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『86 エイティシックス』アネットとシンの関係は?原作での描写も解説【ネタバレあり】

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『86 エイティシックス』のメインキャラクターの一人で、主人公レーナの親友であるアネット。本名アンリエッタ・ペンローズ。

アニメ1期では、後半で意外な役割を持つ重要キャラクターとしても注目を集めました。

技官ということもあって白衣を身につけている場面が多く、さらにオフのときは眼鏡をかけていることから、「研究者タイプのクール少女キャラ(しかもメガネっ子)」として意外な人気も見せています。

そんなアネットの詳しいプロフィールや、アニメでの活躍、さらには原作2巻以降での描写を紹介します。

※記事後半ではアニメ化されていない部分のネタバレを含むのでご注意ください。

『86 エイティシックス』アネットのプロフィール

アネット(アンリエッタ・ペンローズ)は、サンマグノリア共和国軍の技術大尉。

レーナの同期であり親友であり、パラレイドの研究主任という立場上、ハンドラーのレーナとはレイドデバイスのテストなどで日常的に顔を合わせています。

パラレイドの開発に貢献した父親の後を継いで研究者になっており、若くして高い立場にいる才女です。

理想主義的なレーナとは裏腹に極めて現実的な性格で、共和国の歪みやエイティシックスへの扱いについて「私たちが考えても仕方ない」と常に諦めを語るなど、一見すると冷たい性格。しかし、その裏には秘密を抱えていました。

 

『86 エイティシックス』アネットの過去は?シンとの関係は?

実はシンの幼馴染だった

アニメ1クール目の後半で、実はシンの幼馴染だったことが明かされるアネット。

アネットの両親が隣人であるシンたち一家だけでも強制収容から庇おうかと考えていたところ、学校で虐められたアネットがシンのことを「あんな子のことなんて知らない」「あんな子たちを庇って危なくなるのは嫌」と言い放ってしまったために、シンたちは収容所送りになりました。

アネットはその罪悪感をずっと心の中に抱え続け、そのためにレーナの語る理想にも、わざと突き放したような態度を取り続けていたのでした。

 

パラレイド開発の重要な背景を知る

パラレイドの開発についても、ある重要な秘密を知りつつ一人抱え込んでいたアネット。

パラレイドの技術は、シンの異能をもとにシンの父とアネットの父が考案したものでした。しかしレギオンとの戦争状態に突入した後は、エイティシックスの子どもたちを実験道具に使いながら、非人道的な手段で開発が行われました。

多くの子どもを犠牲にパラレイドが開発された後、アネットの父は罪悪感から壮絶な方法で自殺。その過程を知っていたアネットは、幼馴染を見捨てた自分の罪を背負い続けるように、父の研究を引き継いだのでした

 

シンへの罪悪感からレーナに従うことに

ひょんな偶然からアネットの幼馴染がシンだと当たりをつけたレーナの話術に引っかかって、アネットはレーナと日々会話しているプロセッサーが、幼馴染のシンだと知ります。

そして、シンへの罪悪感を煽られてレーナに協力させられ、迎撃砲の違法利用とパラレイドによる視覚同調という軍規違反の手伝いをさせられるのでした。

結果として、アネットはレーナとともにシンたちスピアヘッド戦隊の生き残り五人を助け、シンがレイを葬る手伝いを成し遂げます。

アニメ1クール目では、罪悪感に再び苛まれながら暗い顔をして座り込む9話終盤の姿を最後に、アネットは登場しません。

 

『86 エイティシックス』アネットは原作ではその後どうなる?

ここからは、原作2巻以降でのアネットの活躍を解説します。アニメ以降のストーリーをまだ知りたくない!という方は盛大なネタバレにご注意ください。

 

レーナの頼れる仲間として技術面からサポート

原作2巻から、シンたち五人はレギオン支配域の先にある生き残り国家・ギアーデ連邦に救助されてそこで再び戦いに身を投じます。

一方のレーナは共和国でハンドラーとして孤独に戦い続け、アネットも彼女をサポートし続けます。

 

あるとき、レギオンがサンマグノリア共和国やギアーデ連邦など、支配域周辺の生き残り国家に総攻撃を敢行。

シンのいるギアーデ連邦はかろうじて戦線を維持しますが、レーナとアネットのいる共和国は、脆弱なジャガーノートでは防衛線を維持しきれず、簡単に戦線が崩壊。エイティシックスに戦闘を頼っていたアルバの市民たちは、成すすべもなく虐殺されていきます。

そんな中で、レーナは「生き残っている全プロセッサーにパラレイドで同調し、残存兵力をまとめ上げて新たな防衛線を構築」するという荒業で共和国を救います。

このとき、担当部隊以外のプロセッサーにまでレーナがパラレイドを繋げるよう技術的に支援したのがアネットでした。

レーナの巧みな指揮で共和国はかろうじて生き残り、ギアーデ連邦と合流。レーナはついにシンと再会します。これが原作3巻までの出来事です。

これらの流れを、アネットは裏から支えたと言えるでしょう。

 

シンとの再会で葛藤を抱える

レーナは客員士官としてギアーデ連邦に派遣され、シンたちと同じ部隊で共に戦うことに。

アネットも技術士官として同じ舞台に派遣され、ついにシンと再会します。見捨てた幼馴染との再会で「恨まれているのでは」と怯えるアネットでしたが、それ以前にシンが自分のことをまったく覚えていないことに衝撃を受けるのでした。

「忘れられてしまったのなら、あの時のことを謝ることも許されることもできない」と考え、自分はシンへの罪を一生抱えるしかないのかと葛藤するアネット。

しかし、紆余曲折を経てシンも少しだけアネットのことを思い出し、それも他愛ない幼少期の平和な思い出ばかりで、アネットは拍子抜けすると同時に「自分が罪として抱えていたことも、シンにとってはもうどうでもいいことだったんだ」と救われます。

そして、もう昔のような幼馴染には戻れないと受け入れた上で前を向きます

昔は幼馴染としてシンのことを憎からず思っていて、今もその意識が少しだけ残っていたけど、レーナがシンに惹かれているのを察して身を引くアネットは少し切ないです……

 

レーナの恋の相談役(ついでにライバル)に?

4巻以降、レーナはあからさまにシンに惹かれていきます。

しかし、そこは今まで恋愛どころか男の子の友だちさえいなかった超純情お嬢様のレーナ。シンの言動にいちいち一喜一憂して、誰が見ても明らかに両想いなのに「好かれてなかったらどうしよう」と葛藤し続けます。

その相談役をさせられるのがアネットです。成功するのは明らかだからとっとと告白すればいいのにと思いつつ、顔を真っ赤にしながらああでもないこうでもないと悩むレーナに付き合ってやります。

 

その一方で、レーナからときには「恋のライバル」として意識される場面も。

シンがアネットのことを幼馴染として「リッタ」というニックネームで呼ぶたびに、アネットはレーナにちょっとだけやきもちを妬かれます。「シンから特別な呼び名をもらってる」という理由で。

他にも、幼馴染ゆえの気安い距離感や態度でシンとアネットが話しているのを見たレーナが「たとえ親友のアネットであっても、他の女の子がシンと親しくしてるとモヤモヤする……」と思ったりと、レーナの強すぎる独占欲のためにライバル認定される場面が多々あります。

レーナみたいな親友を持つアネットは、気苦労の連続です。

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セオといい雰囲気になる?

原作の7巻、9巻あたりで「もしかしてアネットってセオと両想いになるの?」と思わせる描写があります。

まずは7巻。レーナやシンたちの束の間の休暇が描かれるほのぼの巻ですが、終盤の舞踏会のシーンで、場の流れからの偶然とはいえアネットとセオがペアになって踊るくだりがあります。

ライデンから「珍しい組み合わせ」と評され、二人は特にお互いを意識した様子もありませんが、なんとなく「似合うカップリングだな」と思った読者の方も多いのではないでしょうか。どっちもサバサバした性格だし。

そして9巻。前巻の戦闘で片腕を失い、プロセッサーとして戦う道を絶たれて入院していたセオを、ひょんな流れからアネットが見舞います。

そこで、アネットとセオが二人きりで会話するという、これまでになかった構図が生まれます。

特に恋愛を意識させるような会話があるわけでもないんですが、普段は自分の心情をあまり他人に話さない二人が、少しだけ内心を語り合うという、少しだけ特別なシーンです。

これは何かのフラグだな……と、9巻まで読んだ誰もが感じたのではないでしょうか。

アネットとセオは、他の皆が知らないうちに、知らないところで、距離を縮めていく気がしますね。そんで最終巻あたりでしれっと結ばれて二人で幸せになってそう。なってほしい。

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原作10巻のifストーリーでは主役に

原作10巻『Ep.10 フラグメンタル・ネオテニー』では、アネットが主役になる短編があります。

それが、「もし共和国がエイティシックスを迫害せず、共に協力してレギオンに立ち向かい、ジャガーノートも本当に「無人機」として完成し、誰も死なない戦場が成し遂げられていたら」を描くというもの。

アネットもレーナも軍人にはならず、普通の高校生として学校に通い、アネットはシンと幼馴染のまま距離を縮めてそろそろ付き合い始めそう。

ライデンやクレナ、セオ、アンジュたちとはそもそも知り合うこともなく、レーナもシンのことは「アネットの幼馴染」として話に聞いているだけ……という世界です。

結局これは、アネットが見ていた夢でした、ある意味で残酷すぎる夢ですね。

この平和な世界の方がいいに決まってるのかもしれませんが、9巻までの皆の絆を知っていると、すごく寂しくなってしまう「もしもの物語」です。

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『86 エイティシックス』アネットについてまとめ 

技術面からレーナやシンたちの戦いをサポートし続け、他の誰とも違う独自の立ち位置を築いているアネット。

アニメでも主役級ではないながら思わぬ人気を確立していて、今後もアネット人気がますます高まっていくことを期待せざるを得ません

クールでサバサバしてるけど、実は繊細で優しくて、白衣アンド眼鏡が可愛いアネット。『86 エイティシックス』では、彼女のこれからの歩みにも注目です。

 

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