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『バイオハザード: インフィニット ダークネス』感想評価 映像は100点満点だけど……【ネタバレあり】

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大人気ホラーゲーム『バイオハザード』シリーズのフルCGアニメ最新作で、Netflixオリジナル作品として配信されている『バイオハザード: インフィニット ダークネス』

1シーズン全4話で構成される本作の感想をまとめました。ストーリーや登場人物など、ネタバレありでレビューします。

『バイオハザード: インフィニット ダークネス』あらすじネタバレ(結末まで)

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ペナムスタン共和国で戦闘任務に従事していたアメリカ軍特殊部隊のジェイソンは、戦地で民兵との激しい死闘をくり広げる中で、T-ウイルスによるものと思われるパンデミックを目撃するも生還する。

それから年月が経ち、2006年。政府のエージェントとなっていたレオン・S・ケネディは大統領補佐官に呼ばれてホワイトハウスへと招かれるが、そこで事件が発生。ハッキングで電力が失われてホワイトハウス内は闇に包まれ、さらにT-ウイルス感染が発生して職員たちが次々にゾンビと化す。

レオンはホワイトハウスにいたエージェントのジェイソンとシェンメイと協力してゾンビを撃退し、3人の活躍で事態は収束。大統領も守られたのだった。

一方で、NGOで働くクレアは陳情のためにホワイトハウスを訪れていたが、何か事件が起きた様子を見て訝しむ。そこで偶然にもレオンと再会し、言葉を交わして別れる。

(ここまで1話)

 

ホワイトハウスへの攻撃が中国に関する機密データを狙ったものだったと分かり、手掛かりが上海の科学研究所にあると判明。

レオンとジェイソン、シェンメイは最新鋭のステルス潜水艦で上海へと向かうが、その途中で艦内にゾンビ化したネズミの大群が発生。船員はことごとく死亡し、レオンたち3人だけが脱出ポッドで生き延びる。

辛くも上海にたどり着き、レオンはジェイソンに「船員を殺してまでここへ来た目的は?」と問う。ジェイソンとシェンメイは艦内で船員の生存者を意図的に殺害しており、レオンはそれに気づいていた。

ジェイソンは「アメリカ政府の陰謀を暴く」ことが目的だと明かすが、レオンは彼の考えに賛同せず、対立の末にジェイソンをやむを得ず撃つ。しかし、シェンメイには逃げられてしまう。

(ここまで2話)

 

もともとNGOの仕事でペナムスタンにいたクレアは、戦災孤児の少年がパンデミックを見た様子だったことから疑念を覚え、さらにレオンとの会話もあって、独自にペナムスタンで起きたことを調査していく。

その結果、ジェイソンと同じ部隊にいた隊員たちはことごとく自殺していたことを知る。クレアはその後も調査を続けるのだった。

一方、上海でシェンメイを追っていたレオンは、彼女の口から真実を聞かされる。

現在は国防長官になっているウィルソンは、当時ジェイソンたちの作戦行動を指揮しており、製薬会社と手を組んだB.O.W.開発の陰謀に関わっていた。

結果的にウィルソンのせいで隊員の一人だったシェンメイの弟が感染し、シェンメイはアメリカ政府を恨むことに。

ジェイソンたちはゾンビに噛まれるも、抑制剤を打つことで発症を阻止。ウィルソンから定期的に抑制剤をもらうために彼の私兵にされたが、ジェイソン以外の隊員たちは現状に堪えられず自殺したのだった。

シェンメイはウィルソンの陰謀の証拠を握っており、一緒に真実を公表しようとレオンに持ちかける。

ところがホワイトハウスでは、一連の事件の犯人を中国だと大統領が断定し、強硬姿勢をとるようウィルソンが誘導していた。

(ここまで3話)

 

 ペナムスタンの惨劇を調査していたクレアは、ウィルソン国防長官が差し向けた追手に拉致され、地下の研究所に連れて来られる。

ウィルソンはB.O.W.の研究から「死なない兵士」を作り上げ、抑制剤の需要を作ることで儲けようとしていたことを語る。

しかし、その「死なない兵士」となっていたジェイソンがウィルソンに反旗を翻す。抑制剤を打つのを止めたために体がB.O.W.へと変異を遂げ、その姿を世界へ公表することでウィルソンの陰謀を暴こうと考えたのだった。

そこへレオンとシェンメイがやって来て、ジェイソンの暴走を止めようとする。しかし、ジェイソンはシェンメイを殺害して逃走。レオンは自力で逃げ出したクレアと合流し、事態を収拾しようとする。

激闘の末にレオンはジェイソンを倒し、彼の私怨に満ちた復讐を防ぐ。

さらに、レオンは新人エージェントのパトリックに連絡を取り、彼を経由して大統領に真実を伝えていた。大統領はメディアの前で中国への強硬姿勢をとることを止め、世界の平和は保たれる。

こうして、ペナムスタンでの出来事に端を発した一連の事件は幕を閉じた。

(ここまで4話)

 

『バイオハザード: インフィニット ダークネス』登場人物

レオン・S・ケネディ

主人公。かつてラクーンシティの事件で尽力し、現在は政府でエージェントとして働いている。

ホワイトハウスでのゾンビ発生事件を受けてその調査に臨むが、その背景に隠された陰謀に直面することになる。

 

クレア・レッドフィールド

主人公。ラクーンシティの事件での生還者。現在はNGOに所属し、ペナムスタンで人道支援を行っている。

ひょんなことからペナムスタンの惨劇とそこに隠された陰謀を知り、独自に調査を開始。その過程で陰謀に巻き込まれていく。

 

ジェイソン

元アメリカ軍特殊部隊員で、ペナムスタンの惨劇の生還者。抑制剤を得て人間であり続けるために、ウィルソンの陰謀に加担させられていた。

表向きは政府のエージェントとして動きつつ、ウィルソンの陰謀を世界に公表するために暗躍する。

 

シェンメイ・ゴトウ

政府のエージェントで、ジェイソンの仲間。

ペナムスタンの惨劇で弟が感染しており、その恨みからウィルソンの陰謀を暴こうとしていた。表向きはエージェントとして動くも、裏ではジェイソンと暗躍する。

 

パトリック

政府のエージェント。まだ新人で、ホワイトハウスでのバイオハザード事件では初めてゾンビと接触して動揺していた。

物語後半で、意外なかたちで世界の平和に貢献することになる。

 

ウィルソン国防長官

アメリカ合衆国の現国防長官。ペナムスタンの惨劇の際に指揮を取っており、製薬会社と手を組んで利益のために隊員を犠牲にした。

現在に至っても、利益を得るためにB.O.W.を使った非人道的な計画を進めていた。

 

グラハム大統領

 アメリカ合衆国の大統領。かつてレオンに娘を救われ、彼に絶対の信頼を置いている。

ウィルソンの陰謀を知らず、彼に誘導されて中国との関係を悪化させそうになるが、パトリックを経由したレオンからの情報提供を受ける。

その結果、中国への強硬姿勢を止めてペナムスタンへの人道支援に努め、世界の平和を守る。

 

『バイオハザード: インフィニット ダークネス』感想

CGのクオリティが凄すぎ!

まず最大の見どころがフルCGの映像ですね。とにかく凄かった。最近のゲーム『バイオハザード』シリーズのムービーや、これまでのバイオのCGアニメシリーズと比べても格段にクオリティが高かったです。

人間のキャラクターの顔が映るとやっぱりどうしても「あ、CGだな」となりますが、背景や人間の後ろ姿だけを見るともう実写と見間違うレベル

映像を手がけたのは「Quebico」という日本のCG制作会社で、なんと従業員5名という小規模スタジオ。もちろん実際の作業ではもっと多くのクリエイターが参加してるんでしょうが、日本の会社がここまでハイクオリティでスケールの大きいCG映画を作れるって感動ですね。

NetflixのCGアニメだと『ラブ、デス&ロボット』シリーズが実写顔負けの超ハイクオリティ短編をいくつも発表していますが、本作もそれに負けてないんじゃないでしょうか。

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4話合計で100分程度なのでサクッと観られる

アニメーションシリーズということになっている『バイオハザード: インフィニット ダークネス』ですが、内容は1話25分ほどで全4話、合計で100分程度と軽めのボリューム。

映画1本分くらいの尺なので、シリーズものとはいえサクッと観られます。

内容的には完全に一本のストーリーが繋がっているので、むしろ「なんでわざわざ4話形式にしたんだろう……」という感じもありました。これなら最初から100分の映画として配信してよかったんじゃないかな?

Netflixオリジナルということですし、映画より連続アニメシリーズ形式の方がプロモ的に都合がいいとかあるんですかね……

 

アクションは控えめでゾンビホラー色も薄め

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ちょっと気になったのが、「アクションシーンの少なさ」

回想として何度か挟まれるジェイソンのペナムスタンでの戦いと、序盤のホワイトハウスでのバイオハザード発生、潜水艦でのゾンビネズミが少し、あとは終盤でレオンとジェイソンがちょこっと戦うくらいでした。

あとはほとんどサスペンスストーリーが展開されていて、ほとんど会話や移動シーンです。予告編ではけっこうアクションのボリュームもありそうだったので、ちょっと物足りなかったですね。

ホラー色も限りなく薄味です。真っ暗なホワイトハウス内でのゾンビとの戦闘で何度かビクッとしたくらいかな。終盤でゴツいB.O.W.と化したジェイソンも理性を保ってて人間的なので、怖さはまったくないです。

アクションホラーシリーズとしての『バイオハザード』を求めるなら、ちょっと物足りないかもしれませんね。

 

ストーリーは政治サスペンス色が強め?ちょっとありきたり?

アクションではなくサスペンスがメインの『バイオハザード: インフィニット ダークネス』。そのストーリーは、けっこう政治色強めです。現在の時事ネタをがっつり取り入れてる感がありますね。

ただ、どちらかの思想に寄る感じではなく、「政治サスペンスっぽくしつつも触れ方には慎重」な感じがありました。言わば政治「風」サスペンスでしょうか。

で、それが面白いかと言うと……平凡というか、どっかで見たような話だなあという感じでしたね。

「別の国に責任をなすりつけつつ儲けようと陰謀を巡らせるアメリカ政府の高官」って、もうハリウッド映画で何回もやり尽くされたネタだと思います。これ自体が見どころにはならないでしょう。

かといってアクション面の見ごたえも前述のように控えめですし、結果的には「やたら複雑だけど地味でぱっとしない作品だったなあ……」という印象を覚えました。

例えばこれがゲームシリーズのひとつで、ゲームの合間にムービーとして映像が挟まれながらストーリーが展開されるのならハラハラできたのかもしれません。が、ひとつの映像作品としては……少なくとも筆者はあまり心躍りませんでした。

 

『バイオハザード: インフィニット ダークネス』まとめ

映像に関しては「すげえ~実写みたいだ~」と驚きながら楽しめました。

それに、レオンやクレアといったおなじみの主人公が活躍しているので、今まで空白だった期間の彼らの戦いが見られるという点では、シリーズファンにとっては嬉しい作品でしょう。

ですが、ひとつのアニメ映画(合計100分くらいだから映画として評価していいですよね)として考えると、平凡な作品になってしまうんじゃないでしょうか。

ほんとに映像は凄いしスケール感もしっかりあるので、アクションの見せ方かストーリーの捻りにあとちょっとパンチが効いてればなあ……と惜しい感じがしました。すごく期待してただけに、腹六分目くらいで終わっちゃった感があります。

 

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