦の道筋が見えてきて、否応なしに全員の心が少しずつ前に進んでいきます。

アンジュもそんな中で、「ダイヤのことは忘れず、自分の人生を前に進む」ことを決め、呪いのように背中に背負ってきた傷を、手術で消す決意をします。

さらに、アンジュへの変わらぬ好意を誠実に示し続け、「アンジュを置いては死なない」とこの先も傍にいることを誓うダスティンに、アンジュ自身も「私も貴方のいる場所に帰ってくる」と答えます。

これが原作9巻での出来事。長い長い時間をかけて、アンジュにも一緒に人生を歩む相手が現れて、未来への希望が見えました。

 

『86 エイティシックス』アンジュ・エマについてまとめ

アニメだけでは見えない部分もある、アンジュ・エマという少女の壮絶な過去とアイデンティティ、葛藤や前進。

シンやレーナだけでなく、登場人物の一人ひとりに信念や物語があるのが『86 エイティシックス』の魅力ですね。

これを機に、『86 エイティシックス』の原作小説にも触れてみるのはいかがでしょうか。

 

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